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最終章 貴方へ誓う…
最終話
しおりを挟む……あの後騎士団本部に戻った俺は、本部の騎士を集めてグレイを助けに戻ったのだが……俺達とすれ違いになる形でアルグレッドが屋敷へ到着していたらしく…光魔法とグレイの剣技で無事に倒してしまったらしい………
傷を負ったエヴァンデールは、一先ず王国の病院で治療を受けているらしい…
国王殺しの罪は重いのだが、薫がアルグレッドへ根回しをして…最終的には国外追放処分が決まった。
「…別に処刑して欲しいわけじゃねぇけどさ…何でエヴァンデールの処分を国外追放まで軽くしてやったんだ…?」
「…ん~…調べたの、ちょっと思うところが有って…」
「……思うところ?」
「そう……ゲームで見たエヴァンデール先生の過去がちょっと気になって…調べたの……そしたら、ゲームの頃の設定と同じでさ…それで…」
「………エヴァンデールの過去…?」
薫が言いたそうに無かったことも有り、その日の翌日…療養中のアルグレッドにお見舞いついでに聞きに行ってみた…
「…シルフィア・エヴァンデールは、どうやら伯爵家の長男だったと分かったんだ…」
「…だった…?」
「…過去の記録を調べたところ、30年ほど前に横領の罪で父親が処刑…その直後に屋敷が火事で燃えて、母親と姉が死んでいる……」
「…両親とも……」
「…しかし、以前の記録を調べ直したところ…シルフィア家が横領に手を染めた記録など出て来なかった……」
「!…って事は」
「……横領をしていたのは当時、王城で働いていた貴族共と…前国王だったんだ……その罪をなすり付けられた父親は処刑…その妻と子供達も、用心のために消そうとした……と言うのが真相だろうな…」
「……だから…エヴァンデールは国王を殺して逃げたのか…」
…成る程……国王殺しが軽くなる理由はコレだったのか…薫は…初めから知っていたから……エヴァンデールに減刑を求めて、アルグレッドに調査を……
「………」
「……殺された前国王に非が有った以上…新たに国をまとめる者としては、このままエヴァンデールを処刑する事は出来ない…だから、国外追放と言う形に決まったんだ」
「…成る程な、納得した……」
「国外追放で済むとは言え、何の責任も取れないままなのはこちらとしても示しが付かない、エヴァンデールの件については今後も話し合いが続くだろうな…」
…乙女ゲームなら、影の有るキャラとして作られただけなんだろうけど……この世界では全て、本当に当人達に起こってしまった出来事なんだよな……
アルグレッドを見舞い終わり、自分の屋敷へと戻り始めた俺は学園の中庭を通り抜けて、自分の屋敷への帰路を歩いて帰る…
時刻はもうすっかり夕暮れで…学園の正門から外門まで続く白いタイルが、オレンジ色に染まっている…
「……こっちに転生する前の事を思い出すな………」
子供を庇ってトラックに飛び込んだ俺だったけど…まさかその時持っていた乙女ゲームの世界に転生するなんてな…
「レオンハルト様、お迎えに上がりました」
「!!…イグナシオ、怪我は大丈夫なのか?」
「はい、この程度どうと言うことは有りません」
「そっか…良かった…」
前の世界に未練が無い訳では無いけど、この世界でも大切な物が沢山出来たな…
「こんな所で何辛気くさい顔してるんだ?レオ」
「?グレイもか、仕事は??」
「終わった、今帰りなら送ってやるよ」
「結構です、レオンハルト様は私が責任を持ってお送り致しますので」
「口だけはいっちょ前に聞くじゃねぇか」
「おい…止めろよ2人とも、ここ学園のド真ん前だぞ??」
「あ!お兄ちゃん!!今帰り??送ろっか??」
「!クエミリア王女…何故まだこちらに」
「?だって、お兄ちゃんとゆっくりしてないし」
「………」
「イグナシオ、そんな悲しそうな顔するなよ?皆で帰れば良いだろ???」
「…悲しい顔などしておりません…」
「素直じゃねぇなぁ~…相変わらず、可愛くねぇ」
「…ぇ、なに?新カプ??グレ×イグですか?イグ×グレですか??…あっ……どっちでも尊い……」
「「……??」」
「薫…2人ともキョトンとしてるから止めてやれ」
「……はっ!!ま、まさかそんなっ…グレ+イグ×レオ!!!?ご馳走さまです!!」
「…先程からクエミリア王女は何を仰っているのですか??」
「なんの呪文なんだ……?」
「ご乱心だから、そっとしておいてやれ…」
「!お兄ちゃん酷い!!!」
腐女子な妹に兄貴気質の騎士団長…完璧執事にキラキラ系王子様……
「ほんと……ようやく全部終わって良かったな」
「…?何言ってるの???終わって無いよ??」
「……ぇ?」
「私の国は永遠の愛をキスで誓うシリーズの第二弾で登場する国のハズだもん、だから……」
「……だから…?…」
「お兄ちゃんがこの世界のヒロインなら!まだまだイケメンキャラ達が待っているのよ!」
「……ぇ…ちょ…聞いてな…ーーー」
「さぁ!!私達の冒険はまだまだ始まったばかり!!シリーズ作品のシナリオが全て終わってこそ!!真のゴールだわ!!!目指せ完全制覇~!!!」
………誰か………嘘だと言ってくれ………
「光り輝く希望!尊きイケメン達!!第二弾は帝国!!ビバ軍服ドSイケメン!!!お兄ちゃんの冒険は!つづく!!」
「勝手に止めろ!!!」
ーーーーつづく……?ーーー
(END)
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