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第9章 腐っても妹

カミングアウトは早急に…

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「…これはこれは…隣国の姫君に存じて頂けて光栄です」

大きな声で名前を呼ばれたグレイは、一瞬戸惑いながらも…相手が隣国の姫君という手前、すぐににこやかな笑顔で切り替えした。
「勿論ですわ!!私の中でグレイ様は理想の攻め……いえ、理想の騎士様そのものですもの!」

……今…攻めって言ったか…このお姫さま……

「?…成る程……それは、とても光栄です…」
「……ルイス様、此方の方は??」

混乱した様子のグレイとは裏腹に、冷静にイグナシオがルイスへ問いかけた…

「あぁ……紹介する、此奴は我が国の第一王女…儂の姪っ子じゃ」
「!ご挨拶が遅れました、第一王女のカオル…じゃなくて!アークライト・クエミリアと申しますわ」

……今…かおるって言わなかったか??

「!此方こそ自己紹介が遅れてしまい大変申し訳ない!!…私はドラグニル・グレイ…ここで騎士団長をさせて頂いております。」
「…私は、此方に所属する騎士のカーティス・イグナシオと申します」
「はい、存じ上げて……いえ!宜しくお願い致しますわ!!」

…………言動が…どことなく…いや、間違いない…

「……ところで、此方のイケメ…いえ……騎士様はどなた??」
「………王国騎士団に所属しております、アブソリュート・レオンハルトと申します…」
「…レオンハルト……様…」

ボソリと俺の名前を呟いたクエミリア王女は、何やら悩ましげに俺の周りを回り始める……
そりゃそうだよな…この反応は間違いなくヒロインのあの子と同じ………が有るタイプの反応だ…

「……こんなイケメン攻略キャラにいなかったし…サポートキャラでも見たこと無い……隠しキャラ???…いやでも……」

難しい顔をしてグルグルと俺の周りを回るクエミリア王女は、何やらブツブツと呟きながら考えを巡らせているようだ…

「…あの……クエミリア王女様…そろそろ回るのを辞めては頂けませんか……??」

痺れを切らせた俺は、クエミリア王女にそう言って困ったように笑ってみる…

「…!……………受け…」

……今何か口走った気がするけど取り敢えず聞こえないふりだ…

「ほれ、いい加減にせんかカオル、レオがこまっとるじゃろ」
「!叔父様はレオンハルト様をそんなにも親しげに呼んでいらっしゃるの!?」
「……やけにレオに反応するな…一目惚れでもしたのか?」
「「っ!!…」」ガタッ!!

ルイスがからかうように王女へそう言い放った途端、グレイが椅子から立ち上がりイグナシオも心なしか反応した…?……

「ま、まさか!邪魔するなんてとんでもない!!むしろ全力で応援したいくらいよ!!」

……何を口走ってるかは知らないが、俺にとっては何も良くないことだけは分かる…

「応援…?いったい何の話しをして居るのだカオル…」
「……先程から気になっていたのですが、なぜルイス様はクエミリア王女をと呼ばれて居るのですか???」
「?……あぁ、此奴は転生者らしくてな…カオルは此奴の前世の名らしい…」
「はいっ!」
「「………??」」

……そんな…ハッキリ言って良いのか……?
イグナシオとグレイは案の定…キョトンとした顔をしている…

……それにしても懐かしいな…まさか、前世の妹と同じ名前の転生者に出会うなんて思わなかった…
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