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027:運命
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魔法界へ行く気だと思い込んでいたアトラ達は猫おじさんの地下ビルに待ち合わせるが、何故か魔法界からオールズ・カルシュファーが来ている。
「初めまして兄妹ちゃん達、俺は魔法法律事務所を経営、弁護士のオールズ・カルシュファーだ
初めての裁判で1回も負けた事の無い、エリート中のエリートだ、よろしく!」
「なんかオールズの挨拶カッコイイ!
前の時と違って更に自己紹介が派手になって来たけど・・・」
アトラはそんなオールズの自己紹介に魅力を感じていた。
「そんな事よりオールズ、なんで魔法界からわざわざ来たんだよ」
「駄目か?」
「駄目じゃないけど・・・」
「ずっと魔法界じゃあ飽きるからたまには現実世界に行って、いい空気を吸ってこようって思って来たのさ
俺だって人間の1人、自由な空気をたまにはパーっと明るくしたいしな」
不満そうに猫おじさんは抗議した。
「おいオールズ、ここ俺の家なんだけどどうしてくれるの?
お前の所持品、壁紙は真っ白で花の絵の描いたボーダーだし・・・
まるで君の事務所みたいで俺のシックで暗いダークな感じがなくなったんだけど?」
それを他所にオールズは自分勝手な弁論で裁判で異議するかのような口調で鋭く返した。
「俺はダークというものが嫌いだ
人が来なくなるし、君が稼げない理由はその薄暗い所が好きだと言う猫のような発想力
それにもし君がその暗い所で過ごしたいと言うなら一生その稼げない地獄を味わい、その家から追放される事になるだろう」
「はいはい分かったよ、今回は君の弁論が正しいし勉強になったよ」
──────“そう思っていないくせに・・・”
オールズの自由奔放ぷりに頭を悩ませて適当に返した。
「オールズさんって言いましたよね?」
「ああ」
「これ、アトラから変な脅迫文が家のアパートのベランダで見つかったのですが、相手が何者なのか分かりますか?」
ラウルは脅迫文を渡し、オールズに読ませた。
「こればっかりは分からないな
相手が何者なのかって言うのはユーゴの捜索じゃないと明らかにならないけど、秘書の彼女なら分かるけどね」
秘書は一緒に来ており、その文面をしっかり読んでいる。
その文面の最後“謎の送り主”を特定するために遠近眼を使った。
011にもあった通り、行方不明者を見つける事ができるとあるが、その他にも役立っている、それは送り主の居場所を見つけ出す事。
その他でも活用できるように彼女の技は日々進化している。
「やっと特定者が判明しました」
「誰だよ?」
「ある老婆・・・」
「老婆?
まっさか~その俺がおばあちゃんになんか脅迫された悪い事なんかした事無いぞ?」
「もしかするとその老婆、何かに化けている可能性があります」
「何かって?」
「それまでは・・・」
「なんだよ~ハッキリしてないじゃん!」
アトラは期待したのが馬鹿だったというかのようにソファーで背中を外側に倒れた。
「そもそもおばあさんって何故分かったのですか?」
「その文面を読んだら若い感じなのですが、私の眼で感じたらおばあさんだった事が判明したの
でも化けている所まで分からなくてごめんなさい・・・」
「いいですよ、そんなに謝らなくても・・・」
ラウルはそんな秘書の努力を察しながら気を使う。
「だとしたらこの脅迫文、もしこの老婆が少女に化けてたとしたらどうする?」
「────!?」
その発想すらも無かったと感じながらオールズはアトラの反応を見ながら言った。
「アトラ少年、やはり気になっているらしいな」
「ああ!」
「その送り主が特定出来ればこの裁判、戦争になるぞ?」
「戦争?」
「ああ、いつか魔獣を使った大クーデターを起こし、アイツらはそれを狙って俺達や他の魔法界の人間たちを皆殺しにするのが計画・・・
だとしたら、俺達やその生徒達を巻き込む事も有り得るだろうよ」
「じゃあ俺達はアトラにどうしてあげたらいいのですか?」
「あくまでも俺の予想だ
予防策を魔法騎士団達は作っているだろうが、それも無効となって大戦争を起こしかねないな」
「そんな・・・」
ラウルは絶望的になった。
アトラを平和的に学校へ行かせるのが夢だったのだが、その先に飲み込まれるしか無いと悔やんだ。
アトラはその運命がどんなものかも分からないが、それでも受け入れる気満々な発言をした。
「俺はそれでも構わない、だってそういう運命なら従うしか方法ないじゃん」
「そうだけど・・・」
「ラウル、ミューラ、俺を拾うと言うことはそういう事なんだ
ごめん、そんなつもりで出会った訳じゃあ無いのにに・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
2人は暗い表情になり、不安になる。
オールズは運命だと受け入れられない2人に対し、厳しく追求した。
「2人共、本当はアトラ少年に出会わなきゃ良かったとか思っていないか?」
「そんな!」
「俺達は・・・」
「アトラ少年の運命という事はついて行くのと一緒なんだ
それがついて来れないというなら何故少年と出会った?」
2人はそんな運命が訪れる事なんか知らないで笑って過ごしていていた。
アトラとの出会いが更に壮絶になるという事を────
オールズの溜息が漏れ、そんな2人に冷たい態度を取る。
「呆れた、お前等の友情というのはこんな小さなものだったとはな・・・
帰る」
「え?張り紙と部屋の奴は?」
「俺がその空間を片付ける道具がある」
部屋がまるで大型掃除機でもかけるかのようにその長丸の魔法のバッグに吸い取り、元の部屋となった。
「凄い・・・」
「じゃあな」
オールズと秘書は帰ってしまったが、猫おじさんは3人の思いを庇うかのように愚痴を吐いた。
「全く、オールズの奴言い方考えろっていうの!
部屋は勝手に模様替えされるし、本当に金持ちの趣味の部屋しか思えないよ・・・」
「なぁ2人共、やっぱ俺の事で怒っているよな?」
「怒ってはいない、ただその後の事になるとしたら恐いって思って・・・」
──────“やっぱり、不安なんだな・・・
俺は自分自身を切り開くためにどんな困難も立ち向かうという事ができるけど、他人を巻き込む事になるとすれば不安にもなるかもしれないな・・・”──────
アトラはラウルの不安を聞き、他人の気持ちと照らし合わしていた。
帰宅後の夜、母からミューラはアトラがベランダにいると聞いて入ってきた。
「ミューラ?」
2人きりで胸中を語り合った。
「私ね、オールズさんが言った事は本当だと思うの
確かに1人本気になっているのにその他の人達はやる気がなかったらなんのためにアトラという子と出会ったんだろうってすっごい考えた!」
「俺も、2人の事を考えたら俺だけが本気になってどうするんだって思った
本当に人の気持ちを分からなきゃって・・・」
アトラは両手の拳をギュッと握りしめ、自分の不甲斐なさを痛感していた。
その気持ちを察したミューラは言った────
「アトラ、私はアトラはいつもの感じでいいと思う」
──────しっかり見ながら微笑みを返した。
「へ?」
「私はそんな真っ直ぐなアトラが好きでいつもお兄ちゃんとついて行っている
後はお兄ちゃん自身の問題かもね!」
「ああ、そうだな」
ミューラの一言でアトラの自分らしさを尊敬され、自信がついた。
────続
「初めまして兄妹ちゃん達、俺は魔法法律事務所を経営、弁護士のオールズ・カルシュファーだ
初めての裁判で1回も負けた事の無い、エリート中のエリートだ、よろしく!」
「なんかオールズの挨拶カッコイイ!
前の時と違って更に自己紹介が派手になって来たけど・・・」
アトラはそんなオールズの自己紹介に魅力を感じていた。
「そんな事よりオールズ、なんで魔法界からわざわざ来たんだよ」
「駄目か?」
「駄目じゃないけど・・・」
「ずっと魔法界じゃあ飽きるからたまには現実世界に行って、いい空気を吸ってこようって思って来たのさ
俺だって人間の1人、自由な空気をたまにはパーっと明るくしたいしな」
不満そうに猫おじさんは抗議した。
「おいオールズ、ここ俺の家なんだけどどうしてくれるの?
お前の所持品、壁紙は真っ白で花の絵の描いたボーダーだし・・・
まるで君の事務所みたいで俺のシックで暗いダークな感じがなくなったんだけど?」
それを他所にオールズは自分勝手な弁論で裁判で異議するかのような口調で鋭く返した。
「俺はダークというものが嫌いだ
人が来なくなるし、君が稼げない理由はその薄暗い所が好きだと言う猫のような発想力
それにもし君がその暗い所で過ごしたいと言うなら一生その稼げない地獄を味わい、その家から追放される事になるだろう」
「はいはい分かったよ、今回は君の弁論が正しいし勉強になったよ」
──────“そう思っていないくせに・・・”
オールズの自由奔放ぷりに頭を悩ませて適当に返した。
「オールズさんって言いましたよね?」
「ああ」
「これ、アトラから変な脅迫文が家のアパートのベランダで見つかったのですが、相手が何者なのか分かりますか?」
ラウルは脅迫文を渡し、オールズに読ませた。
「こればっかりは分からないな
相手が何者なのかって言うのはユーゴの捜索じゃないと明らかにならないけど、秘書の彼女なら分かるけどね」
秘書は一緒に来ており、その文面をしっかり読んでいる。
その文面の最後“謎の送り主”を特定するために遠近眼を使った。
011にもあった通り、行方不明者を見つける事ができるとあるが、その他にも役立っている、それは送り主の居場所を見つけ出す事。
その他でも活用できるように彼女の技は日々進化している。
「やっと特定者が判明しました」
「誰だよ?」
「ある老婆・・・」
「老婆?
まっさか~その俺がおばあちゃんになんか脅迫された悪い事なんかした事無いぞ?」
「もしかするとその老婆、何かに化けている可能性があります」
「何かって?」
「それまでは・・・」
「なんだよ~ハッキリしてないじゃん!」
アトラは期待したのが馬鹿だったというかのようにソファーで背中を外側に倒れた。
「そもそもおばあさんって何故分かったのですか?」
「その文面を読んだら若い感じなのですが、私の眼で感じたらおばあさんだった事が判明したの
でも化けている所まで分からなくてごめんなさい・・・」
「いいですよ、そんなに謝らなくても・・・」
ラウルはそんな秘書の努力を察しながら気を使う。
「だとしたらこの脅迫文、もしこの老婆が少女に化けてたとしたらどうする?」
「────!?」
その発想すらも無かったと感じながらオールズはアトラの反応を見ながら言った。
「アトラ少年、やはり気になっているらしいな」
「ああ!」
「その送り主が特定出来ればこの裁判、戦争になるぞ?」
「戦争?」
「ああ、いつか魔獣を使った大クーデターを起こし、アイツらはそれを狙って俺達や他の魔法界の人間たちを皆殺しにするのが計画・・・
だとしたら、俺達やその生徒達を巻き込む事も有り得るだろうよ」
「じゃあ俺達はアトラにどうしてあげたらいいのですか?」
「あくまでも俺の予想だ
予防策を魔法騎士団達は作っているだろうが、それも無効となって大戦争を起こしかねないな」
「そんな・・・」
ラウルは絶望的になった。
アトラを平和的に学校へ行かせるのが夢だったのだが、その先に飲み込まれるしか無いと悔やんだ。
アトラはその運命がどんなものかも分からないが、それでも受け入れる気満々な発言をした。
「俺はそれでも構わない、だってそういう運命なら従うしか方法ないじゃん」
「そうだけど・・・」
「ラウル、ミューラ、俺を拾うと言うことはそういう事なんだ
ごめん、そんなつもりで出会った訳じゃあ無いのにに・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
2人は暗い表情になり、不安になる。
オールズは運命だと受け入れられない2人に対し、厳しく追求した。
「2人共、本当はアトラ少年に出会わなきゃ良かったとか思っていないか?」
「そんな!」
「俺達は・・・」
「アトラ少年の運命という事はついて行くのと一緒なんだ
それがついて来れないというなら何故少年と出会った?」
2人はそんな運命が訪れる事なんか知らないで笑って過ごしていていた。
アトラとの出会いが更に壮絶になるという事を────
オールズの溜息が漏れ、そんな2人に冷たい態度を取る。
「呆れた、お前等の友情というのはこんな小さなものだったとはな・・・
帰る」
「え?張り紙と部屋の奴は?」
「俺がその空間を片付ける道具がある」
部屋がまるで大型掃除機でもかけるかのようにその長丸の魔法のバッグに吸い取り、元の部屋となった。
「凄い・・・」
「じゃあな」
オールズと秘書は帰ってしまったが、猫おじさんは3人の思いを庇うかのように愚痴を吐いた。
「全く、オールズの奴言い方考えろっていうの!
部屋は勝手に模様替えされるし、本当に金持ちの趣味の部屋しか思えないよ・・・」
「なぁ2人共、やっぱ俺の事で怒っているよな?」
「怒ってはいない、ただその後の事になるとしたら恐いって思って・・・」
──────“やっぱり、不安なんだな・・・
俺は自分自身を切り開くためにどんな困難も立ち向かうという事ができるけど、他人を巻き込む事になるとすれば不安にもなるかもしれないな・・・”──────
アトラはラウルの不安を聞き、他人の気持ちと照らし合わしていた。
帰宅後の夜、母からミューラはアトラがベランダにいると聞いて入ってきた。
「ミューラ?」
2人きりで胸中を語り合った。
「私ね、オールズさんが言った事は本当だと思うの
確かに1人本気になっているのにその他の人達はやる気がなかったらなんのためにアトラという子と出会ったんだろうってすっごい考えた!」
「俺も、2人の事を考えたら俺だけが本気になってどうするんだって思った
本当に人の気持ちを分からなきゃって・・・」
アトラは両手の拳をギュッと握りしめ、自分の不甲斐なさを痛感していた。
その気持ちを察したミューラは言った────
「アトラ、私はアトラはいつもの感じでいいと思う」
──────しっかり見ながら微笑みを返した。
「へ?」
「私はそんな真っ直ぐなアトラが好きでいつもお兄ちゃんとついて行っている
後はお兄ちゃん自身の問題かもね!」
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