MAGIC JOKER

卯月春吉

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017:謝罪

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   リセットはシルキーが失敗をしたせいでボスにこっぴどく怒られた。



  「くそ・・・アイツらのせいで私の面子が丸潰れだわ!
    アイツも人をばらすような馬鹿な癖をもっていると分かったとしてもやっぱり許せない・・・
   
    アイツらを地獄の地へ叩き落としてやるんだから!!」



   リセットは怒りながら廊下を早歩きをしながら大声で怒りをぶつけた。




   ────一方、3人は裁判についての話し合いを続けた。



  「まず、裁判は被告人証言と参考人招致そして弁護側尋問と検事側質問がある、君の周りに参考者は?」
  「ラウルとミューラの家族と・・・そして今いるおじいちゃんとハリガネさんと猫おじさんと寮母さん」
  「それだけか?」
   「うん」



   ──────“やはり彼の周りの人間は少ないか・・・
   しかし、被害者の警備員の男は校長と教頭とその上司たちの30人・・・

   これでこの法廷で勝てるだろうか・・・”──────



   不安が過ぎる中、アトラは他に人がいるんじゃないかと希望を持ちながら言った。

   

  「学校に行ってそいつらを呼び出せば、あの警備員に勝てるんじゃないか?」
 「それはどういう事だ?」
 「俺の事を知っているのはアイツらだし、もし知らないって言う奴がいたとしてもどこかしら記憶を突っ付けばなんとか俺の味方になってくれるんじゃないかって?」



──────“流石だなアトラ少年、だが味方など本当につけるのだろうか・・・
  学校へ行くしか方法がないが、一応あの少年の希望を叶えさせるならやって見るしかなさそうだな!”──────
  「分かった、味方を明日探してみる
    君は明日、警察の方へと行くのだろう?」
  「うん」
  「なら今日はここでお開きにするしかないな」
  
 

   秘書とオールズとアトラたち3人は玄関の方へと向かった。



  「今日はありがとう、オールズ達のお陰で俺頑張れそうだ」
  「少年、名刺だ」
  「何コレ?」
  「電話番号も書かれている、そこへ電話をすれば魔法界から現実世界へとの通話ができるようになっているから何時でも電話をかけてくれ」
  「分かった!」
  「じゃあ私し共はここで」
  「お邪魔した」

   

    そしてオールズと秘書は帰った。



    アトラは猫おじさんとどういう関わりなのか聞いてみた。
  


  「なんかオールズっていう人と仲良くしていたけど、あの人知り合いなの?」
  「まあ学生時代の時の親友だ
    俺はオールズとその女子と一緒に珍事件を解決してきた
   マニアックなものが大好きな女子と探偵ごっこが大好きなオールズと共に俺は巻き込まれながら苦労もあったが、アイツらのお陰で人間の友達も作れるんだなって初めて思えた」
  「そうなんだ・・・」
  「ああ、辛くもあって楽しい思い出さ」



   アトラにはその経験が羨ましくもあり、学校へ行きたくなってきた。
   まだアトラは裁判もこれからで、聴取もある。
  まるで遠足気分な感じが抜けられない彼にとっては一つの雲間から希望の光が見えたと感じていた。



   「さあ早く寝ておけ、明日11時には開始するんだからな」
  「おう、おやすみ!」
  「おやすみ」



   アトラがいなくなった後、祖父と2人で話した。



  「アトラを学校へ行かせたい」
  「おじいさん・・・」
  「マルドーでいい
    ・・・ってか、儂の自己紹介が遅れたようだな・・・」
  「していませんでしたからね」


  そして紅茶を一口飲み、真剣に本音を語った。




  「アトラは儂と同じで諦めない心を持つ所があるだろ、学校へ行くにはその試練を乗り越えなきゃいけない・・・
    可哀想な運命を辿らせた奴を探したい気持ちはアイツと同じだ
    たから猫おじさんという者よ、アトラに危険な身があったら儂の代わりに守ってくれ!」
  「はい・・・」



  祖父はその思いを他人に預けた。
  何も出来ない自分はどうする事もしてあげられないが、ただ孫の成長する姿を見つめるしか方法が見つからなかった。
  
  そして祖父は思った。



──────“孫は明後日現実世界へ帰る
  理解はしているつもりだと思って1週間過ごして来たが、離れると笑った姿をいつまで見れるのか・・・
  
   儂がいつ病気になるか分からないが、アイツは儂にとっては太陽だ”──────




   そして最終聴取の日、今週最後の聴取でハリガネはアトラに聞いた。



  「この間お前の家で魔獣が出没したらしいが、弁護士が来て『退治した』と発言してた
   何故警察にすぐ相談をしなかったのか理由を教えて貰いたい」
  「魔獣が来ていたんだ
   その時、電話が粘液で出られないように固定されててもう駄目だと思ったんだ
    翌日、近所の人から『警察に電話しておいた』ってて言ってたけど、有難いなとも思った・・・
   すみません・・・でした・・・」
  「なら仕方が無い、頭を下げるような事じゃねぇしよ」



    ハリガネは両足に乗っけるのを止めて立ち上がり、アトラの方へと近づき、頭を深く下げた。



   「お前が犯罪者にさせたのは俺達の責任だった済まない」
   「どうして今更?」
  「どうしても謝らなきゃいけない時にやっていなかったからな・・・
    恨みがあったら言って欲しい、いつでも聞いてやる」



  その覚悟でハリガネは頭を下げたのかと、アトラはそんな自分を追い込んだ相手にも関わらず許そうと強く言った。



  「恨みなんて魔法で消えた!」
  「は?」
  「いつまでも恨んだって馬鹿馬鹿しいしさ、俺はアンタを協力してくれる良い人だって思っているんだぜ?」
  「アトラ・・・」
  「それに間違えるのは誰だってある事くらい俺だってある!
    だからもう、謝るのはやめろ!」
   「そうだな・・・」
  「辛気臭いな~」



   アトラとハリガネとの因縁の聴取は幕を閉じた。
  森の屋上でのんびりする先輩の姿をみたランスはまたいつもの感じだと思いながら缶珈琲を魔法で瞬間移動をさせて驚かせた。


 「なんだ?これ?」
 「僕ですよ」
 「なんだランスか・・・」
 「何だっていう事ないでしょ?
   それより例の少年どうでしたか?」
  「許して貰えて嬉しかった
   それに俺が“協力してくれる良い人”って言ってくれてよ、いつも俺は犯人達から言われている言葉は冷たい言葉で刃を貫いたような恨み発言をしてくる
   悲しいもんだよな 」
 「今日はいい1日になったって思えば良いんじゃないんですか?
    彼から魔法をプレゼントしてくれたっていう事で」
  「フッ・・・格好つけやがって、青二才が・・・」



   ランスの一言で照れくさくなったハリガネはいつものように小さな街並みをみながら青い空を見上げた。




                                                   ────続
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