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003:打撃
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アトラの右手がシャボン玉が集まり、泡となった。
もし、普通の人間が右手で石鹸の泡をついてしまったら戦うものでは無かったと思う。
アトラの能力は泡というもの。それは敵から守るものでもあり、人のために動く武器となる。
蛸の男はその右手の泡に対し、馬鹿にしたような笑いで言った。
「ははははははは!
家族ぅ?まさかそんなのがいたとはなぁ、そんなポンコツ魔法で俺に勝てると思ったか?
俺様には吸盤がついてる!そのままてめぇらごと息の根を止める事だってできるのによお!!」
「息の根?じゃあ止めてみろよ
アンタの魔力と俺の魔力、どっちが上か勝負してやるよ。」
「ふざけるな糞ガキイイイ!!」
アトラはその攻撃から右左と避けながら戦う。
床は破壊されているが、それも敵のせいで穴ぼこだらけにされているのだ。
ラウルはその2人の戦いを呆然と見るだけ、能力者同士の戦いに目で追いながら思う。
────“アイツはどうしてそんな難しい敵と戦っているんだ・・・
魔力なんてあの蛸の方が上なのにあの泡でどうやってあの化物と戦うっていうんだ?
神様って奴は本当に変な人間を世界へ生み出したり、世界を2つにして分けたりするんだな・・・
なんだか恐ろしいものをアクションアニメでもなく、実際で1人で見ちまってるからな・・・”────
苦笑しながらその様子を見るラウルはその様子を黙って見守った。
「ガキのクセしてちょこまか動くんじゃねぇよ!」
「ぬああああっ!!!」
床がまた破損し、かなりの大きな穴ぼこになった。
あまりの強さに床が抜けて無くなってしまうんじゃないかという恐怖が外にいる母とミューラが見守っていると父が仕事から自転車に乗って帰ってきた。
「やあミューラたち、ただいま」
「おかえりなさい」
「何故外に追い出されているんだ?」
「アトラと・・・お兄ちゃんが・・・」
「まさか!?」
「貴方!あまり近づかない方がいいわ」
「俺達の家族なんだぞ?」
「でも、貴方がいけば敵の餌食で死んでしまうから・・・。」
「分かったよ、彼奴等を信じて待つ!」
妻の心配をする顔を見た夫は仕方がなく、息子たちの帰りを待った。
戦いは蛸の男が優位に立つと墨を巻かれた体は思うように動かず、アトラは片脚をしゃがみながら相手の動きを伺った。
「おいおい、さっきの勢いどうした?
それじゃあ家族というものを守れねぇかもしれねぇぜ?」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「あん?はぁはぁ?お前声って息切れしている声だったのか?」
────“駄目だ・・・このままじゃあ俺の能力が思うように動かねぇ・・・
一体どうなっていやがるっていうんだ・・・”────
「アトラ!前を見ろ!」
ラウルの声で前の右足が顔面に直撃し、壁に酷いヒビが入った。
「オイ、人の話はちゃんと聞こうっていう事が出来ていねぇようだな。
てめぇをそのまま踏み潰してやるよ・・・」
「アトラアアアっ!!」
────“アイツ・・・泡でなんとか奴を大人しくさせる事ができるかと思ったが、まさかそんな展開が来るとはな・・・。
俺が出来る事は・・・”────
そう思いながら割った椅子の木の尖った破片を頭に思いっきり投げ込んで後ろ頭を深く刺した。
すると血が吹き出し、その刺した頭を抜き、怒りで投げたそいつに向けて睨みつけた。
「てめぇもかガキ・・・この俺様を怒らすのが大好きなようだな・・・。
なら、首を締め上げて吸盤でそのまま窒息死させてやるよ!!」
「ぐううぅぅぅ・・・ハッ!・・・」
泡が一気にその男ごと巨人の手のように掴んだ。
「てめぇの相手は俺だって言ってるだろうが・・・!!」
「ぬぐぐぐぐぐ・・・。」
────“アイツ、いつの間に元気になりやがったんだ?
今まで俺より力が弱い奴が強くなるなんて有り得ねぇだろうが!!”────
「アトラ・・・。」
「ラウル、ここからお前も逃げろ。
俺は1人でそいつを倒す
巻き起こしたのは俺の責任でもあるし、その分家を壊しちまった・・・
すまねぇな・・・ 」
「分かった、戻って来いよ!」
そう言いながら玄関の方へ出て家族の方へと逃げ出した。
「さあ殺される相手が1人だ、どうするよ?」
「てめぇ・・・俺様の計画を・・・!」
「そうだ、てめぇの計画を潰したのは俺だ
でも俺達の家族を傷付かせたのはお前の方だ蛸野郎
俺の泡で食らわしてやる・・・」
蛸の男は右手に操る少年の手を跳ね除け、その少年は背中へと打った。
「調子に乗るなよ糞ガキ、てめぇを早く親の所へご案内してやるよ!」
蛸の男は両腕両足の全部で8本あるのを伸び出し、その髭8本も刃物となり、アトラを狙おうとする。
アトラの泡が一気に大量に津波のように流れ込んだ、名は────
「ソープアイランド!!」
────と命名した。
その名の通り、まるで島の山のように尖っており、まるで島のように作り上げるような事により意味合いで作られた。
蛸の男はその“ソープアイランド”の犠牲となり敗戦した。
そして戦いが終わるとアトラは魔力の使い過ぎで気を失い、倒れ込んだ。
その後、家族はアトラを病院へと連れて行き、彼の回復を待っている。
目を覚ましたアトラはキョロキョロしながら周りの景色を確認しながら見ていると黒髪の一つ結きをした看護師の女性がやって来た。
「ここ・・・どこなの?」
「病院よ」
「蛸野郎は?」
「たこ・・・やろう?」
少年の回復を見た看護師はアイラン家の方へと伝えると病室へと入った。
「アトラ!!」
「ミューラ・・・ラウル・・・おばさん・・・おじさん・・・」
「3人から聞いたよ、お前が蛸の男に勝ったって」
「おじさん、ごめんなさい・・・家を壊してしまって・・・」
「いいんだ!お前のせいじゃない!
お前は俺の代わりに家族を守ってくれたんだ!
ありがとう!アトラ!」
「おじさん・・・」
「アトラ・・・。」
「アトラ。」
「アトラ~!」
「みんな・・・ありがとう・・・」
アトラは3日は体を休め、なんとか回復ができた。
しばらく家はリフォームし、仮住まいとして小さなアパートで暮らす事となった。
「しばらくここでお泊まりだ」
「えー。」
「仕方がないだろミューラ」
「むすぅ~・・・」
「でも、俺はここでも大丈夫だ」
「へ?」
「だって俺は狭い所でも家だって思っているから」
「アトラまで・・・。」
「ミューラ、『我慢するのは鍛錬と一緒なんだ。』・・・っておじいちゃんが言ってた!」
「またおじいちゃんの話・・・」
家族との絆はまだ結んだばかりであり、これから深まっていくのだった。
──── 続
もし、普通の人間が右手で石鹸の泡をついてしまったら戦うものでは無かったと思う。
アトラの能力は泡というもの。それは敵から守るものでもあり、人のために動く武器となる。
蛸の男はその右手の泡に対し、馬鹿にしたような笑いで言った。
「ははははははは!
家族ぅ?まさかそんなのがいたとはなぁ、そんなポンコツ魔法で俺に勝てると思ったか?
俺様には吸盤がついてる!そのままてめぇらごと息の根を止める事だってできるのによお!!」
「息の根?じゃあ止めてみろよ
アンタの魔力と俺の魔力、どっちが上か勝負してやるよ。」
「ふざけるな糞ガキイイイ!!」
アトラはその攻撃から右左と避けながら戦う。
床は破壊されているが、それも敵のせいで穴ぼこだらけにされているのだ。
ラウルはその2人の戦いを呆然と見るだけ、能力者同士の戦いに目で追いながら思う。
────“アイツはどうしてそんな難しい敵と戦っているんだ・・・
魔力なんてあの蛸の方が上なのにあの泡でどうやってあの化物と戦うっていうんだ?
神様って奴は本当に変な人間を世界へ生み出したり、世界を2つにして分けたりするんだな・・・
なんだか恐ろしいものをアクションアニメでもなく、実際で1人で見ちまってるからな・・・”────
苦笑しながらその様子を見るラウルはその様子を黙って見守った。
「ガキのクセしてちょこまか動くんじゃねぇよ!」
「ぬああああっ!!!」
床がまた破損し、かなりの大きな穴ぼこになった。
あまりの強さに床が抜けて無くなってしまうんじゃないかという恐怖が外にいる母とミューラが見守っていると父が仕事から自転車に乗って帰ってきた。
「やあミューラたち、ただいま」
「おかえりなさい」
「何故外に追い出されているんだ?」
「アトラと・・・お兄ちゃんが・・・」
「まさか!?」
「貴方!あまり近づかない方がいいわ」
「俺達の家族なんだぞ?」
「でも、貴方がいけば敵の餌食で死んでしまうから・・・。」
「分かったよ、彼奴等を信じて待つ!」
妻の心配をする顔を見た夫は仕方がなく、息子たちの帰りを待った。
戦いは蛸の男が優位に立つと墨を巻かれた体は思うように動かず、アトラは片脚をしゃがみながら相手の動きを伺った。
「おいおい、さっきの勢いどうした?
それじゃあ家族というものを守れねぇかもしれねぇぜ?」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「あん?はぁはぁ?お前声って息切れしている声だったのか?」
────“駄目だ・・・このままじゃあ俺の能力が思うように動かねぇ・・・
一体どうなっていやがるっていうんだ・・・”────
「アトラ!前を見ろ!」
ラウルの声で前の右足が顔面に直撃し、壁に酷いヒビが入った。
「オイ、人の話はちゃんと聞こうっていう事が出来ていねぇようだな。
てめぇをそのまま踏み潰してやるよ・・・」
「アトラアアアっ!!」
────“アイツ・・・泡でなんとか奴を大人しくさせる事ができるかと思ったが、まさかそんな展開が来るとはな・・・。
俺が出来る事は・・・”────
そう思いながら割った椅子の木の尖った破片を頭に思いっきり投げ込んで後ろ頭を深く刺した。
すると血が吹き出し、その刺した頭を抜き、怒りで投げたそいつに向けて睨みつけた。
「てめぇもかガキ・・・この俺様を怒らすのが大好きなようだな・・・。
なら、首を締め上げて吸盤でそのまま窒息死させてやるよ!!」
「ぐううぅぅぅ・・・ハッ!・・・」
泡が一気にその男ごと巨人の手のように掴んだ。
「てめぇの相手は俺だって言ってるだろうが・・・!!」
「ぬぐぐぐぐぐ・・・。」
────“アイツ、いつの間に元気になりやがったんだ?
今まで俺より力が弱い奴が強くなるなんて有り得ねぇだろうが!!”────
「アトラ・・・。」
「ラウル、ここからお前も逃げろ。
俺は1人でそいつを倒す
巻き起こしたのは俺の責任でもあるし、その分家を壊しちまった・・・
すまねぇな・・・ 」
「分かった、戻って来いよ!」
そう言いながら玄関の方へ出て家族の方へと逃げ出した。
「さあ殺される相手が1人だ、どうするよ?」
「てめぇ・・・俺様の計画を・・・!」
「そうだ、てめぇの計画を潰したのは俺だ
でも俺達の家族を傷付かせたのはお前の方だ蛸野郎
俺の泡で食らわしてやる・・・」
蛸の男は右手に操る少年の手を跳ね除け、その少年は背中へと打った。
「調子に乗るなよ糞ガキ、てめぇを早く親の所へご案内してやるよ!」
蛸の男は両腕両足の全部で8本あるのを伸び出し、その髭8本も刃物となり、アトラを狙おうとする。
アトラの泡が一気に大量に津波のように流れ込んだ、名は────
「ソープアイランド!!」
────と命名した。
その名の通り、まるで島の山のように尖っており、まるで島のように作り上げるような事により意味合いで作られた。
蛸の男はその“ソープアイランド”の犠牲となり敗戦した。
そして戦いが終わるとアトラは魔力の使い過ぎで気を失い、倒れ込んだ。
その後、家族はアトラを病院へと連れて行き、彼の回復を待っている。
目を覚ましたアトラはキョロキョロしながら周りの景色を確認しながら見ていると黒髪の一つ結きをした看護師の女性がやって来た。
「ここ・・・どこなの?」
「病院よ」
「蛸野郎は?」
「たこ・・・やろう?」
少年の回復を見た看護師はアイラン家の方へと伝えると病室へと入った。
「アトラ!!」
「ミューラ・・・ラウル・・・おばさん・・・おじさん・・・」
「3人から聞いたよ、お前が蛸の男に勝ったって」
「おじさん、ごめんなさい・・・家を壊してしまって・・・」
「いいんだ!お前のせいじゃない!
お前は俺の代わりに家族を守ってくれたんだ!
ありがとう!アトラ!」
「おじさん・・・」
「アトラ・・・。」
「アトラ。」
「アトラ~!」
「みんな・・・ありがとう・・・」
アトラは3日は体を休め、なんとか回復ができた。
しばらく家はリフォームし、仮住まいとして小さなアパートで暮らす事となった。
「しばらくここでお泊まりだ」
「えー。」
「仕方がないだろミューラ」
「むすぅ~・・・」
「でも、俺はここでも大丈夫だ」
「へ?」
「だって俺は狭い所でも家だって思っているから」
「アトラまで・・・。」
「ミューラ、『我慢するのは鍛錬と一緒なんだ。』・・・っておじいちゃんが言ってた!」
「またおじいちゃんの話・・・」
家族との絆はまだ結んだばかりであり、これから深まっていくのだった。
──── 続
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