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第二章
41 生理現象だ ※
しおりを挟むくたくたになって帰宅し、セオドアが戻って来る前に眠りこけていた俺は、深夜に目を覚ます。
「ン…………っ、は…………ぁ…………」
微睡の中、甘ったるい声が聞こえる。
しかも、その声が自分の口から出ていることに気付いて、戸惑いを隠せない。
胸の飾りが擽ったくて、薄らと目を開けると、ミルクティー色の髪が視界に飛び込んで来る。
ぼんやりと眺めていると、尖らせた舌で、俺のぷくっと膨らむ胸の飾りをぺろりと舐めるセオドア。
…………夢、か。
性行為の「せ」の字も知らない可愛い義弟が、俺の胸の飾りを舐めるなんてありえない。
そう思い、ゆっくりと目を閉じた。
「は、ぁンッ」
いやいや、ちょっと待て!
なんだ今の声は!
しかも、僅かばかりにゾクゾクとした快感を得てしまっているのだが……。
なにより、純粋無垢な俺の可愛い義弟の舌によって、気持ち良くなってしまっている変態な自分に驚きを隠せない。
再度、少しだけ瞼を持ち上げると、指の腹で俺の右の胸の飾りをくりくりと優しく撫でているセオドア。
うっとりとした表情で、俺の腫れ上がる左の胸の飾りを見つめている。
そして舌をぺろりと出して、ゆっくりと舐め上げた。
「んんッ!」
「はあ……イヴ兄様……可愛い……」
ざらりとした舌の感触に、思わず声が漏れる。
だが、気にした様子のないセオドアは、艶かしい溜息を吐いた。
ぎゅっと口を引き結ぶ俺は、状況が理解出来ずに、とにかく寝たフリをし続ける。
するとチョコレート色のガウンの中に手を差し込んだセオドアは、くちゅりと音を立てて、自身の昂りを扱き始めた。
な、なるほど……。
自慰をしたかったんだな。
だがしかし、なぜそれで俺の胸の飾りを舐める必要性があるんだ?
「イヴ兄様……イヴ兄様……」
「っ…………は、ぁ……んッ、んんぅ」
声を出したくないのに、勝手に口から甘ったるい声が漏れてしまう。
激しくじゅるじゅると舐められて、ちゅうっと吸いつかれた俺は、胸を突き出して喘いでしまう。
「ああ、可愛い……可愛い、イヴ兄様……ンンッ」
掌に欲を出したらしいセオドアは、息が上がっている。
乱れた呼吸を整え、用意していたらしいタオルで手を拭いた様子のセオドアは、俺の隣にころんと寝転ぶ。
「一年間、開発した甲斐があった♡」
……うん、なにか実験をしていたのか?
欲を出して上機嫌らしいセオドアは、すりすりと俺の腕に顔を寄せている。
そしてコアラのように足を絡めて、俺の半勃ちの陰茎を優しく撫でた。
「ッあ……」
びくりと反応してしまった俺は、寝たフリに気付かれてしまったかと、顔が強張る。
「ふふっ。もう少しかな?」
なにがもう少しなのか全くわからないが、すやすやと寝息を立てるセオドアは、すごく幸せそうな顔で眠りについていた。
セオドアも自慰行為をするような歳になったんだな、と物思いにふける俺は、再度目を閉じた。
──その日以降。
毎日のように、セオドアが寝ている俺の胸の飾りをいじり倒している。
しかも、俺のアレも反応してしまうから、かなり困っている。
トイレや浴室で処理しようとすると、タイミングが良いのか悪いのか、その度にセオドアがノックして来て声をかけてくるもんだから、たまったもんじゃない。
爆発しそうな程溜まっている俺は、ぼんやりとしながら稽古を終えて、就寝する。
また胸の飾りを弄られるのだろうか、と怯えながら……。
セオドアのおかげで、幼稚な虐めを気にしているどころではない。
うとうとしだした俺を確認したセオドアは、さっそく俺のガウンを脱がしにかかる。
今日は寝たふりはやめて注意しようかとも考えたのだが、なんて声をかけたら良いのかわからずに、やはり寝たふりをする。
「んっ…………ぁ、」
胸の飾りを執着に捏ねくり回されて、多分真っ赤に腫れていると思われる。
もうやめてくれ、と願っていると、ゴソゴソと動きだしたセオドアは、上掛けを被って俺の足の間に潜り込んだ。
そして完全に勃ちあがっている俺の陰茎を、ゆっくりと撫でた。
「あ、…………ん、ッ……くっ……」
柔らかかった小さな手は今では硬くなっており、剣だこのある手で直に触れられて、たまらず声を上げた。
ゆっくりと扱かれて、口を半開きにする俺は、義弟の手で快感を得てしまっている。
こんなこと、駄目なのに……。
そう思えば思うほど、背徳的な感情のせいか、より感じてしまうのだから、本当に情けない。
ひたすら我慢し続けていたが、ここ数日溜まりに溜まっているので、そろそろ限界だ。
「っ……も、やめっ…………ンあッ?!」
ねっとりと温かいものに包まれて、ドクンと陰茎が膨れ上がる。
驚きのあまり上掛けを剥ぎ取ると、顔を蕩けさせるセオドアが、俺の陰茎を咥えていた。
「っ、テディー?!」
「ん。イヴ兄様、起きちゃった?」
頬を上気させて、色っぽい顔をするセオドアは、見せつけるように舌を出して、亀頭をチロチロと舐めながら話しかけてくる。
「ぐっ…………や、やめてくれ」
「なんでです? イヴ兄様、すごく気持ち良さそうな顔してるのに……」
「っ……テディー、頼むっ、ンンッ!」
俺の制止の言葉も聞かずに、じゅぷじゅぷと淫靡な音を立てて口淫するセオドア。
思わずセオドアの頭を掴んだが、補助するように支えてしまっているようで、カッと顔が熱くなる。
「ふ、ぁ……あっ、テディー! んくっ」
「出して良いですよ?」
「っ……や、やだ、やめろ、やめてくれッ、あっ……ぁぁっ……むりだ、テディー、や、やめッ────ッ!」
喉奥まで咥え込まれて、我慢出来ずに射精してしまう。
こくこくと俺の白濁を飲むセオドアの喉が震えていて、気持ち良すぎて奥歯を噛み締めた。
「イヴ兄様、いっぱい出ましたね?」
「っ…………」
「ふふ、色っぽいお顔。本当に素敵……」
唇についた白濁をぺろりと舐めとるセオドアは、いつのまにか大人の男の顔をしている。
義弟にイかされたことも恥ずかしすぎるのだが、エロい顔をするセオドアを見ていられなくて、ぽすりと倒れ込んで右腕で目元を隠した。
「テディー。ダメだろう、こんなことしたら。兄だ、じゃなくて……恋人同士ですること、だぞ?」
兄弟だから駄目だと言おうとしたが、それは言ってはいけないような気がして、既のところで言い換える。
少し咎めるような言い方になってしまったが、セオドアの為に教えているだけであって、責めているわけではない。
それに、我慢出来なかった俺も悪い。
そう思っていると、ぐすっと泣き声が聞こえて、寝ていた体を起こした。
「テディー?」
「僕っ、イヴ兄様を、元気付けたくて……」
「……え?」
「だって。第一に決まってから、全然元気がなかったから……。心配だったんですっ」
そうだったのか、と呟きつつ抱きしめたが、元気付け方が独特すぎる気がするのは俺だけか?
でもセオドアなりに俺を励まそうとしてくれていたのだから、嬉しいことには変わりない。
「気を遣ってくれてありがとな」
「はいっ! だから、明日からも僕が元気付けますね?」
「……ん? あ、えっと、もっと普通に、」
「明日も頑張りますねっ!」
にこにこの笑顔のセオドアは、もごもごと話す俺の横にさっさと寝転んだ。
「イヴ兄様、おやすみなさい」
脱力する俺に抱きつくセオドアは、至極幸せそうに頬を緩めている。
この顔を見ると、俺はなにも言えなくなる。
「…………おやすみ。可愛いテディー」
大人しく寝転んで優しく抱きしめ返すと、太腿にゴリッとセオドアのアレを擦り付けられたが、目を閉じて無になるように努めた。
しかも、俺のモノより大きかった気がするが、勘違いだと思う。
もうなにも考えたくないし、射精後でふわふわしている俺は、すぐに眠りについた。
その後。
幻の聖剣を手にした俺は、襲い来る魔物達から小さな勇者を守る夢を見た。
夢の中で幸せな気分に浸っていた俺は、セオドアが俺の手を使って自慰行為をしていることに、気付くことはなかった。
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