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21 ※ 愛されている証
しおりを挟むフレイが積極的な行動を取ったのは、初夜の一度きりだけだ。
はしたない真似をしてしまったかもしれないと、フレイはヒヤヒヤしていたが、たちまちヴァレリオの顔が華やぐ。
「ああ、もう。本当にかわいいな、フレイは……」
夜空色の瞳が熱を持ち、ヴァレリオの雰囲気が変わった。
深く口付けるために、大きな手で後頭部を押さえつけられただけで、フレイは全身の力が抜けて、ヴァレリオにしなだれかかっていた。
「んっ……」
熱い舌が差し込まれ、ゆっくりと絡み合う。
ヴァレリオにしがみつくフレイは、拙い舌使いで、懸命に応える。
不安な気持ちが膨らんでいたため、フレイはヴァレリオと触れ合いたくてたまらなかったのだ。
「フレイ……。わかっているとは思うけど、私以外に、こんなことをしてはいけないよ?」
普段より少し低い声に、背筋がぞくりとする。
なぜ、天地がひっくり返ってもありえない話をするのだろうか……。
とろんとした目を開けば、壮絶な色気を醸し出すヴァレリオが、フレイを見下ろしていた。
有無を言わさぬ瞳で見つめられ、フレイは慌てて頷く。
「いいね?」
「――っ、は、ぃ……っ」
ゆっくりと押し倒され、ヴァレリオに求められていると感じたフレイは、歓喜する。
共に過ごした日々の中で、ヴァレリオはフレイに対して恋愛感情が芽生えなかったとしても、情はあるのではないだろうか。
ヴァレリオからは、思いやりや、慈しみの気持ちが感じられるのだから――。
意識を飛ばしてしまう前に、フレイはヴァレリオの気持ちを確認することにした。
「僕は、ヴァレリオ様のことが大好き、ですっ。ずっと、一緒にいたいと思っています。……ヴァレリオ様も、僕と同じ気持ち、ですか……?」
フレイが恐る恐る尋ねたからか、ヴァレリオはハッと目を見開いた。
(もし、お義父様の話した通り、ヴァレリオ様が僕を愛していなかったとしても、僕はヴァレリオ様を愛している……)
期待と不安を抱えた瞳で返事を待っていれば、ヴァレリオはなんとも幸せそうに笑った。
「ああ、もちろんだ。愛してるよ、フレイ」
「っ……」
強く抱きしめられ、フレイは涙が出そうだった。
優しいヴァレリオのことだ。
元婚約者のこともあり、フレイを不安にさせまいと、愛を囁いてくれたのだろう。
フレイはみっともない行動を取ってしまったことを恥じていたが、フレイの全身に口付けを送るヴァレリオは、酷く嬉しそうだった。
「フレイには悪いけど、何があっても手放すつもりはないよ」
「っ、ふ、ぁ……」
普段よりもきつく吸われ、フレイはビクッと体を震わせる。
それから、フレイがぐったりとするまで全身を愛撫されてしまった。
「フレイ、おいで」
「っ……」
そして、彫刻のような肉体を、惜しげもなくさらすヴァレリオが手招きをする。
また膝の上に乗るように促されたが、フレイは恥ずかしくて「で、できません……っ」と首を横に振った。
「さっきはしてくれたのに?」
「っ、ぅぅぅう~~……」
揶揄われたフレイが赤面すれば、ヴァレリオがくつくつと笑った。
それから軽々と抱き上げられたと思ったら、すでに大きくなっているモノを、後蕾に押し付けられる。
早く入りたいとばかりに擦り付けられただけで、後蕾はヒクヒクと期待するように動いてしまう。
「んんんぅ~っ、ヴァレリオ、さまっ……」
「っ、ああ、あまりに可愛い反応をするから……。意地悪してごめんね?」
「あっ! ひああぁァ――ッ!!」
ぐっと奥まで突き上げられ、フレイの目の前に火花が散った。
「はぁ……ぁっ、……んんぅっ……」
口付けながら、ゆっくりと突き上げられる。
しっかりと抱きしめられ、至福の時間だ。
「はあー……幸せだ」
「っ、」
思わずと言ったように漏らしたヴァレリオの言葉に、フレイは中をキュンとさせた。
ぱちゅんぱちゅんと音が鳴り、耳を犯される。
どこもかしこも気持ちよくて、もうヴァレリオのことしか考えられなくなっていた。
(こんなことされたら、誰だって、愛されていると勘違いしても、おかしくないよ……)
フレイの全身には、赤い花が散っている。
まるで、ヴァレリオに愛されている証のようだった。
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