炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています


 男爵家出身のレーヴェは、婚約者と共に魔物討伐に駆り出されていた。
 婚約者のディルクは小隊長となり、同年代の者たちを統率。
 元子爵令嬢で幼馴染のエリンは、『医療班の女神』と呼ばれるようになる。
 だが、一方のレーヴェは、荒くれ者の集まる炊事班で、いつまでも下っ端の炊事兵のままだった。

 先輩たちにしごかれる毎日だが、それでも魔物と戦う騎士たちのために、懸命に鍋を振っていた。
 だがその間に、ディルクとエリンは深い関係になっていた――。

 ディルクとエリンだけでなく、友人だと思っていたディルクの隊の者たちの裏切りに傷ついたレーヴェは、炊事兵の仕事を放棄し、逃げ出していた。

(……僕ひとりいなくなったところで、誰も困らないよね)

 家族に迷惑をかけないためにも、国を出ようとしたレーヴェ。
 だが、魔物の被害に遭い、家と仕事を失った人々を放ってはおけず、レーヴェは炊き出しをすることにした。
 そこへ、レーヴェを追いかけてきた者がいた。

『な、なんでわざわざ総大将がっ!?』








 同性婚が可能な世界です。
 女性も登場しますが、恋愛には発展しません。





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