100回目の口付けを

ぽんちゃん

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その後

62 一番嬉しい贈り物

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 ユーリに泣き止んで欲しくて、下見に行った際の詳細を話すことにした。

 チャーリー君がお店にいたこと。その時にディーン様の弟君に、チャーリー君が胸ぐらを掴まれて何やら喧嘩になっていたこと。

 仲裁に入った際に、ディーン様に言い寄るなと言われて、ユーリの恋人だからそんなことはしないと約束したことを話すと、泣いていたユーリがいきなり顔を上げて、極悪人面を披露する。

 「笑える」
 「えぇ?!」
 「ヴィーに気付かなかったとはいえ、自ら墓穴を掘るとは。クククッ」
 
 ご機嫌に笑うユーリは、「さすがヴィー!」となぜか僕のことを褒め始める。

 「でも、帰りに僕が王子って気付いたからか、泣きながら謝罪し始めて、怒ってないって言ってるのに、全然泣き止まなくて大変だったんだ。それであの日はお迎えに遅れちゃって……」
 「クククククッ、良い。全然良い。ヴィーは悪くない。最っ高!」

 極悪人面のまま僕の顔中にキスの雨を降らせるユーリは、最高だと呟き続ける。

 「怒ってない?」
 「怒るわけがない。もっと言ってやれ」
 「えぇ~可哀想だよ、すごく泣いてたもん。それに、なぜか最後は僕に向かって拝んでたし。僕は兄様達と違って不出来な王子なのにね?」
 「クククククッ、もう笑わせないでくれ」

 笑わせるようなことは言っていないのに、ユーリがゲラゲラと笑い続ける。

 それから僕の頬を包み込んで、にっこりと笑みを深める。

 「誕生日の計画、嬉しかったよ。俺のせいでサプライズにはならないけど、それでも先に知れて嬉しい。自分の誕生日なんてすっかり忘れてた。当日は、二人きりで楽しもう。その日は思い出に残るような素敵な一日にしよう」
 「うんっ!」
 「あーもー、今すぐヴィーを抱きたい……」
 「…………する?」
 
 頬を赤らめる僕は、一週間予定が早まることになるけど、今のふわふわした気持ちのまま初体験をしても良いかな、と思って口にする。

 そんな僕に首を横に振ったユーリは、蕩けるような笑顔を見せる。

 「誕生日プレゼントじゃないの?」
 「っ……読んじゃったの?」
 「ククッ。ヴィーの処女がプレゼントだなんて、最高すぎる。今までで一番嬉しい贈り物」
 
 当日は僕の体にリボンを巻いてくれ、と言い始めたユーリに、同じようなことを言っていたナポレオン兄様を馬鹿にしていた僕は、さすが親友だなと兄様を尊敬した。

 それからイチャイチャする僕達は、誕生日にスムーズに初体験が出来る様に、と厭らしい顔をするユーリに寝台に運ばれて押し倒される。

 「あっ……んんっ、ゆーりっ……」
 「気持ち良い?」
 「ひゃっ、や、やだっ、そこばっかり……んっ、広げるんじゃ、なかったのぉ?」
 「ククッ。そうだよ?」

 初めては痛くないように広げておこう、と後蕾に指を埋めてパラパラと動かすユーリは、僕の一番弱い部分ばかりを執着に攻めまくる。

 しかも今回は間近で顔を見ながら触られて、恥ずかしすぎてたまらない。

 「んっ……ぁっ……ぁっ……ぁあっ……」
 「可愛い声が出てきたね、ヴィー」

 唇を啄まれながら褒めるように囁かれた僕は、かぁっと頬に熱が集まる。

 「ヴィーの可愛い声を聞くと興奮する」
 「っ…………恥ずかしぃょ……あっ、あんッ」
 「はぁ……、早く結ばれたい」
 「んっ、僕もだよ、ゆーりっ。だいすき」

 深く口付けられて、しこりの部分を押し潰されるように触られた僕は、足の先を丸めてユーリの指を締め付けながら達していた。

 「凄い、中がヒクヒク痙攣してる」
 「はぁ……はぁ……そんな感想、言わないでっ! んんっ」
 「挿れたらすぐにイキそう」
 「っ、ゆーりっ! ん、ひあッ……」
 「ふふっ、想像した?」

 ゆるりと首を傾げて口角を上げる色っぽいユーリに、僕はたじたじになってぎゅっと目を瞑る。

 「初めては、ヴィーの身体の為にも一度だけにする予定だったけど……。指だけでこんな可愛く乱れる姿が見れるんだから、当日は止められないかも」

 ゆるゆると指を動かし始めたユーリの腕にしがみついた僕は、火照るだらしない顔のままユーリを見上げる。

 「ふぅ……いい、よ。僕、ゆーりといっぱい、したいっ」
 「っ……素直なヴィーは破壊力抜群すぎて困る」

 僕を虐めて楽しんでいたユーリが、頬を赤らめてむすっとする様子が可愛くて、口許が緩んでしまう僕は、こてりと首を傾げる。

 「僕……いつも、色っぽいゆーりに振り回されてるんだから、たまには困って?」
 
 ぎゅっと口に力を入れて、大きな手で目元を隠すユーリは深く長いため息を吐く。

 ……かなり照れているらしい。

 「あのさ。なんだかんだで、毎回振り回されてるのは俺なんだけど」
 「ふふっ、そうだったの? 余裕そうに見えるけど……」
 「そんなわけあるか。ずっと好きだったヴィーに触れるだけで、理性が焼き切れそうになる」

 むっとするユーリがぐちゅぐちゅと厭らしい水音を立てながら激しく指を動かし始めて、僕は会話を続けることが出来なくなって、ユーリにしがみつきながらあんあんと喘ぐのだった。

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