100回目の口付けを

ぽんちゃん

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その後

55 犯罪級の可愛さ ユーリ

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 「あれれ~? 今日もお迎え来てないね?」
 「もう飽きられちゃったぁ?」
 「どうせ、がっついて嫌われたんだろ?」
 「天使を穢した罰じゃね?」

 けらけらと嘲笑う同期達を一瞥する俺は、内心図星を突かれてめちゃくちゃ焦っていた。

 いや、もう、ガチで嫌われたと思う。

 俺の可愛いヴィーを怒らせてしまってから、頷いたり、首を振ったりでジャスチャーはしてくれるけど、全然喋ってくれないんだ。

 完全に無視されているわけでもないけど、ヴィーの可愛い声を聞けないのは辛い。

 お泊まり会じゃない日も、いつも迎えに来てくれて、ヴィーの部屋に寄って少しだけお茶をして帰るルーティン。
 
 それがこの六日間、ゼロ。

 ヴィー不足で死にそう。

 今日はお泊まり会の日なんだけど、このままスルーされるのだろうか。

 稽古の終わる号令を聞きながら、一応ヴィーの元へ顔を出そうかと考えていると、遠巻きにユメルに付き添われたヴィーの姿が確認できた。

 ユメルに何かを話しかけられて、俯きながらこくりと頷くヴィーは元々儚げな印象だからか、悲壮感が漂っている。

 「悪魔の春は短かったな」
 「ついにフラれるのか」
 「じゃあ、次は俺がお相手にっ!」
 「お前だと、天使とゴリラカップルだな!」

 先輩達の揶揄う声を右から左に流そうとするが、俺の元にとぼとぼと歩いてくるヴィーは、明らかに別れを切り出そうとしているようにしか見えない。

 心臓がドクドクと嫌な音を立てて、じりっと後退ってしまう。

 どんな屈強な相手にも後退ることなんてしない俺だが、愛するヴィーにだけは、心底弱い。

 そして俺の前に立ったヴィーは、泣きそうな顔で俺を見上げる。

 「ユーリ、ごめんね……」
 「っ…………ヴィー、嫌だ、聞きたくない」
 「……お願い。聞いて」
 
 縋るように見つめられて、こんなときでもアメジストの瞳がすごく美しいと思ってしまう。

 「僕……」
 「嫌だ!」
 「ユーリ……、あのね、僕……」
 「っ、やめろ……」
 「変態じゃなかったみたい」
 「…………………………………は?」

 目を丸くして瞬きをしまくる俺は、素っ頓狂な声を出す。

 そんな俺を真剣な表情で見つめるヴィーは、だらりと下がっている俺の手に薄い本を握らせる。

 「これと、同じこと、したい……」

 よくわからないままパラリと本を開いてすぐさま閉じた俺は、頬を紅潮させる。

 同じように顔を真っ赤にするヴィーは、「恋人の特権、だから」と呟いて、胸の前で手をもじもじとさせる。

 「ま、まだ、最後までは、怖いけど……。大好きなユーリと、えっちなこと……したい……」
 「っ、」

 物欲しそうなとろんとした顔で見つめられて、目が釘付けになった俺は、暫く呼吸をすることを忘れていた。

 他の奴らのひゅっと息を呑む音が聞こえてハッとした俺は、慌てて犯罪級にエロ可愛すぎるヴィーを抱き抱えて走りだす。

 そして、口許に手を当てて、上品にくすりと笑うユメルの横を猛ダッシュで通り過ぎた。

 あの眼鏡っ! やりやがったな!

 純粋なヴィーにあんな台詞を吐かせるなんて、後で絶対にしばいてやる!

 内心ブチギレ状態の俺だが、頬を赤らめるヴィーが、控えめに俺の胸元にしがみついているから、怒りも一瞬で吹っ飛ぶ。

 部屋についてすぐヴィーを下ろし、両肩に手を置いた俺は、人前であんなことを言ってはいけないと諭そうとしたのだが。

 期待するように可愛く上目遣いで見つめられて、たまらず口付けていた。

 俺の首に腕を回したヴィーは、ぎゅっと抱きつきながら口内に舌を差し入れて、擦り合わせる。

 俺の舌を吸いながら「ユーリの唾液、もっと飲みたい」と囁かれて、頭の中でプツンと何かが切れる音がした。

 俺の唾液でしとどに濡れる小さな唇を、舌を出してぺろっと舐めたエロ可愛いヴィーを抱き上げると、少しも離れたくないとばかりに俺の腰に足を回してしがみつく。

 ……控えめに言って、クッソ可愛い。

 すぐにでもいちゃつきたいが、さすがに汗臭いだろうと浴室に向かおうとすると、ヴィーは口付けたままイヤイヤと首を横に振る。

 「ヴィー、汗掻いたから……」
 「ユーリは汗を掻いても良い匂いだ、って言ったでしょ?」
 「……本気か?」
 「僕もう我慢できない。ユーリの汗も舐める。僕はユーリの全てが好きなんだもん」

 唇を離して「だめ?」とこてりと首を傾げるヴィーが可愛すぎて、鼻血が出そうだ。

 悶える俺に痺れを切らしたのか、ヴィーが絨毯の上に降りて、たどたどしくも大急ぎで俺の服を脱がしていく。

 されるがままの俺は、全裸で壁に背を預けて、完全に勃起している陰茎をはむっと咥えられた。

 汗臭いはずなのに、蕩けた顔で俺を見上げながら口淫するヴィーは、めちゃくちゃ幸せそうな顔をしている。

 「くっ…………ヴィー、」
 「んちゅ、っちゅぷ、ゆーり、しゅきっ」
 「っはぁ……俺も、大好きだよ。ヴィー」

 苦しそうにしながらも小さなお口でぐぐぐと喉奥まで咥えこむヴィーは、涙目になっていて、半端なくエロ可愛い。

 「ゆーりの、んちゅッ、ちょーらいっ?」
 「っ、」
 「いっぱい、のみたいっ……僕のお口の中、ゆーりの精子で、いっぱいにして?」


 ーープッツン。
 

 完全に理性が焼き切れた俺は、厭らしい顔で可愛くおねだりするヴィーの頭を鷲掴んで喉奥を犯して射精した。

 「んぐっ、んんんぅっ!」

 顔を真っ赤にさせて涙を流しながら、ごくごくと必死に俺の精子を飲むヴィーの姿に、ぶるりと全身に鳥肌が立つ。

 射精して冷静になった俺は、慌てて陰茎を抜いてコホコホと咳き込むヴィーを抱きしめた。

 「ごめん! 本当にごめん、ヴィー」
 「こほっ、だいじょーぶ。もっと、舐めたい」

 俺の胸元を弱々しく押して四つん這いになったヴィーは、膝立ちになった俺の汚れた陰茎をぺろぺろと舐めて掃除し始める。

 熱の孕むアメジストの瞳に射抜かれて、射精後で萎えていたはずの陰茎はぐんっと力を取り戻す。

 赤く色づく小さな唇を白濁まみれにしながら、ぺちゃぺちゃと音を立てて陰茎を舐められた俺は、たまらず唸り声を上げるのだった。

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