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その後
53 責任とって
しおりを挟むパチリと目が覚めると、ベトベトだった身体が綺麗さっぱり清められており、温かな熱に包みこまれていた。
体が突き抜けるほどの快楽が走り、とめどなく流れる快感の波に押し寄せられた僕は、射精と同時に気を失ったらしい。
冷静になって思い出すと、馬鹿みたいに喘いで変なことを言っていた気がする。
「ユーリ……」
「ん、ヴィー? 大丈夫? しんどくない?」
僕を優しく包み込んでいたユーリは、僕の顔色を伺いながら白銀の髪を何度も撫でてくれる。
「僕のこと、嫌いになった?」
「え? なんで? 大好きだよ。あ、でも……」
ごくりと唾を飲む僕に、優しく微笑んだユーリは「もっと好きになった」と低く甘い声で囁く。
よく覚えていないけど、後蕾に指を挿れられて善がり狂ったことだけは事実だ。
そんな変態な僕をもっと好きになったと宣うユーリは、僕よりも変態なんじゃないかと思う。
嫌われていなかったことに安堵したけど、今の状態で、指より太くて熱いユーリのモノを挿れられたらと想像しただけで、後蕾がぞくりと疼く。
……あぁ、もう、僕はどうしようもない変態に成り下がってしまった。
お尻なんかで感じてしまうと思っていなかった僕は、じわりと涙が込み上げてきて、発散することのできない感情を持て余す。
そして「ユーリのせいだ」と呟く。
ユーリはなにも悪くないのに、人のせいにする僕は、本当に情けない屑。
「ヴィー? 何が悲しかった? やっぱり……嫌だった?」
「っく……ひっく……っ」
「ごめんね、止められなくて。もうしないよ、だから泣かないで……」
優しく目尻にキスを落としてくれるユーリは、僕が泣き止むまで、怖がらせたことを謝罪し続ける。
確かに怖かったのは事実だけど、僕が悲しい理由は、お尻を舐められることを嫌がっていた癖に、舐められて、指を挿れられて、気持ち良くなって。
さらに今は、指よりユーリのモノを早く挿れて欲しいと願ってしまっている、その自分の変態加減に泣けているんだ。
……そんなことは口が裂けても言わないけど。
「許して、ヴィー。もうしないから……」
「……うん。じゃあ、僕にも同じことさせて」
息を呑むユーリは、これでもかと驚いた様子で、目を瞬かせる。
「僕の身体、ユーリのせいで、どんどんおかしくなってる。だから、僕も、ユーリのことを変態にしてやるっ」
「………………プフッ」
「なんで笑ってるの。真剣な話してるんだけど」
「ご、ごめん。怒らないで? ヴィーがあまりにも可愛いこと言うから……」
「ふんっ。僕もしてもいいよね? ユーリはさっき、僕のことを弄んだんだから! 次は僕がユーリをあんあん言わせて、変態にしてやるっ!」
僕にじっとりとした目を向けられて顔を取り繕っていたユーリは、堪えきれずに盛大に吹き出した。
腹を抱えて笑い始めたユーリは、指先で目尻の涙を拭う。
なにも面白いことは言っていないんだけど、ツボに入ったみたいだ。
「笑って誤魔化す気?! 僕を変態にしておいて……許さないっ……絶対に……」
「もー、本当ごめんっ! ククッ、可愛すぎて、無理だった! 愛してるよ、ヴィー。キスしよ?」
「嫌! 絶対に嫌っ!」
逞しい胸板をぽかぽか叩く僕を簡単に抱き込むユーリは、僕の顔中にキスの雨を降らせる。
どう頑張っても力では敵わないから、ぎゅっと目を瞑って口を引き結んで細やかな抵抗をする。
結局、ユーリが見えない耳をしゅんとさせて、さらには瞳をうるうるさせて、あざと可愛くキスがしたいとおねだりをしてくるから、渋々口を開いた僕は、ユーリの舌を招き入れる。
「愛してるよ、俺の可愛いヴィー」
「……責任」
「ん?」
「それなら、責任とって?」
むすっとした顔のままユーリを睨む。
「僕をえっちな体にした責任! とってよ!」
「っ…………も、もちろん。………………クッ」
「~~っ! もうユーリなんて知らないっ!」
忌々しいユーリの顔に枕を投げつける僕は、くるっと反対を向いて、体を小さく丸めて上掛けを被り、眠る体勢に持ち込む。
拗ねる僕にひたすら謝罪するユーリは、僕の体にしがみついて離れない。
何度手を払っても、抱きついてくるから、もう諦めて、ユーリが疲れて寝るまで無視し続けるのだった。
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