100回目の口付けを

ぽんちゃん

文字の大きさ
上 下
2 / 65

2 幼少期の悲惨な現状

しおりを挟む


 幼少期の僕は、一言で言うと悲惨だった。

 身体が弱く、可愛らしい見た目のせいで、何度かロリコンの変態にちょっかいをかけられていた。


 まずは、少しお年を召した家庭教師の先生。

 彼には問題を解いて正解する度に「よく出来ました」と、頬ずりをされていた。

 両親や兄様にもされていることだし、僕は特に気にしていなかった。

 だけど、間違えた時はズボンを下げられて、お尻を優しくぺちんと叩かれる。

 それが嫌で勉強を頑張ってはみたものの、僕は優秀な兄様達と違って出来損ないだった……。


 ある日、熱っぽかった僕は、ぼんやりしていて勉強に身が入らず、何問も間違えてしまい、先生にたくさんお尻を叩かれた。
 
 湯あみの際に、赤く腫れているお尻を見た使用人が眉を顰めていた。

「どこかにぶつけられたのですか?」
「ううん、今日はたくさん問題を間違えたから、先生にぺちんされた」
「…………いつからです?」
「いつ? うーん、最初から?」

 にっこりと素直に答えた次の日、新しい家庭教師の先生が来た。

 その先生はすごく優しくて、問題を間違えてもお尻を叩かれることはなかった。

 気を遣ってくれているのだろうと思って、間違えてしまったときに自らお尻を出すと、家庭教師の先生は泣きながら僕を抱きしめた。

 泣き止んで欲しくて「今度の先生は優しいね」って言ってみたら、より泣かせてしまった。

 今回の先生は、泣き虫先生だったみたいだ。


 


 次に、毎日お見舞いの花を持ってきてくれていた若い庭師。

 純朴そうな優しい彼は、手塩にかけて育てた綺麗な花をいつも持って来てくれていた。

 小さな可愛いお花を僕の髪に飾ったりして遊ぶ彼とは、すごく仲良しだったと思う。

 土いじりをした硬めの手で、いつも僕の頬を撫でたり、身体中を触っていた。

「ヴィヴィアン様は、柔らかくて癒されます」
「ロンが癒されるなら、たくさん触って良いよ」

 庭師の師匠が厳しくて、辛い思いをしていることを打ち明けられた僕は、彼を励まそうといつも笑いかけていた。


 ある日、花を持ってきて花瓶に飾ってくれた彼は、使用人が席を外した時に、僕のズボンを脱がせて太ももを撫で始めた。

「あっ、ロン、そこはくすぐったいっ」
「もちもちで……一番癒されます」
「ロンっ……だめだよっ、あっ!」
「っ……」

 ロンが僕の太ももに顔を埋めてぺろぺろと舐め始めて、犬と戯れているような気になった僕は、ロンのふわふわな茶色の髪をわしゃわしゃと撫でる。

「っ、ヴィヴィアン様!」

 ハァハァと犬のように息をするロンは、目を血走らせていた。

「……ロン? 具合が悪いなら、早く帰った方がいいよ。お師匠さんには、僕から言っておくよ」
 
 よしよしと頭を撫でてあげると、興奮していたロンは急に泣き始めた。



 次の日。
 お花を持ってきてくれたのはロンじゃなく、ロンのお師匠さんだった。

 彼は心身共に疲れて、庭師を辞めたそうだ。

「そっか……。頑張って慰めてたけど、僕の力じゃどうすることも出来なかったんだね……」
「っ……ヴィヴィアン様、」
「……ロンに会いたいね」

 いつもロンが持ってきてくれていた小さなお花を見つめて呟くと、お師匠さんが大号泣し始めた。

 きっと、ロンに辛く当たりすぎたと彼も反省しているのだろう。

 そう思った僕はズボンを脱いで、お師匠さんの手を取って、柔らかな太ももを触らせてあげる。

「癒された? お師匠さんが元気になるなら、たくさん触っていいよ」

 泣き止んで欲しくてにっこりと笑うと、お師匠さんが膝をついて咽び泣き始めた。

 やはり出来損ないの僕じゃ、誰の力にもなってあげることができないんだと再確認したのだった。



















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...