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☆書籍化記念★おまけ
星祭りの願い
しおりを挟む多くの人の熱気で、少し蒸し暑い夏の夜。
街中の木々には、赤、青、黄、紫、白の細長い紙が飾られている。
「わあ、すごいっ! これが、帝国の星祭り……」
爽やかな風がカラフルな短冊を揺らし、僕は感嘆の声を上げた。
八月七日に行われる、星祭り。
アダムとエヴァン様に招待され、僕はヴィンセント様と帝国に遊びにきていた。
俗に言うダブルデートだ。
星祭りの日に着る、特別な民族衣装に身を包む。
水色で涼しげな衣装は、動くたびに裾がヒラヒラとしてとっても綺麗だ。
浮かれる僕が辺りを見回していると、ぐいっと引き寄せられる。
「アデル。悪い輩に拐われないように、絶対に私から離れないで? 今日のアデルは、いつにも増して美しいから心配なんだ」
絶対に守るけど、と付け加えたヴィンセント様は、本当に心配そうな表情だ。
そして腕組みしたアダムも同意する。
「そうだぞ、アデル。今回ばかりは、俺もコイツの意見に賛成だ」
「ええ、そうですね。アデル様は愛らしい印象でしたが、今日はこの上なく麗しいお姿です。ヴィンセント様が心配性になってしまうお気持ち、痛いほどわかります」
(ウルワシイ……? 僕が?)
三人の圧に、僕は戸惑いつつも頷いた。
だって彼らの方が美しいからだ。
背も高く、スタイルも良い三人は、青い衣装が似合いすぎている。
加えて、内面から滲み出るオーラを隠しきれていないのだ。
行き交う人々に熱い視線を向けられていた。
その視線に慣れているのか、気にした様子のないエヴァン様が話し始める。
「今日は、オリヒメサマとヒコボ……いえ、遠距離恋愛中の王子様とお姫様が、天の川という星の川を渡り、一年に一度だけ会える夜なんですよ」
星祭りは『恋人の日』とも言われていて、お互いのパートナーに感謝を伝える日でもある。
ちなみにこの素敵なお祭りは、幼少期のエヴァン様が広めた文化だそうだ。
博識なエヴァン様に感服する。
「一年に、たった一度だけしか会えないのか……。想い合っていても、辛いだろうな」
悲しげにつぶやいたヴィンセント様が、満点の星空を見上げる。
きっと、年に一度しか会えない恋人たちの立場に立って、いろいろと考えているのだろう。
「私は毎日、アデルの顔を見られて幸せ者だな」
憂いを帯びたの横顔に見惚れる僕は、ヴィンセント様の手をそっと握った。
「僕たちもいつか、お星様の川を一緒に歩いてみたいですね?」
「っ……お星様の、川……」
そうつぶやいて固まるヴィンセント様の隣では、アダムも同じような顔で硬直している。
ひとり、桃色の髪を掻きむしるエヴァン様は「可愛すぎますよアデル様ああ!!」と、なにやら早口で叫んでいた。
「あっ。でも、僕たちは毎日一緒にいるのに、仲良くお星様の川を渡ったら、王子様とお姫様に怒られちゃう、かな……?」
「――俺の弟が、可愛すぎてしんどい……」
突然、アダムが胸を押さえる。
ふざけているのかと思いきや、エヴァン様に支えられて、本当に胸が苦しそうだった。
その後、華やかな短冊を見に行く。
短冊に願いを書いて木に飾ると、もしかしたら願いが叶うかもしれないそうだ。
「お菓子がたくさんふってきますように、だって。可愛い願いだね」
願いを読んだヴィンセント様がくすりと笑う。
子供の可愛らしい願いに、僕もほっこりとする。
「雨のように空からお菓子が降ってきたら、子供だけじゃなく、大人も喜びそうですねっ!」
「ククッ。アデルが喜んでいる姿が想像できたよ」
ヴィンセント様だけでなく、エヴァン様にまで微笑ましい顔をされてしまう。
恥ずかしくなったけれど、僕自身も子供たちに混ざって、喜んでお菓子を掴もうとする姿が想像できてしまった。
頬の熱を誤魔化すように、他の願いを眺める。
家族の健康や、将来の夢が多く書いてあった。
(みんなの願いが叶ったらいいなぁ……)
「大金持ちになれますように……って。俺の願いと同じじゃねェか!」
アダムのツッコみに、どっと笑いが起こる。
それから、それぞれ短冊に願いを書いていく。
ヴィンセント様とエヴァン様は、ふたりとも『伴侶とずっと一緒にいられますように』といった、愛に溢れる願い事だった。
「アデルはなにをお願いしたの?」
ヴィンセント様の焦茶色の瞳は、なにかを期待するかのように輝いている。
でも僕は、短冊を後ろ手に隠した。
「とっても欲張りなお願い事なので……あっ!」
素早い身のこなしのアダムが、いつのまにか僕の短冊を持っていた。
そして僕が止める間もなく、アダムが読み上げてしまう。
「なになに? ――みんなの願いが、叶いますように……」
「「「っ……」」」
とっても欲張りな願いだというのに、なぜか三人ともうっとりとした顔だ。
ほんわかとした空気が流れ、街の人々にも伝わっていく。
「アデルらしいね」
とても優しい口調で、柔らかく微笑んだヴィンセント様に抱き寄せられる。
さりげなく頬にキスをされ、僕は大好きな人に寄り添った。
「んじゃ、屋台巡りでもしますか!」
アダムに勧められた屋台を見て回る。
僕の食べたことのないものばかり売っていて、感動の連続だった。
特に、冷たい氷に甘い蜜をかけたデザートが僕のお気に入りだ。
それから、アダムと串焼きを大人買いして、街のみんなに配ったりもして、とても楽しい思い出を作ることができた。
「また来年も一緒に来ようね」
「っ、はいっ! 今から楽しみですっ!」
ヴィンセント様と約束し、僕は満面の笑みで答える。
街で一番高い木のてっぺんには、僕の短冊が飾られていた――。
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ぽんちゃん様
書籍化とのこと、おめでとうございます♡
アデルちゃんの可愛さに、また読んだ人は癒されるんだろうなぁ☺
番外編もありがとうございますm(__)m
アデルちゃんらしく、ピュアで優しい願いごとに、心が浄化されました( *´艸`)
♡四葩様♡
嬉しいお言葉をありがとうございますーッ‼︎(((o( ´。›ω‹。` )o)))
すべては、応援してくださった読者様のおかげです♡(๑o̴̶̷̥᷅﹏o̴̶̷̥᷅๑)
番外編も読んでくださり、嬉しい限りですッ‼︎
また四葩様がキュンキュンするような作品を書けたらなぁと思います♡(๑′ฅฅ‵๑)
ありがとうございました♡(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
書籍刊行おめでとうございます。漫画にもなるのではないかと期待しております。楽しみです。
♡ちっちゃん様♡
嬉しいお言葉、ありがとうございます‼︎⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾
とっても嬉しかったです♡♡
書籍化していただいただけでも感無量ですーッ‼︎(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)♡
また読者様が楽しめるような作品を書けたらなぁと思います♡(`・ω・´)ゞ
あたたかいお言葉をありがとうございました♡(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
ぽんちゃん様
書籍化おめでとうございますヽ(=´▽`=)ノヤッホ~
刊行予定を見て、書籍化という嬉しいニースを知りました。
『まだかな〜、まだかな〜』と確認していて良かったです。
(ストーカーっぽい? まさにそれ!……いや、そこはスルーでお願いします (*´σー`)エヘヘ)
8月7日頃出荷予定とあったので、その日に本屋にダッシュしますε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
♡♡矢野りと様♡♡
嬉しいお言葉、ありがとうございますーーッ‼︎(((o( ´。›ω‹。` )o))) 大好きですーーッ‼︎‼︎
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