上 下
40 / 105
◆一年生◆

*38* 卵の雛は大空の夢を見るか。

しおりを挟む

 場所の移動を提案してみたものの、この時間帯に寮の食堂に行ってもベルジアン先輩のファンの子達に会話を邪魔されるのは目に見えている。だから先輩には一旦女子寮の裏口で待ってもらい、私はその間に食堂でポットにお湯を一杯もらってからこっそりと部室である温室へと向かった。

 しかし五日ぶりに見た部室はこんもりとした真っ白の小山になっていて、あの二人が私がいない間あまりここへやってきていなかったことが分かる。何だかんだと年末の行事や帰省を前に二人とも忙しかったんだろうね。

 だから私が先輩を招き入れるためにまずやったことといえば、ベコリと真ん中の窪んだ銀色のトレイで雪かきをして温室までの道を作ることだった。足首辺りまでしか積もっていないとはいえ、相手はきちんとしたところのお嬢様だから、ブーツが汚れるのは嫌だろうし。

 ベルジアン先輩には少しの間だけ渡り廊下の端でポットを預かって待っていてもらうことにして、私は中腰のまま手にしたトレイをドジョウすくいの要領で動かして道を作る。今のこの姿を推しメンに見られたら死ねるな。

 それにしてもこのトレイも良い感じに変形してくれたもので、雪かきをするために作られたような使い勝手の良さだった。

 けれど手袋もはめずに雪かきをしたものだから、温室の入口に辿り着く頃には両手の感覚がなくなってしまう。それでもこんなことは今の季節の領地では当たり前のことなので慣れっこだ。

「先輩、もうこちらにいらして下さって大丈夫ですよ。ただ、足許が滑りやすいですから気をつけて下さいね」

 そう振り返ってベルジアン先輩を手招けば、彼女はどこかぼうっとしながら頷く。ふむ、寒すぎて眠いのかもしれないな?

「寒いから早く中に入って、お茶でも飲みながら話しましょう。……って、ああ」

 温室のドアを開けた私は、中の暗さに思わず溜息をつく。積もった雪がここまで光を通さないとは考えていなかった。制服の上から下に隠してある星火石の首飾りに触れて気を紛らわせ、ざわついた内心を整える。これは中で会話するにしても多少上の雪を下ろす必要があるだろう。

 まだ高所作業をするのは若干不安があるけれど、致し方ない。お嬢様をお待たせして風邪などひかせてはことだ。

「先輩は少しこの中で待っていてくれますか? ちょっと暗いですけど、寒いよりはその方がマシだと思いますし。すぐに上の雪を退けて明かりを――」

 “入れますから”と私が言葉を終わらせるよりも早く、麗しい先輩は「いや、その任務はワタシに任せてくれたまえ」とどこか嬉しそうな顔をして近付いてきた。


***


「雪下ろしをするのは本当に天井部分だけで良かったのか? こうして招いてもらっているんだ。側面もやってくるが」

 ぽっかりと空が見えるようになった天井を見上げて、ベルジアン先輩がそう言ってくれる。普通のご令嬢なら絶対に言えないことだし、お高そうな乗馬用ブーツは結局ぐっしょり濡れてしまった。

 先ほどそのことに対して申し訳ないと謝罪したら、真っ赤になって「女性の扱い方が上手いな、キミは」という同性としては微妙なお褒めの言葉を頂戴したのは、きっとラシードのお陰だと思う。女子力を失って男子力(?)を手に入れてしまうとは複雑な気分だ……。

「いえいえ、天井の雪さえ落としていただければ温室が倒壊することもないですし、明かり取りが出来れば充分ですから。それに側面に雪を残しておいた方が中は暖かいんですよ」

「ほう、そうなのか? キミは物知りだな」

「ええ、まぁ。田舎の方では雪も資材の一つと考えることがあるんです。昼間のうちに好きな形に積んでおいて、夕方の日差しがなくなる頃に水をかけておけば、翌朝にはカチコチに固まって結構長い間残りますから、暖房をかける家の中に置いておくと傷む食材の保管に便利です」

 ちょっとだけ細かく説明すると、向かいで緑と黄のマグカップに口を付けながら話を聞いていたベルジアン先輩が、やや大袈裟に感心してくれる。

 私はラシードのマグカップを借りてブラックコーヒーを飲みながら、そんな彼女を微笑ましく思う。何だかこちらに転生してきて、初めてお姉さんぶることが出来る相手に出会ってしまったかも……。

「それにこうして上だけが開いた状態だと、卵から孵化する前の雛鳥の気分になりませんか? 何となくですけど、私なんかは“外の世界はどんなところだろう?”って期待しちゃいますね」

 すると彼女は「キミはなかなか面白い物の考え方をするのだな」と山吹色の切れ長の目を色っぽく細めた。あ、さっきの前言撤回。お姉さんぶるのはやっぱりまだ早かったね。

 ――とは、まだ諦めんぞ。最初からぶった切って本題に入っても良いのだけれど、ここは何となく関係のなさそうな他愛のない会話で緊張を解しながら外堀を埋めていく。ベルジアン先輩はその見た目の割に随分と繊細な人のようだからね。

 そのまま会話を緩やかに私の入学したての馬鹿な失敗談を話したりして、相手の中での自分の立場を下げる。というのも、格下相手に人間いつまでも緊張してはいないのだ。先輩は貴族にしては良い人そうだが、それでもやはり“貴族的な良い人”感はついて回る。

 徐々に警戒心を解いた先輩が自身の失敗談や、経験談を踏まえて助言してくれるのをウンウンと聞きながら、私は前世の“私”になっていく。ごめんね、先輩? トレイのことがある以上、私もこちらの明るくお馬鹿な甘やかされっ子の“私”ではいられない。

 私個人の失敗ならどれだけ繰り返しても笑えるけれど、推しメンの明るい未来を見るまではイベント上でのつまらない失敗をしたくないんだよ。

 そこから三十分ほど先輩の鍛練場での話や、ファンの子達の話、私のお気に入りの雑貨屋の話や、町に出た時には絶対に食べる露店のクレープの話をした。途中のテスト勉強のしかたはかなり為になったので、絶対に冬期休暇の間に勉強法をマスターしようっと。

 先輩に微笑ではなく笑顔が増えた辺りで、もう良い頃合いだと“私”が言う。そんな“私”の声に頷いて、ついに私も口火を切った。

「そうそう……田舎から出てきたから天恵祭の規模と熱気に驚いたりして。あの中に先輩もいらしたんですよね? 見てみたかったなぁ。きっと格好良かったのに。でもそうはいっても私に武術の覚えはないから、行事の中でだったら昨夜の聖星祭の方が、私の故郷の収穫祭みたいで馴染みやすかったです。もっとも故郷の収穫祭なんかよりずっと賑やかでしたけどね」

 気が逸ったので“少々無理があったかな?”と思ったけれど、先輩はそうは思わなかったようで、少し困った風に微笑んでから頷いた。

「そうか……キミのそんな故郷を懐かしむ大切な時間を汚してしまって済まなかった。実は昨夜キミが殴った男は、ワタシの婚約者でな。五年前に親同士が決めた相手だったが、全く反りが合わなくて……あちらは男勝りなワタシを嫌い、ワタシは女性にだらしないあの男を好ましく思えないでいた」

 そう話始めた先輩の表情にフッと影が差す。厳しく見える顔立ちの彼女からやや儚い印象を抱いたのは、これが初めてだ。私はその表情の変化を眺めながら、小さく頷いて先を促した。

 先輩も頷き返してくれ、その視線が温室の入口に立てかけた銀色のトレイに注がれる。ともすれば泣き出しそうにも見えるその表情に、私は彼女が傷付いていることを知った。

「……しかしそれでも家の為だ。あの男と結婚して子供を産み家の存続に努める。それこそがワタシに求められた仕事だと理解はしていたのだ。だが――」

「失礼ながら相手が予想を上回る馬鹿だった、と」

 話の腰を折ってはいけないと思いつつ思わずそう口を挟んだのは、彼女の凛とした空気が揺らいだからだ。下級生の、それも下級貴族相手に涙を零すのは彼女のプライドに反するだろう。

 先輩は一瞬だけハッとした表情になり、次いで雰囲気をキリリと引き締める。マグカップのコーヒーに口をつけて「済まないな」と苦笑する先輩に「何がです?」と微笑み返せば、彼女はそれ以上謝罪を重ねなかった。

「ああ……その通りだ。昨夜はドレス姿のワタシを見て“こんな可愛げのない身長の女と踊れるか”と言われてしまってな。慣れないなりに結構頑張ったつもりだったから、少しその場で呆然としてしまって――その間にあの男が他の女子生徒を毒牙にかけようとしていることに気付くのが遅れた。彼女はあの男の言うところの“可愛い女”だったのだろうが、キミの友人相手に非道な真似をさせるところだった」

 ギリッとマグカップを持つ手に力がこもるのを見て、思わずその手からマグカップを救出する。だって私のマグカップが割られたら困るからな!

 キョトンとしている彼女に何でもない風を装って小首を傾げれば、またも頬を染めた先輩。本当に大丈夫か、熱でもあるの?

「正直、ワタシはこの五年間で男に幻滅しきっていたんだ。そこへ昨夜の不埒な行い。物陰で揉めている姿を見た時には、もう破談になっても良いから一撃食らわせてやろうと――。でも結局は靴とドレスが邪魔で思うように走れなかった。そこへキミが現れて、体格差を物ともせずに躍り掛かってあの一撃を食らわせてくれたのだ! あの時は本当に感動して……初めて男にときめいた自分がいたんだが……」

 ――あ……これは……流石に察したよ?

「いや、だが……キミには失礼なことだな。忘れてくれ。それに昨夜のキミの行動のお陰であの男との婚約はお流れになってな。ワタシはたぶん、嬉しかったのだ。自分では納得しているつもりだったのに、結局納得など全く出来ていなかった。だから……今日はトレイを探しにくるであろうキミに、礼を言いたかったのだ」

 しかも想像以上に気まずくて居たたまれないやつだ。本当に申し訳ないというか、私が悪いのか、この珍事件は。あと薄々感じてたけど、もしかしてラシードが言っていた美少女ってまさか……だよね? 私がちょっと昨夜のラシードとの会話を思い出しかけたその時――。

「やっぱり昨夜あのクズ野郎の“ナニ”を潰しておいた方が良かったわ~。オハヨ、ルシア。……それと、そっちのお嬢さんは昨夜ぶりね? もう気分は大丈夫なのかしら?」

「――お早うルシア。まったく同意だな。下らん男だ。そこの貴女もいつまでもそんなクズの言葉に落ち込むのは建設的ではない。即刻止めるべきだ」

「あ、おはよう二人とも……じゃなくて、何なの、急に現れるなり話に割り込んでくるの止めて下さる? 私の人権はどこにあるんだよぉ」

 唐突にラシードと推しメンが入ってきたことで、一瞬思考が鈍って普通に返事しかけた自分が怖い。

 二人とも今のは明らかに流しては駄目な登場のしかただからな? しかしそんな私の当然ともいえる抗議の声に、ラシードは盛大に眉をしかめた。

「はあ……何を言ってんの。ずっと外で気配を殺して待っててあげたのに、アンタが話を引き延ばしてなかなか本題に入らないのが悪いんでしょう? もう本当に寒かったわぁ~、ほら」

「冷たぁっ!? いきなり首筋に手を入れるな馬鹿、殺す気か!」

 そういきなり首筋にあてられたラシードの大きな冷たい掌に、体温をごっそりと奪われて震え上がる。手に持っていたマグカップの中身を振り向きざまにぶっかけなかった私は偉いと思う。

 目の前で私達のやり取りを見ていたベルジアン先輩は、切れ長の目をまん丸にしている。それはそうだよね、真面目な話をしていた途中に乱入された挙げ句こんなに煩くしたら――って……。

「ひぃ、鎖骨に触るな! 寒いんだから手を抜いてってば!」

「良いじゃないのよ。勝手にアタシのマグカップ使って温かいもん飲んでたんでしょう? おあいこよ、おあいこ。はぁ……あったかい」

「……そんな訳があるか。程々で止めてやれ」

 最早ベルジアン先輩の前だとかそういうことを一切かなぐり捨てて必死の抵抗を試みるも、ラシードの馬鹿力でがっちりと身体を固定されて動けない上に、推しメンはまさかの敵だと……!? 

 半泣きになりながら「スティルマン君も今すぐ止めてよ!?」と叫んだ私に対し、推しメンは無情にも首を横に振った。くっ、何たる裏切り!

「無謀な真似を一人でした罰だ。それと……一応訊いておくが、何故ラシードのマグカップを使ったんだ?」

「それはだって、スティルマン君は絶対自分の物を他人に使われるのは嫌だろうなって。違った?」

「……いいや、その通りだ。ラシードはあと二、三分で止めてやれ」

「ですって。残念ね~。ついでに乙女心を弄んだ罪も加算よ」

「嘘でしょう、正解したのに二人そろって何その理不尽!?」

 二人がかりのとんでもない理不尽な謎かけに、悲鳴を上げる私を見つめていたベルジアン先輩が正気を取り戻して声を立てて笑ったのは、それから五分ほど経った頃だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ウソつき殿下と、ふつつか令嬢

たつみ
恋愛
伯爵家の1人娘セラフィーナは、17歳になるまで自由気ままに生きていた。 だが、突然、父から「公爵家の正妻選び」に申し込んだと告げられる。 正妻の座を射止めるために雇われた教育係は魔術師で、とんでもなく意地悪。 正妻になれなければ勘当される窮状にあるため、追い出すこともできない。 負けず嫌いな彼女は反発しつつも、なぜだか彼のことが気になり始めて。 そんな中、正妻候補の1人が、彼女を貶める計画を用意していた。     ◇◇◇◇◇ 設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。 R-Kingdom_10 他サイトでも掲載しています。

【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。

yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~) パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。 この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。 しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。 もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。 「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。 「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」 そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。 竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。 後半、シリアス風味のハピエン。 3章からルート分岐します。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。 https://waifulabs.com/

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました

みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。 日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。 引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。 そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。 香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……

悪役令嬢に転生したと思ったら悪役令嬢の母親でした~娘は私が責任もって育てて見せます~

平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲーム『聖と魔と乙女のレガリア』の世界に転生してしまう。 しかも、私が悪役令嬢の母となってしまい、ゲームをめちゃくちゃにする悪役令嬢「エレローラ」が生まれてしまった。 このままでは我が家は破滅だ。私はエレローラをまともに教育することを決心する。 教育方針を巡って夫と対立したり、他の貴族から嫌われたりと辛い日々が続くが、それでも私は母として、頑張ることを諦めない。必ず娘を真っ当な令嬢にしてみせる。これは娘が悪役令嬢になってしまうと知り、奮闘する母親を描いたお話である。

乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい

ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。 だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。 気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。 だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?! 平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。

処理中です...