怪賊

第四話 会議

- 怪族4 -
「いいなお前ら、明日は重要だ。作戦をよく聞くんだぞ。」
ニックがそう言って、地図を指差す。

「明日乗り込むのは、このスペンサー島という島だ。」
ニックのその言葉の響きにはっとする。

スペンサー島。
我が母国。
フォックスが生まれ育った地。
フォックスは気合いを入れ直す。
今までのダッケ島やヨーケ島のように他の国ではない。
我が母国。
スペンサー島に乗り込むというのだ。
そんな事させてたまるものか。
フォックスはそう胸に誓い、作戦をしっかりと聞いておく。

「俺たちは明日の早朝、スペンサー島の東海岸に乗り込む。スペンサー島には四つの港があるが、今回は東海岸から攻め込む。」
「了解だよ、ニック。だが、ちゃんと策はあるんだろうね？」
メリザが半笑いでそう言う。

「もちろんだ。今回は、ダッケ島やヨーケ島とは違い、本島だ。いわば、本拠地に乗り込む訳だから、舐めてかかるのは禁物だ。ちゃんと武器も調達してある。」
「なるほど、今回は全力って訳だ。」
トーマスがこれまた半笑いで言う。

「ああ。舐めてかかって、あっさりお縄にかかるのは御免だからな。」

安心しろ。
必ず捕まえてやるからな。
フォックスはさらに気を引き締める。

「で、今回は船の番は？」
ジェイムスがそう問う。
「今回は、フォックス。お前一人だ。この作戦では、戦力不足は痛手となる。だから、メリザには船番では無く、戦って貰う。」
「うっそー！やだー！私戦うのー！？」
メリザがおどける。
「フォックス。船番はお前に託したぞ。当然の事だが、船がやられれば、俺たちは蜂の巣だ。出航準備と敵兵の警戒をお前一人に託す事になるが、できるな？」
「ええ、もちろんです。」
フォックスはそう切り返す。





「ほぉ、それはチャンスだな。」
アーマンが無線越しにそう言う。
「ええ。船内には誰もいない訳ですしね。簡単に爆破できる。」
「上出来だ。それで奴らの出航路を断つということだな。」
「ええ。それで蜂の巣にできるでしよう。」

フォックスは喜びを噛みしめながらそう言う。
ようやく悪を成敗出来る日が来るのだ。
そう考えると、たまらない。

「で、君はどうするんだ？」
「私は、船を爆破後、王宮付近でアーマン大佐の軍と合流したいのですが、よろしいでしょうか？」
「勿論だ。守らねばならぬ物は、王宮。だからな。」
「ええ。その通りです。」

「じゃあ、今の話をまとめると、その海賊は東海岸に乗り込んで来るというから、我々の軍は東海岸の港にて待機させておき戦い、その間に君が、船を爆破し、我々の軍に合流する。これで間違いないか？」
「はい。」
「では、こちらも入念に準備しておく。健闘を祈るぞ。フォックス。」
「はい。それでは。また明日。」

そう言って、フォックスは無線を切る。