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第四章 アレクサンドラの物語 イーゼル騒動記

10 土産物のお店

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 バーバラの一声に後押しされて、イーゼル公館の女官たちの、土産物のお店が出来ました。
 綺麗な女官さん、女官補さんが拝めることも手伝って、押すな押すなの大盛況、特に燻製が飛ぶように売れます。

「アレクサンドラ様、燻製が売り切れそうです!」
「もうすぐ次が出来るわ!もし待ってくださるお客様がいれば、『アナネ』のパンをご試食に、といって食べてもらっていてください!」

 お陰で、『アナネ』のパンも人気が出始めています。

「このパン、意外に美味しいじゃないか……すこし焼いて食べる?なるほど、これはいける。」
「おれは、ファインと一緒に食べてみよう……」
「私はジャムをつけてみたいわ?ここで食べられる?」

「アレクサンドラ様、ここで食べてみたいそうです!」
「通路にテーブルとイスを並べましょう!」

 次の日、土産物のお店には、食事コーナーができました。
 十日ほどで、売上はかなりの物になり始めています。
「このままいけば……赤字が補填できそう♪」

 でも、事はそんなに上手くいかないのです。

「お嬢さんがた、困るのよね……いくら黒の巫女様の女官さんといえど、仕来りは守っていただかなくてはね、わかっているのか!コラ!」
 怖そうな男たちがやってきて、凄んでいます。

「……」
 震え上がるアレクサンドラたち……

 テーブルを足で蹴りあげると、ペキとテーブルが割れてしまいます。

 バーバラ女官長、話をつけてくれるのではないの?
 アレクサンドラが、そのような恨み言を思っていた時、別の男の集団が乗り込んできたのです。

「その男を確保しろ、黒の巫女様の財産を壊した男だが、殺すんじゃないぞ。」
「じっくりと、誰の指示か、口を割ってもらう必要がある。」
 手荒く扱われているようです、顔が二倍に膨らんでいるように見えます。

「お嬢さんがた、もう大丈夫です、明日からは何事も起こりません。」
「あの……どちらの方でしょうか?」

「貴女の上司にお聞きください、では我々はこのへんで。」
 あっという間に、ボコボコにされていた男たちを、連行して行きました。

「一体、何だったのでしょうか?」
「さあ……」
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