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第四章 アレクサンドラの物語 イーゼル騒動記
09 お仕事創造
しおりを挟むアンリエッタは、アレクサンドラとアマーリアの、女官就任とイーゼル配属を決定したのです。
アレクサンドラはこうして着任し、とにかく待ったなしの問題を乗り切り、イーゼル温泉の管理、イーゼル公館の管理、ついでにイーゼル直轄領の切り盛りを始めたのです。
当面は何とか入ってきた税収で凌げますが、一年は持たない、収入が足りないのです。
行政府に、イーゼル公館の予算拡大を要望しましたが、この行政府自体、お金がなくて、庁舎もイーゼルの街中で一番のボロっちい建物、住民の失笑を買っている始末。
イーゼル公館へは、精一杯の予算を割り当ててくれているので、これ以上の増額は無理なのです。
「さて何とかしなくっちゃ……イーゼル公館単独で、収入の道を探らなければ、女官といっても、誰もお金はくれないし。」
アレクサンドラは女官というのに、バーバラ女官長を説得し、行政府相手に交渉を繰り返し、ついにはイーゼル公館単独で、収益を上げることの許可を得たのです。
「でもアレクサンドラさん、私たちでお金儲けするって、どうするの?まさかいかがわしい商売をするの?」
「そんなことはいたしません、私たちは汗を流し、お日様の下での、お商売をするのです。」
「それはいいけど、女の仕事って……」
「私に考えがあります、この間、『アナネ』のパンと魚の燻製、食べてみて思ったのですが、ファインに良く合うのです。」
「このイーゼルには、隣のマリノほどではないけど、結構おいしいファインがあるでしょう。」
「イーゼルは昔と違い、今では観光地、でも名物がないわ、観光して自宅へ帰ったとき、手ぶらでは寂しいでしょう。」
「なにかイーゼルらしい手土産があれば、皆買ってくれると思うの。」
「たしかにファインと一緒に食べると、あの魚の燻製はおいしいわね。」
「『アナネ』のパンも妙においしいし……でもどこで売るの。」
「商売をするには、ギルドの許可がいるけど、絶対に許可しないわよ。」
「……ギルドは考えなかったわ……」
いいアイデアと思っていたアレクサンドラでしたが、このエラムの世界では、商売をするには、そのギルドの会員になる必要があるのです。
この場合、飲食物ギルドになります。
「いいじゃない、やってみなさい、しのごのいってくれば、私が話をつけてあげます、任せなさい。」
突然、声がしました。
バーバラ女官長が、このやりとりを聞いていたのです。
……頼もしい♪
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