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第六章 ヘディ・ハプスブルグ・ロートリンゲンの物語 地に堕ちた世界
ヨーロッパはざわめく
しおりを挟む「超えてはいけない線を、越えているように思うわ、なにより、ミコ様が何もおっしゃられないのでしょう?だとすれば、テラを管理するエール様が乗りだされるのは確実よ、そうなれば『呪われた地』では済まないわよ」
鈴木駒子の判断である。
「その通りと私も判断します、皆さんも同じですか?」
上杉忍の問いかけに、管理官たちは同意した。
「ではどうするかですが、ミコ様はお怒りであるのは確実、私たちもその意には逆らえない」
「そこでパープル・ウィドウ・クラブとしては、ヨーロッパの各国政府に、西アジアでの蛮行の真相解明を迫ることにします」
「火に油を注ぐのね」
「そう、ミコ様は切り捨てをお考え、ヨーロッパを逆なですることには,邪魔は入らない」
「で、そのあとは?」
「ヨーロッパが暴発すれば、ロブノールが待っている、ミコ様が、ナーキッドの資産を全て引き上げるでしょう」
「その時、なんとしても一部でいいから、ヨーロッパを二級として残す」
「それを起点に、切り捨てられ荒廃したヨーロッパを、三級市民地域としてのナーキッド領域とする」
「今のところ、この程度の案なの」
「大筋では忍さんの案が、最善と私も思う、しかし中々そうは上手くいかないのでは?」
「私の見るところ、ミコ様のお怒りは、そんなものではない気がする」
呉月娘が云った。
「たしかに何が起こるか読めないのよ、その読めない事に対して、対策は立てようがない」
「今回はミコ様の出方をうかがってからなの、だからヨーロッパの情勢に対して、火に油を注ぐわけよ」
「そうするしかないわよね……で、忍さんはヨーロッパの何処を残そうと考えているの、かなり難しいけど可能性のある地域ってあるの?」
鈴木駒子が聞くと、ローズマリーが、
「私、何となく分かるわ、当ててみましょうか、アイルランドでしょう?」
「正解よ」
「すごいわね、ローズマリー!」
「だってね、ダブリン高女が設立されたでしょう、忍さんの肝いりよね」
「まぁ、オフレコにしていてね」
「でも……ミコ様はダブリン高女を認められたのよね……」
「私の案などお見通かもね、でもミコ様は、アイルランドを残そうとは、今のところお考えではないのよ」
「あくまでも選択肢の一つ、いよいよになったらマン島の八年制高女に、併合されるおつもりで許可されたとおもうわよ」
「ただ私たちが上手くやれば、アイルランドぐらいなら構わないわよ、とのサインを出されているのよ」
「なんか堂々巡りね、仕方ないけど……」
「とにかく通告しましょう、西アジアの蛮行の真相解明を」
そしてナーキッドを代表して、パープル・ウィドウ・クラブは、真相解明を断固として要求した。
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