上 下
63 / 82
第六章 ヘディ・ハプスブルグ・ロートリンゲンの物語 地に堕ちた世界

パープル・ウィドウ・クラブへようこそ

しおりを挟む

 ディエゴガルシア島のパープル・ウィドウ・クラブ事務所では、管理官たちが集まっていた。

「どうでした、首尾は?」
 と、セレスティアが聞いた。

「大丈夫とは思うわ、最後にお暇するとき、ヘディは興奮していたわ」
「ポーカーフェイスだったけど、足をもじもじしていたわ、駒子さんの作戦は図にあたったわ」

 駒子が、
「だって私の経験ですもの、私たち長く女の官能を知らなかったでしょう?」
「最初は悩み事から入り最後はね、官能で誘うのよ」

「ミコ様が自ら口説かれたら、こんな小細工はいらないのにね」
「そうですね、ミコ様に命じられたら、どんな女も何でもするでしょうね、むしろ心の底では望んでいますから」

「ねえ駒子さん、すこし聞くけど結局、押し倒されたの?」
 と、今度は倫子が口を開いた。

「まぁ乱暴にね、でも今から思えば、押し倒され乱暴に犯されるのを、望んでいたのでしょうね」
「ちょっとうらやましい気もするわね、私なんか渾身の色仕掛けで、やっと抱かれたのにね」

「いいじゃない倫子さん、人それぞれよ、私も必死で口説いた一人よ」
 これは月娘の言葉である。
 
 そんな話をしている時、ドアが開き、上杉忍が入ってきた。
「いよいよヨーロッパ対策よ、過激派が暴発しそうよ」
「しかしまだ管理官が……」

「決まったわ、いまミコ様の御裁可も頂いた、ヘディ・ハプスブルグ・ロートリンゲンさんも、ここに連れてきたわ」
 ヘディが後ろから入ってきた。

「大役ですが、お引き受けすることに致しました」
「綺麗事はいいません、なんとしてもミコ様の寵妃となるべく、頂いた機会を有効に使わせていただきます」

「そうですよ、綺麗事などいらないわよ、ヘディ、パープル・ウィドウ・クラブへようこそ、歓迎するわ」
 セレスティア・デヴィッドソンが代表して、歓迎の言葉を述べた。

「さて、ヘディさんには申し訳ないけど、すぐに会議を始めるわよ」
 上杉忍が対策会議を宣言した。

「ヨーロッパの情勢を説明するわ、今回だけは皆さんで知恵を絞らねば、ヨーロッパは切り捨てられ、暗黒の時代を迎える事になります」
 
 情勢は次のようであった。

 西アジアの情勢が、ユーフラテス川を越えて、逃げてきた避難民からもたらされ、ヨーロッパ政府は真相をひた隠しにした。

 その結果、ナーキッドがヨーロッパの人間を虐殺したとの、避難民の自己弁護のような言い訳が一人立ちした。

 自分たちは西アジアの復興に尽くしていたが、ナーキッドが侵攻してきて、理不尽にもペルシャ政府を倒し、自分たちをゴミのように追い出した。

 ナーキッドはその際、西アジアの女たちを犯し虐殺し、挙句の果てに、自分たちの妻子も同じように扱った。
 自分たちは子供たちを守りながら、命からがらユーフラテス川を渡ったが、そこでも無慈悲にナーキッドは攻撃を仕掛けてきて、多くのヨーロッパ人がここで亡くなった。

 なにも知らない、ヨーロッパの人々は激怒して、ナーキッド排斥運動が激しくなってきている。
 近頃はマン島に迫撃砲を撃ちこんだり、マン島からの連絡航路を遮断したり、事実、ヨーロッパとの交易人的交流は停止状態。
 これに対して、今のところミコ様は何もおっしゃられない。

「こんなところね、皆さん、どう判断されますか?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

処理中です...