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第五章 呉月娘の物語 おやこどんぶり

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 憧れと羨望の視線の中、聡子が口を開いた。
「新しいメイド任官課程の新入生の皆さん、本日は入学おめでとうございます」

「今年度から各地のメイド任官課程の新入生歓迎会に、卒業生が呼ばれることになりました」
「私は正式には、メイド任官課程ではありませんが、オディール女学館の卒業生ではあります」

「皆さんが卒業されて、任官されることを望みますが、その前に良き婦人となられるように、学業に励んでください」

「そして私以外にももう一人、ゲストが来られています、多少職権を乱用しましたが、お願いを聞いて頂けました」
「皆さん、驚かないで下さいね、ゲストとはナーキッドオーナーで有られるミコ様です」

 この名前を聞いて、学生は半信半疑の表情を浮かべましたが、そこへミコが出てきました。
 一瞬で静まり返りました。

「皆さん、そんなにかしこまらないでください、ここにいるのは単なる吉川美子、オディール女学館の卒業生の一人ですよ」

 聡子が慌てています。
 ミコがオディール女学館の卒業生とは、公表されていないのです。
「聡子さん、いいではありませんか、ここにいる皆さんは一応リングをお持ち、守秘義務の魔法が利きますからね」

 そういうと、ミコは一人一人に親しく声をかけます。
 当然、久世直子にも声をかけてくれました。

「たしか長谷川倫子さんの姪御さんね、倫子さんはよく尽くしてくれています、私は心より感謝しています」
 ここで久世直子は、とんでもない爆弾発言をしました。

「叔母様はミコ様の夜に侍っているのですね、そんなに叔母様がお好きですか!」
 こんどこそ、本当に歓迎会が静まり返りました。

 ミコがあっさりと、
「長谷川倫子さんは大好きですよ、夜も素敵ですし、お仕事も見事ですね、素晴らしい女性ですもの、私は愛しておりますよ」

「こちらの鈴木聡子さんも、素晴らしい女性ですから、当然愛しております、愛した方は、いついつまでも愛し続けます」

「おかげで多くの素晴らしい方と、夜の睦事をいたしております、私は噂どおり宇宙一の好色女ですからね」

 あっけらかんと言ってのけ、明るく笑った。

 鈴木聡子が、
「まったくミコ様は女たらしですね、皆さま、ミコ様はこのようなお方です、加えていえば宇宙一の色摩でど変態ですからね、毒牙に気を付けるようにね」
 とまんざらでもない顔で言った。

 久世直子が、
「私は毒牙にいつでもかかりたいと思います、叔母に負けぬようにいたします、任官して良きメイドになり、必ず寵妃になり、良き女奴隷として仕えたいと思います」

 さすがに驚いたミコが、
「いまからそんなに決めなくても、良き殿方が出てくるかもしれませんよ、でもありがとう、任官されることを期待しております」

 こうして久世直子は簡単に落ちた。
 いまではミコ様命の、筋金入りのメイド任官課程の学生となった。

「ほらね、こうなるでしょう」
 と、呉月娘が長谷川倫子に言った。
「まったく驚いたわ、あれから直子よく来るわ、どうすればミコ様に気に入ってもらえるのと、しつこく聞くのよ」
「で、なんて返事したの?」
「『シャチホコ』を教えたわ、練習するといっていたわ」
「他には、『おやこどんぶり』の事はいったのでしょう?」

「いったわ、真っ赤になっていたけど、なんか覚悟を固めたような顔をして、叔母と姪ではなんというのか、なんて聞いたわよ」
「あえていうなら、『たにんどんぶり』になるのかしらね」

 この言葉に、長谷川倫子は声をあげて笑った。
 以来、長谷川倫子と呉月娘は親友のようになり、姪や娘も親しく交流するようになった。

 その後、パープル・ウィドウ・クラブの会員資格が設定されました。
 なんでも……

 第一要件、未亡人であること
 第二要件、娘、または姪とともにミコさまの夜に侍ること
 第三要件、オムツを愛用すること

 この規約を聞いたミコは頭を抱えたそうですがね。

     FIN

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