ミコの女たち 第三短編集 パープル・ウィドウ・コレクション 【ノーマル版】

第五章 呉月娘の物語 おやこどんぶり

母娘三人の覚悟

「三人を呼んで、覚悟が有るか問いただして、覚悟があるなら、自らでミコ様をおとして頂きましょう、そのぐらいの行動力は必要でしょうし、きっと芙蓉さんが、良い知恵を出すでしょうから」

「確かにそうですね、そのぐらいはやってもらいましょう、口説きおとした例は、たくさんありますからね」
　上杉忍の言葉であった。

　五人はそのまま端島中華特別行政区にある、『三ツ瀬賓館』にでかけ、母娘三人を呼び出した。

　パープル・ウイッチの四人の貫禄というか、迫力たるやすごいものがありますので、二人の娘は圧倒されていますが、呉月娘は平然としています。

「パープル・ウィドウ・クラブの方々が、私たちに御用とか、何用でしょうか」
　
「話は簡単よ、ミコ様の女奴隷になる？」
　と、あっさりとセレスティアが聞くと、
「はい」と、これまたあっさりと答えた呉月娘。

「では、ミコ様を落として見せてね、パープル・ウィドウ・クラブは待っているわ、東アジアナーキッド領域管理官としての、呉月娘さんをね」
「えっ、管理官？」
「そうですよ、パープル・ウィドウ・クラブとは、テラのナーキッド領域管理官の集まりの事ですもの」

　……

「難しいことはないと考えています、あらかた二人の娘さんが片づけていますので、ノウハウは聞けばいいのですから」
「そうそう、志玲さん、貴女は後任が決まり次第、ガリレオの補佐官、内示がでていますよ」
　
　上杉忍が、
「急な話で申し訳ありませんね、でも私は貴女なら管理官ぐらい、なんてことはないと思っています」
「後はね、三人で作戦を良く練ってね、ミコ様は一週間後に、ディエゴガルシア島にいらっしゃいます」

「その前日は、硫黄島リゾートホテルにお泊りになる、私たちが段取りをしますから、夕方の五時にホテルのロビーに来てください、娘さんたちも構いませんよ」

「それから呉月娘さん名誉刀自です、アンクレットを預かってきました」

　この後はパープル・ウィドウ・クラブの親睦会となりましたが、三人はすぐに退席した。

　五人は『三ツ瀬賓館』で夕食などを取りますが、鈴木駒子が、
「皆さん、ここからは私的なパーティーといたしません？」

「はぁ？」

　くすくす笑いながら、
「私が飲茶パーティーを開きます、皆さまはゲスト、女五人だけでしょう」
「一度してみたかったの、臭いなんか気にせずに、餃子や焼売なんてのをお腹いっぱいにね♪」

　ローズマリーが、
「それ、乗りましたわ、私も一度、飲茶バイキングしてみたかったの♪」

　五人はすぐに付和雷同、別室を占領し、どんどんと餃子などを食べています。
　意外にも忍を除く四人はお酒も強く、ビールに日本酒、ウィスキーにワイン、中国酒などもどんどんとチャンポンで……
「やはり餃子にはビールね♪」

　でも五人は二日酔いはしませんでした。
　なんせ日本酒を飲みながら、杏仁豆腐やマンゴープリン、月餅にマーラーカオ、豆沙包子（あんまん）　などなど。　
　
　少女のように歓声をあげながら、飲めや歌えの宴会になっていた。