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第三章 鈴木駒子の物語 秘め事

サバイバルのミコの報酬

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 結局、『東南アジアナーキッド領域管理官、名誉側女 鈴木駒子』の行方不明は二日でした。
 しかし駒子のもたらした情報は、ゆゆしき事と判明しました。

 ビルマの奥地、北部山岳地帯に、麻薬による奴隷制の王国が成立していたのです。

 どうやらインドシナを荒らしまわった中国軍の一部が、抗ボルバキア薬を手に入れ服用、マレーからこれまた抗ボルバキア薬を大量にもちこんだ華僑と合流、近隣の女たちに麻薬をつくらせ、それを強制服用させ、奴隷女の階級をつくり、君臨していたのです。

 鈴木駒子は東南アジアナーキッド領域管理官府に配属された『陸戦ロボット部隊』を動員、ミコの厳命でヴァルキュリヤの女たちが派遣されたこともあり、あっという間に制圧、手加減なしの粛清をしてしまいます。

 麻薬畑は焼き払われ、女たちは保護となり、ビルマも東南アジアナーキッド領域となりました。

 その頃、ニライカナイでは、マレーネとミコが話をしていました。
「薫から、なにやら苦情がきていますよ」
「なんの話ですか?」
「薫は通販カタログシステムの責任者ですが!」
「はて?」

「マスター!でたらめな物を入れないでください!」
「見逃してよ」
「なんですか、あれは!メイド専用軍事トーチカポップアップテント!よくもあんなでたらめなテントを思いつきますね!」
「しかたないじゃない、駒子さん、まったく無茶するのですから」
 
「堂々と鈴木駒子を抱きたいだけではないですか!」
「いや、それは……」
「どうやら当たらずとも遠からずですね!」
「……」

「やはり鈴木駒子を手籠にして、物にした噂は本当なのだと思ってしまいますよね」
「それは違います!限りなくグレーですが、断固として違います!」

「本当ですか?」
「信じて下さいな……なんとか駒子さんを守りたかっただけなのですから……」
  
「で、チケット六万円分?」 
「それは……」
「チケットの代金は、マスターのお小遣いから減らしておきますよ」
「……」

「鈴木駒子に、二日もサバイバルさせたのですからね、助けるならマスターなら簡単なはず、横着するからですよ」
「……」
 
 ミコの本音としては、鈴木駒子をなんとか側女にしたかった、いろいろマレーネに弁解していましたが、なんとなく後ろ暗い思いだったのです。

「まぁ仕方ないですか、ダークな事をした報い、代価は支払わなければなりませんし、でもあのテント、チケット六万円なんて破格に安いのですけどね……」

「私自腹で三十万円ほどだしたのに……当分、美味しいもの食べられないわね……アリスさんにおごってもらおうかしら……」
 他人にサバイバルを強要すると、高くつくようです。

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