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第三章 鈴木駒子の物語 秘め事

メイド専用軍事トーチカテント

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 どうやら組み立て式で、パーツは30センチ四方の厚さ三センチ程度のプラスチック板が81枚、一枚赤いものがあります。
 そして説明書が二枚、ついていました。

 一枚目は設置方法。
 それによると、設置はまず底板を作り、あとは全自動。
 普通のポップアップテントよりも簡単ですが、パーツが少し多いですね。

 まず底板を作るようです。
 プラスチック板をつなぎ合わせ、2.7メートル四方の板を組みます。
 赤い板は中央ですが、これは最後にはめ込めるようです。

 はめ込むと、底板外縁部より、被膜みたいなものが出てきて、ドーム状に覆いました。
 透明のもので、かなり小さい目の出入り口のほか、頂上部は開くようになっていますし、四方に小さい穴が開いています。

 どうやら赤い板をはめ込むと、ドームを作成するみたいで、解除は赤い板を最初に外せと書いてありました。

 二枚目は操作方法。
「移動装置付きメイド用軍事トーチカポップアップテント、防弾防水仕様、光学迷彩、専用備品ポケット付き?」
「『小さいカバン』をセットし、中のものを取り出し、液晶モニターを説明書どおりにセットせよ?」
「あぁ、このポケットに、『小さいカバン』を入れるのね」

 60センチほどのポケットが、テントの側面についていました。
 『小さいカバン』をセットすると、中から出てきたのはMagpul PDR(マグプル パーソナル ディフェンス ライフル)です。
 ARl15のマガジン、5.56x45mm NATO弾です。
 次に出てきたのはH&K HK69A1、ピストルグレネードランチャーですね。
 有効射程350メートル、40mmX46弾ですから、各種の弾丸が使えます。
 
 最後に、液晶モニターみたいなものが、出てきました。
 駒子は説明書通りにセットしました。

 液晶モニターには、小さいハンドルみたいなものが一つと、幾つかのスイッチが端についており、セットすると、そのひとつに電力受電と表示されます。

 それを押すと、テントの被膜上部の開口周囲が薄く光始めます、そしてモニターに地図が写しだされます。
 
「こっちのスイッチには全自動防御、こっちには光学迷彩……ヘルプスイッチがあるわ、これを入れてみましょう」

「本テントヘルプです、想定問答を基準に、学習機能付きです、ご質問を」
 と、アイスランド語が聞こえました。

「全自動防御とは?」
 すこし間が空き、
「本テント外部被膜を硬化、105ミリ榴弾の近距離直撃に耐えられるようにします」
「開口部は全て密閉、空気は内部気体を浄化、定員で二時間は維持します、全自動防御スイッチを再度押されると、解除されます」

「換気したい場合は?」
「液晶モニターに、その関連のタッチパネルが表示されるので、そちらから選択してください」

「光学迷彩って?」
「外部から不可視になります、光学迷彩スイッチを再度押される、と解除されます」
「色をつけたい場合は?」
「液晶モニターにその関連のタッチパネルが表示されるので、そちらから選択してください」

「移動装置ってどうするの?」
「起動はハンドルを押してください、停止はハンドルを引っ張って下さい、方向転換はハンドル操作です」
「速度は毎時5キロ単位で最大15キロとなっています」

「速度の変更は?」
「液晶モニターにその関連のタッチパネルが表示されるので、そちらから選択してください」

「自動走行はできるの?」
「モニターの地図の目的地点を、三回連続して押してください、地図の切り替えは表示ウィンド枠を指で押してください、縮尺はプラスのスイッチが拡大、マイナスのスイッチが縮小です」

「全自動ということは、どこでも走行できるの?」
「水上走行は可能です、目的地を設定頂ければ、走行不能地帯は迂回コースを設定します」

「トイレはあるの?」
「本テントには用意されていません、災害備蓄カタログより選択してください」
 
「概ね分かったわ、とにかく目的地を設定しましょう」
 駒子はタイ王国とミャンマーの国境の町、メコン川にのぞむ、チェンセンをセットしました。

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