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第三章 鈴木駒子の物語 秘め事
援助物資輸送
しおりを挟むタイのバンコク、それなりににぎわっている東南アジア第一の都市です。
タイ王国はめずらしく、ナーキッドに罵声を浴びせない地域。
ゆえにそれとなく援助をし、感謝を受けています。
ナーキッドのそれとない援助を、タイ王国政府は人々に公開し、その為ナーキッド内では、この地域に対して見捨てろなどという意見はない。
なによりオーナーであるミコが、タイに好意を抱いているのです。
先ごろタイ王国政府は、ナーキッドに対して、一級市民地域との交易を正式に要求してきた。
つまり二級市民地域に、指定して欲しいとの要望である。
それに対して、ナーキッドは二級市民地域指定するための条件を整えるとともに、周辺地域の安定に対して、タイ王国政府の全面協力を要求しました。
この回答は破格の厚遇であるが、クリアしなければならない条件はかなり高い。
タイ王国政府は、まず二級市民地域としての象徴であるメイド任官課程の五年制高等女学校を設立、そして東南アジアナーキッド領域管理官府所在地として、タイランド湾サメット島を提供すると、いってきたのです。
上杉忍は笑ったが、社会体制に必須の産業エネルギーとして、電力供給を受けたいという願いは理解できました。
しかし東南アジアナーキッド領域管理官府所在地としては手狭という事で、今少しカンボジアよりの、トラート県のクート島郡のクート島を指定しました。
150キロ平米の手ごろな大きさ、人口も極めて少なく、立ち退きに抵抗は少ないとの理由です。
事実、チャーン島へ、タイ王国政府の費用で移住していただき、ナーキッドがその移住先に、電力を無償供給することで話がつきました。
そして陣頭指揮をするために、東南アジアナーキッド領域管理官として、鈴木駒子は赴任したのです。
タイの周辺地域はかなり不安定です。
とりあえずはインドネシア、フィリピンはそのままとして、インドシナ半島、マレー半島、そしてビルマの安定を目指す事にしました。
特にインドシナ三国は壊滅状態、どうやら中露の核戦争で、中国政府が南に撤退した時、このあたりに侵攻して食料などを挑発、一部の者は抗ボルバキア薬を強奪、結果残れるはずの男は死滅、残った女も食糧難で、バタバタとなくなっている事が判明します。
マレーは反ナーキッド勢力が政権をとり、愚かにもナーキッドに撤退を要求、結果は新種のボルバキアウィルス、メス化がマレー全土を襲います。
このことは隠ぺいされていたが、ついには男が一人もいなくなることが露見、ナーキッドに泣きついてきたが、もはや遅いとナーキッドは回答しました。
マレー全土では余りのことに、恐怖した民衆の大暴動がおこり、地獄絵図が出現しました。
そして予測通り、ボルバキアウィルスにより男が一人もいなくなったのです。
鈴木駒子は緊急援助を決定、嫌がるナーキッド上層部を説き伏せ、膨大な援助物資を、マルスからキリスィマスィ島の軌道ステーションに運びいれることに成功しました。
勿論三大財閥の当主未亡人の、絶大な意向のたまものでありますが。
これを整備されたアイランドホッピングの航空路網をフル活用し、硫黄島国際空港から、さらに香港経由でハノイに持ち込んだのです。
ハノイはほとんど廃墟でしたが、急遽ここをサイゴンとともに整備、同時にクート島にも空港を整備、各地を経由する航空路を整備したのです。
ハノイとサイゴンに、次々と援助物資が届きます。
この地を東南アジアナーキッド領域として、三級市民地域とするのに何の問題もありません、男は死んでいるのですから。
サイゴンからは、メコン川をさかのぼりカンボジア、ラオスに援助物資をとどける事に成功、この地も東南アジアナーキッド領域とすると宣言したのです。
マレーはタイから援助物資をとどけ、ここも同様に東南アジアナーキッド領域と宣言しました。
このあたりの人心は壊れていました。
ほとんど何の抵抗もありません、ただナーキッドが撤退するとどうなるか、その恐怖感は、民族の記憶にすりこまれたようです。
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