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第二章 長谷川倫子の物語 色仕掛け

芸者の手練手管

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 さて、長谷川太郎の七回忌は、惑星テラの小笠原シティで盛大に行われた。
 なんとミコがやってくる、しかもハウスキーパーのサリー、アーチダッチスのイシスを連れてである。

 ナイトマネージャーのエカテリーナ以下、マルス文化圏のメイドが、ほとんど集まっている。
 小笠原シティの奥様方の、井戸端会議のメインの話題となっている。

「まったく綺麗な方々ばかりで、嫌になるわね」
「ほんと、男っていやらしいのだから、今日もどなたが一番きれいだろうか、なんて話しているわ」

「ねえ、ミコ様の写真だけは公開されないわね、今回は公開されるかと思ったのだけれど」
「ミコ様を見る事は出来るみたいよ、七回忌の会場に行けばいいみたい」

「私、死ぬまでに一度はミコ様を見てみたい!」
「ものすごく綺麗って聞くけど、この写真のサリー様より、綺麗な方っているのかしら?」

「だから見てみたいのよ、私サリー様にあこがれるけど、あまりに綺麗で、嫉妬も何も湧かないけど、それより美しい方って、もう神様の領域よね」

「私はイシス様のファンなの!イシス様って気品が半端じゃないわ、このイシス様よりお綺麗なんて、想像できないわ、ミコ様ってどんな方なのかしら」
 というわけで、七回忌の会場、およびその周りは人々の山となりました。

「盛大で良かったですわ、ミコ様が来て下さって、主人も喜んでいるでしょう」
 長谷川倫子は、セレスティア・デヴィッドソンに話しかけています。

 セレスティアが、
「倫子さん、この後、おわかりですね」
「いろいろ考えましたが、覚悟はできています、女神ヒナになりたいと考えています」

「私は主人と、マーシャルのクェゼリン環礁に旅をしたことがあります」
「あの島の方々は、ナーキッドに何の悪意もなかったのに見捨てられた、誰かが手を差し伸べなければと、思っています」

「ガラナの事は手配済みですが、誘惑は大丈夫ですか?」
「その気になれば、枕芸者もできます」

「失礼ながら、調査はさせていただいています」
「およそ芸者というものは、日本では褒められた仕事ではない、妾にはなれても妻にはなり得ない」
「マルスの日本地域では、そのような風潮もうすれつつありますが」

「おっしゃる通りです、私の家は貧しく、芸者にでもなるしかなかった、でも私は逃げ出したかった」
「主人を頼みとして、必死でかき口説きました」

 セレスティアが、
「浅い川なら、ひざまでまくる。深い川なら、おいどまでまくる」
 と、歌うように云います。

「そこまで御調べですか……私は新橋の芸者でしたが、その踊りを必死の思いで、主人の前で踊りました」
「主人は憐れんでくれたようです、妻に迎えてくれました」

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