惑星エラム 第四部 新世界編【ノーマル版】

第五十一章 南部の新風

０６ シャレム騎士団領成立

「シルビアさん、どうもぱっとした方がいませんね、貴方が男だったら良かったのに。」
「ダフネさん、統治の方法は良い案がでましたか？」

「巫女様がおこなった西部方式が妥当と結論しました、南部は西部のほぼ同じ大きさです。」

「この地も６０ほどの領主がいました、領地も６０ありますが、現在４２領主です。」
「そのうち３１領主がこのたび巫女様に反逆して断絶となります。」

「１０領主は消極的に味方した者たちです、本当に味方したのはこのネメシス伯爵領ただ一つ。」
「本来この地に、大領を与えて任せればよいのですが、ご存知の状態です。」
「西部同様に２４０領地に細分して、消極的に味方の１０領主には、細分した１領地を加増します。」

「これで５０領地、残りの１９０領地の内、６０領地を巫女様についてきた五人組に分配し伯爵とします。」
「このたびの報償として十分ですし、忠誠も確認出来ました。」

「１０領地はネメシス伯爵領管理者に、統治を一任します。」
「２０領地は巫女さま預かりとして、これもネメシス伯爵領管理者に統治を一任します。」

「残りの１００領地は西部と同様に、このたびの動乱、内乱に手柄を立てた者に、一爵士領ごとに与えるというのではどうでしょう。」

「この南部は騎士団領とします。」
「その騎士団総長はブレイスフォード子爵しかいないでしょう。」

　この南部も西部同様に、９６０の爵士領に細分し、１１０の貴族領と１３０の直轄領になるわけですか。

　動員兵力は７３０名の指揮官と７３００名のと９００名の予備隊とその指揮官９０名となります、総兵力９０２０名です。
　なるほどね……とにかく取らぬ狸の何とやら、この案の実現に尽力しましょう。

　念願のイシュタル突撃隊が到着しました。
　私はトールさんに小雪さんをつけて、反抗した領主の領地を回らせました。
　降伏すれば罪は問わないと、念書を書いて手渡してあります。

　この念書のおかげで、あっという間に南部は収まりました。
　領主たちが隠匿した、リヒャルトの穀物援助はすべて放出させました。
　ジャバからは物資が入ってきますし、ナイチンゲール婦人会も展開して、飢えに苦しむ南部の人々を助けています。
　こうしてリヒャルトの内乱と、それに続く辺境諸侯領の戦いも終息しました。

　南部も落ち着いてきました、さすがに私に対する変な噂も、かなりなくなりだしています。
　ただ一つ『黒の巫女様は美女が大変お好きで、お願い事は美女献上が好ましい』という噂が、国民的合意のようになっています。
　そしてシルビアさんは、『その美貌で黒の巫女様をたらしこんだ南部の名花』といわれるようになっています。

「シルビアさん、噂って本当に腹立たしいでしょう？」
「でも巫女様、当たらずとも遠からずの様な気もしますが？」
「ところで私はいつ愛してもらえますか、準備は出来ていますのに。」
「誘惑するのですか？」
「私も女ですもの……」

　……

　南部に、シャレム騎士団領国家が成立します。
　シャレム騎士総裁と私は名乗ります。
　シャレムとはウガリット神話の黄昏（宵の明星）神の名です。
　騎士団総長は予定通りブレイスフォード子爵、今は伯爵ですがね。

「ブレイスフォード伯爵、南部をうまく納めなさい、これは命令です。」
「それと後の四人はどういっていますか？」
「勿論、喜んでいます、我々の西部の領地はすべて返上します。」
「またすべての我々の一族は、この南部に移住します。」
「ただ娘はアッタル騎士総裁の物ですので、どうぞ可愛がってやってください。」

「ひとつお願いがあります、かならずシルビア女官長を守るように。」
「勿論、騎士総裁の愛人である、シルビア伯爵夫人はお守りいたします。」

「それに我らの恩人でもあられる以上は、かならずお守りいたします。」
「ご安心ください、手出しも当然いたしません。」

　ネメシスの町は拡張して、私のハレムがそこに作られるそうです。
　シルビア女官長はチョーカーをつけて、嬉しそうに報告してくれました。