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第四十四章 復興への努力はエラム的
07 見習い神官は食べ物を頂く
しおりを挟むここは商都ホッパリア、リゲルと違い、何とか動乱を切り抜けた町です。
私はアムリア王国イナンナ女王として、またまた即位することになりました。
王宮はそのままアムリア公館を使います。
拡張をと、元老院議会がいってくれれましたが、復興途上のアムリア王国に、その様な負担をかけるわけにはいきません。
丁寧に丁寧にお断りしました。
さてその昔、私はホッパリアをうろついたことがあります。
ヴィーナス・セリムとして、図書館に通っていたました。
当時の私はお気楽なものです。
サリーとさんビクトリアさんと三人で観光をしていました。
まだアムリア帝国は健在で、この町は繁栄を謳歌していました。
まさか私がこの国の女王になるとは……どれほど創造をたくましくしても、無理でしたでしょう。
いまのホッパリアは、姿かたちは変わりませんが、活気を失い、親を亡くした子犬が、悄然とうろついているような、そんなうらさびしさを感じます。
あの時、あまりの経済力に酔いしれて、モラルの低下を感じた私でしたが、やはりそれは贅沢な感想だったと、今は思えます。
私は見習い神官の服装で、町を散策しながら考えました。
戦乱に舐めつくされたアムリアの国土には、この町の繁栄が必要です。
ホッパリアから復興を初めて、その活力を利用して、アムリア全土に昔の繁栄を取り戻しましょう。
アムリアの現状の前には、綺麗ごとは無しです。
私の王宮は、アムリアが戦乱の中より立ち上がり、帝都リゲルがその威厳を取り戻した時、そのリゲルに作りましょう。
その時は遠慮なく、でっかい王宮を作りましょう。
「そこの見習いさん、元気をだしなよ、腹が減ったのかい。」
赤ら顔のおじさんというより、おっさんが声をかけてきます。
一瞬、ぎょっとしましたが、私はフードをかぶって顔を隠しています。
「いえ、そういうわけでは……」
いわれてみれば、朝からお食事をしていません。
そんなに飢えた姿をしていたのでしょうか。
いつの間にか、広場まで歩いていたようです。
「まぁ、これでも食べなよ、商品だがおごってやるよ、なにがいい?」
私は一番安い札がついている物を、頂くことにしました。
「遠慮するんだね、さすがは神官さんだ、奥ゆかしいね。」
私はフードを取り、
「ありがとうございます、頂きます。」
とお礼をいいました。
おじさんは私をしみじみと見つめています。
「何かついていますか?」
「いや、あんまり綺麗なもんだから、つい見ほれてしまって……いや失礼した。」
「それにしても見習いさんは別嬪さんだね。」
「あんたぐらいになれば、あのイシュタル女王がほっておかないだろう。」
「楽に暮らせるのに、なにもお腹をすかして彷徨わなくても。」
ここでもイシュタルさんは女好きだそうです、しかたないと、近頃思いますが……
「この動乱でだれもが苦労しているからね、あんたもこの町へ流れてきたんだろ。」
「なんにもしてやれないが、ほれ、もう一つ持って行け、ただし宣伝してくれよ。」
「あんたがいえば必ず売れるから。」
この人は私を知っているように思います、多分、顔を見た時にきずいているような感じがします。
でも、おくびにも出さぬ所にはいたく感心しました。
それでも私は頭を深々と下げました、ありがたかったです。
最初は本当に親切心ですから、人の優しさは心を豊かにします。
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