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第六十六章 情事日程その三

07 度を過ぎた恥ずかしがり屋さん

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「アンリエッタさん、レイラさんの件、そろそろ限度でしょう。」
「ロキさんもだいぶ良くなったと聞いています、今晩でも呼んでください。」
「ヴィーナス様、出過ぎたことを言いました。」

「何のことですか?」
「ありがとうございます、共に夕食をとるように申し渡しておきます。」

 目の前に、レイラさんの真っ赤な顔があります。
 夕食もうわの空です。
「レイラさん。」
「はい。」
 吹き出しそうになりました。

「そんなに嫌ですか。」
「いえ。」
 困りました、無理には抱きたくないし……
 かといってこのままでは……

「すみません、私、ヴィーナス様にご迷惑ばかりかけて……」
 これは強行突破するしかないようです。
 すこし大きな声をだして、怖がらせない程度の声で……

「レイラ!」
「はい。」

「来なさい。」
「はい」

「急いで。」
「はい。」

「ベッドにいきなさい。」
「はい。」

「貴女、これで奴隷です、分かりましたか。」
「はい。」
「貴女はなに。」
「奴隷です。」
 この後、私はレイラさんを愛しました。

 お疲れ様でした。
 こののち、レイラさんの首に、紫石のチョーカーをつけてあげました、シビル神殿夫人の位と共に。

「ヴィーナス様、お手数をかけました、でもこんなにも……女って駄目ですね。」
 ホッとしました、普通の人になって……
 普通ですよ、エラムの常識、普通のエラムの女の人になったということです。

 レイラさんがルンルンで帰った後、アンリエッタさんがやってきました。
「ご苦労様でした、いかがですか?」
「疲労困憊です。」
 アンリエッタさん、すぐに意味が分かったようです。

「レイラ、恥ずかしがり屋ですから、手を焼いたのですね、でもすごく嬉しそうな、満足そうな顔でしたね、さすがはヴィーナス様です、大陸一、いやエラム一の色事師ですね。」
「褒めてはいないでしょう。」

「レイラは床が下手なのですよ、女官長一同多少危惧していましたが、ヴィーナス様の手腕にかかれば大丈夫と、意見が一致しましたので。」
 それはまた過分なご評価で……

「ところで大変申し訳ありませんが、バーバラ女官長がお目通りを願いでています、お会いください。」
「この時点で、また側女の話しでは、ないでしょうね。」

「残念ながら多分その話しと思います、あの通りの行動力ですから、お一人なのをヴィーナス様のためにも祈っています。」

「たしかにトールさん同様、似た者夫婦ですからねあの二人は、大は小を兼ねるが身上のようです。」
 アンリエッタさん、品よく笑いました。
「ここへ通してください。」
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