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第六十六章 情事日程その三

06 互いに女には手を焼く

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「そういえばロキ、レイラがヴィーナス様の寵妃になると聞いたぞ。」
「俺は内心心配していたんだ、シャルルもあれで心配していたぞ。」

「トールとピエールは、これで名誉が保たれたが、ロキはまだなのかと。」
「そろそろ、エラムの噂の的になるぞってね。」

「それが私のこの入院のおかげで、ヴィーナス様がレイラに、私の看病を命じられて、退院するまで、無期限延期となりました。」

「それは少々まずいな、ヴィーナス様は、必ず約束はお守りになるが、巷の噂は怖いからな。」
「それはピエール団長も、心配してくれています。」

「でもこのまま沙汰やみになっても、私の不摂生が原因、潔く辞めるつもりです。」
「そうか、その話は我らからは口出しできないからな……」

「所で先輩、その最愛の奥さまは、このたび佳人の位をいただいたとか、おめでとうございます。」
「ありがとう、でもピエールの嫁は麗人だぜ、次席賢者と同格だぜ。」

「しかたないでしょう、ピエール団長は我らの先輩、やはり順というものがありますから。」
「そりゃあそうだ。」
 笑い声が響いている所へ、ピエールさんが登場しました。

「リューリック、病室だぞ、もっと慎め。」
「先輩、どうもこれは地な物で……」
「フローラを借りたぞ。」

 ?

「レイラが泣きそうな顔をしていたのを、アンリエッタが見つけて、そこへお前の嫁が来たので、呼びとめた。」
「俺は女の話しなんか分からぬので、このまま来たのさ。」

「先輩、もう少し言葉を足してください、だから決闘する羽目になったのだから。」
「決闘か、昔の話しだな、そういえばあの侯爵の嫁が、ヴィーナス様の寵妃になった。」
「リューリック、お前が推薦したそうだな、あの時、侯爵は最後には、かばってくれたそうだ。」

「侯爵か、そんなことがあったのか、あの変態野郎も、最後は女子供を守ったからな。」
「どういうことだ?」

「俺が馬鹿皇帝に放り出されたあと、あの参謀野郎が入知恵したおかげで、女を供出しない、リゲルの貴族の粛清が始まったのは、知っているだろう。」
「あの時、ロマノフの野郎はビビって逃げたのさ、もっとも野郎も最後は騎士だったそうだが、イワンが褒めていた。」

「で、参謀野郎の部下が粛清を始めた時、侯爵は女子供を逃がして、さらに逃げ出す他の女どものために、城門にたてこもって斬り死にしたのさ。」

「見直したよ、大体が決闘を申し込んだときの対応が良かったね、少しは見直していたのさ。」
「だから俺は、奴の嫁を見つけた時に、寵妃に勧めたのさ、あの変態侯爵の、最後に報いたかったのでな。」

「その話し、侯爵の嫁にしてやったのか。」
「してない。」
「話してやれよ。」

「俺はあんたとロキには、へらず口も叩けるが、ほかの者には口下手なんだ。」
 さすがにピエールさんも、大きな声で笑いました。

「ピエール先輩、ここは病室だぜ、慎めよ。」
「おっ、すまんすまん。」
 三人は声を押し殺して笑いました。

「ところでロキ、レイラのことは女どもに任せろ、何とかするとアンリエッタが云っていた。」
「フローラもいるし、今頃はそれなりの作戦でも、練っているだろう。」

「女どもは小細工が好きなのさ、ま、ヴィーナス様はあの通り、駄目な物は何と云っても駄目なのだが、唯一泣き落としなら、何とか突破口があるそうだ。」
「フローラがそう云っていたことがある。」

「たしかに私もそう思うことがある、ただし私的な場合に対してだが、公の立場に立たれたら、リューリックのいう通りだ。」
「今回は私的な話しだ、泣き落としも通用するそうだ。」

「さすがは首席女官長だな、フローラとは違うね。」
「そんなことを云っていると、フローラに殺されるぞ。」

「どうして俺をやるのか?」
「ヴィーナス様に云いつけられたらどうする。」

「たしかにありうる、女の讒言は怖いものがあるからな、忠告感謝する。」
「互いに女には手を焼くなあ、怖くて他の女に目がいかぬ、ロキ、お前ももうすぐそうなる。」

「もうなっていますよ、レイラのお尻は大きいのですから。」
 再び三人は声を押し殺して笑いました、女どもの悪口を云いながら。

 そこへレイラさんが戻ってきました。
「一人なのか。」
 と、ロキさんが聞きますと、
「アンリエッタ様が、フローラ様と後は任せろと云われて……」
 レイラさん、赤面しています。

 二人の女のたくらみが進展しています。
「アン様にいわせましょう、アンさんは素直な所をお持ちです。」

「二人で深刻な顔をして、相談しているところを見せるのです。」
「レイラさんの話しになれば、嫌でも聞き耳を立ててくれるでしょう。」
「本当はレイラさんにも参加させたいところですが、アンさんは聡明ですから、下手な芝居では見抜かれます。」

 アンリエッタさんの計画は完璧でした。
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