127 / 152
第六十六章 情事日程その三
04 未亡人の愛
しおりを挟む「マスター、また無茶なことを、まぁ今のマスターなら、どのような物がきても大丈夫ですが、でもよほど強力な残留思念のようでした。」
「普通なら、近寄ることも出来ないのに、マスターは光の娘ですよ、少しでも悪意があれば、瞬時に思念が蒸発してしまいますのに、珍しいですね。」
「よほどそのヘレンを守りたかったのでしょうね、でも一度念のために、女神アナーヒターのお姿を現しておいてください、塩の代わりです。」
仕方ないですね。
「ヘレン、下がっていなさい。」
そう言うとヘレンさんを下がらせました。
光り輝き、すらりとした背の高き、美しき女神、力強い色白の腕を持ち、四角い黄金の耳飾りと、百の星をちりばめた黄金の冠をかぶり、黄金のマントを羽織り、首には黄金の首飾りを身に付け、帯を高く締めた美しい乙女。
女神アナーヒターの姿になりました。
ヘレンさん、唖然としましたが、あわててひれ伏してしまいました。
「ヘレン、私のことは他言無用、いいですね。」
そう言うと、再び元の姿に戻りました。
「ヘレンさん、終わりましたよ、頭をあげてこちらへいらっしゃいな。」
おずおずと、ヘレンさんこちらへ来ます。
「再度いいますが、今のことは幻で覚えていませんね。」
「はい」
「結構です、ではその前のことを説明してあげましょう。」
「ご主人は、多分魔法が使えたのではありませんか?」
ヘレンさんが頷きます。
「まずないことですが、死の直前、貴女を守りたいとの心が、残っていたのです。」
「なんら力としては無いのですが、貴女をどうしても、守りたかったのでしょうね。」
「貴女が死のうとする時、その残留思念と言うのですが、それが貴女に囁いたのでしょうね。」
「私に会って、最後の力を振り絞ったようです。」
「本来、近寄れもしないはずの思念が、訴えたのです、『守ってください』と。」
ヘレンさん、嗚咽を始めました、私は黙っています。
しばらくして止まりました。
「女神……いえ、ウェヌス様、ありがとうございました、主人も安心したようです。」
「子供のことも聞きました、私も安心しました。」
「この後は、ウェヌス様にすべてを捧げて、お仕えして余生を過ごします、奴隷にしてください。」
「私は人妻だった女、その道は知りぬいています、そんな女でも良いなら、どんな恥ずべきことでもいたします、どうぞご命令を。」
そう云われると困ってしまいますね……
「とりあえず奉仕してみてください。」
ヘレンさん、すこしほほ笑みながら、私の服に手を掛けて……。
「では、お召し物を脱がせて差し上げましょう、そして奴隷ヘレンの愛をお受けください。」
昼は貞淑な妻、夜は娼婦、理想的な女でした。
ヘレンさんの首にも、青石の側女のチョーカーをつけました。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる