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第六十六章 情事日程その三

04 未亡人の愛

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「マスター、また無茶なことを、まぁ今のマスターなら、どのような物がきても大丈夫ですが、でもよほど強力な残留思念のようでした。」

「普通なら、近寄ることも出来ないのに、マスターは光の娘ですよ、少しでも悪意があれば、瞬時に思念が蒸発してしまいますのに、珍しいですね。」

「よほどそのヘレンを守りたかったのでしょうね、でも一度念のために、女神アナーヒターのお姿を現しておいてください、塩の代わりです。」

 仕方ないですね。
「ヘレン、下がっていなさい。」
 そう言うとヘレンさんを下がらせました。

 光り輝き、すらりとした背の高き、美しき女神、力強い色白の腕を持ち、四角い黄金の耳飾りと、百の星をちりばめた黄金の冠をかぶり、黄金のマントを羽織り、首には黄金の首飾りを身に付け、帯を高く締めた美しい乙女。

 女神アナーヒターの姿になりました。

 ヘレンさん、唖然としましたが、あわててひれ伏してしまいました。
「ヘレン、私のことは他言無用、いいですね。」

 そう言うと、再び元の姿に戻りました。
「ヘレンさん、終わりましたよ、頭をあげてこちらへいらっしゃいな。」

 おずおずと、ヘレンさんこちらへ来ます。
「再度いいますが、今のことは幻で覚えていませんね。」
「はい」

「結構です、ではその前のことを説明してあげましょう。」
「ご主人は、多分魔法が使えたのではありませんか?」
 ヘレンさんが頷きます。

「まずないことですが、死の直前、貴女を守りたいとの心が、残っていたのです。」
「なんら力としては無いのですが、貴女をどうしても、守りたかったのでしょうね。」
「貴女が死のうとする時、その残留思念と言うのですが、それが貴女に囁いたのでしょうね。」

「私に会って、最後の力を振り絞ったようです。」
「本来、近寄れもしないはずの思念が、訴えたのです、『守ってください』と。」

 ヘレンさん、嗚咽を始めました、私は黙っています。
 しばらくして止まりました。

「女神……いえ、ウェヌス様、ありがとうございました、主人も安心したようです。」
「子供のことも聞きました、私も安心しました。」
「この後は、ウェヌス様にすべてを捧げて、お仕えして余生を過ごします、奴隷にしてください。」

「私は人妻だった女、その道は知りぬいています、そんな女でも良いなら、どんな恥ずべきことでもいたします、どうぞご命令を。」
 そう云われると困ってしまいますね……

「とりあえず奉仕してみてください。」
 ヘレンさん、すこしほほ笑みながら、私の服に手を掛けて……。
「では、お召し物を脱がせて差し上げましょう、そして奴隷ヘレンの愛をお受けください。」

 昼は貞淑な妻、夜は娼婦、理想的な女でした。

 ヘレンさんの首にも、青石の側女のチョーカーをつけました。
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