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第六十五章 情事日程その二
06 古代レムリアの遺物
しおりを挟むやっと、シュヴァルツヴァルトへ辿りつきました。
ここでも、エーデルガルトさんが待っています。
フリードリッヒ宰相とカール司令官も一緒です、そういえば昼を食べていません。
「遅いお昼でもどうですか、私は女ばかり食べていまして、肝心のお昼はまだなのです。」
カールおじさんには受けました。
昼食後、
「お二人がおそろいとは、何かあったのですか?」
「実はお願いがありまして、こられる日を待っていました。」
諮問会議に諮らないことですから、まぁたいしたことではないでしょう。
「レムリア都市同盟も、今や昔の輝きを戻しています。」
「なんとか大陸とも交易をして、財政も潤いだしています、問題はありません。」
「先ごろこのシュヴァルツヴァルトで、道普請を行っていたところ、不思議なものが出てきました。」
「何らかの残骸なのですが、だれも分かりません。」
「そこでどうすればと思案していました所、ヴァカリネ様なら知っておられるやもと思いまして、道普請を中断して待っていた次第で。」
と、フリードリッヒ宰相がいいます。
「カールさんの方はなんですか?」
「海兵隊の連中が、ヴァカリネ様の閲兵を望んでやかましくて、今度シュヴァルツヴァルトにお越しの時は、お願いすると約束したものでして……」
「カールさんも大変ですね、海兵隊って子供みたいなものですからね。」
「明日、私は諮問会議でキリーに戻りますので、明日の朝ではどうですか?」
「ではその様に伝えてきます。」
「フリードリッヒさん、その工事中断の場所は近いのですか?」
「すぐそこです。」
「では見に行きましょう。」
それは錆びた長細い鉄の棒の塊です、二本ありますが、これはどうも鉄道の跡と思えます。
「鉄道ですね、古代レムリアの遺物でしょう。」
「一番腕のいい鍛冶屋と、馬車の管理者とかをすぐに呼べますか。」
「知っての通り、私は少しばかり時間がないものですから。」
「すぐに呼びよせます。」
フリードリッヒ宰相は早馬を走らせ、すごい勢いで馬車が走ってきました。
中より転がり出てきた方を、紹介してくれました。
「この町の馬車の管理組合の責任者です、鍛冶屋はもうすぐ走ってくるはずです。」
「では鍛冶屋さんがまだですが説明しましょう。」
「ここにあるのは、私が思うに鉄道の跡です。」
「鉄道というのは、鉄の車をこの並行に引かれた、二本の鉄の棒の上を転がせるものです。」
「小さい力で、かなりの鉄の車を動かせることができます。」
「古代レムリアの遺跡に間違いないでしょう。」
「古代レムリアの技術があるなら、電気という目に見えない力を利用して、この鉄の車を走らせることが可能ですが、残念ながら、現在この電気を起こすことは無理でしょう。」
「しかしこの鉄の棒、レールというのですが、これを使えば馬車で引くことができます。」
「鉄道馬車という物ですが、1頭の馬でかなりの、そうですね、28名乗りの客車を引けますので利用する価値はあります。」
「将来的には、魔法の力を利用することも、考慮すればいいでしょうが当面は馬でしょうね。」
「絵を出してあげますので、参考にするといいでしょう。」
実は霧の底の図書館で見ていたのです。
古代レムリアが、さらにその昔の技術と、呼んでいた技術のカテゴリーにありました。
やっと鍛冶屋さんが来ましたので、このほとんど残っていない残骸を魔法で復元します。
「興味がありますか?」
と聞くと、フリードリッヒ宰相、かなり真剣に頷きました。
「すこし、人を下がらせてください。」
と、人払いをさせて、霧の底の図書館の該当資料を、すべてコピーして渡しました。
「古代レムリアの該当する資料です、命がけですよ、分かりますね。」
と、念押ししときます。
「たしかに命をかけるものかもしれません、しかし文言が読めません。」
「それは私が読んで差し上げますが、このレールは、この文献よりはるかに高度な物ですので、参考にしかなりません。」
「今のエラムの技術で、できることを考えてください。それからだれかが、読めるかもしれませんので、厳重に保管を、まあ図録の方は構わないでしょうが。」
「いえ、これは今のレムリアにとって宝、繁栄の起爆剤になりそうな気がします。」
「できればヒルダ様には相談しても良いでしょうか。」
「それがいいでしょうね、ヒルダさんならいい知恵をだしそうですから。」
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