上 下
120 / 152
第六十五章 情事日程その二

06 古代レムリアの遺物

しおりを挟む

 やっと、シュヴァルツヴァルトへ辿りつきました。
 ここでも、エーデルガルトさんが待っています。

 フリードリッヒ宰相とカール司令官も一緒です、そういえば昼を食べていません。
「遅いお昼でもどうですか、私は女ばかり食べていまして、肝心のお昼はまだなのです。」
 カールおじさんには受けました。

 昼食後、
「お二人がおそろいとは、何かあったのですか?」
「実はお願いがありまして、こられる日を待っていました。」

 諮問会議に諮らないことですから、まぁたいしたことではないでしょう。
「レムリア都市同盟も、今や昔の輝きを戻しています。」
「なんとか大陸とも交易をして、財政も潤いだしています、問題はありません。」

「先ごろこのシュヴァルツヴァルトで、道普請を行っていたところ、不思議なものが出てきました。」
「何らかの残骸なのですが、だれも分かりません。」

「そこでどうすればと思案していました所、ヴァカリネ様なら知っておられるやもと思いまして、道普請を中断して待っていた次第で。」
 と、フリードリッヒ宰相がいいます。

「カールさんの方はなんですか?」
「海兵隊の連中が、ヴァカリネ様の閲兵を望んでやかましくて、今度シュヴァルツヴァルトにお越しの時は、お願いすると約束したものでして……」

「カールさんも大変ですね、海兵隊って子供みたいなものですからね。」
「明日、私は諮問会議でキリーに戻りますので、明日の朝ではどうですか?」
「ではその様に伝えてきます。」

「フリードリッヒさん、その工事中断の場所は近いのですか?」
「すぐそこです。」
「では見に行きましょう。」

 それは錆びた長細い鉄の棒の塊です、二本ありますが、これはどうも鉄道の跡と思えます。
「鉄道ですね、古代レムリアの遺物でしょう。」
「一番腕のいい鍛冶屋と、馬車の管理者とかをすぐに呼べますか。」
「知っての通り、私は少しばかり時間がないものですから。」

「すぐに呼びよせます。」
 フリードリッヒ宰相は早馬を走らせ、すごい勢いで馬車が走ってきました。
 中より転がり出てきた方を、紹介してくれました。
「この町の馬車の管理組合の責任者です、鍛冶屋はもうすぐ走ってくるはずです。」

「では鍛冶屋さんがまだですが説明しましょう。」
「ここにあるのは、私が思うに鉄道の跡です。」

「鉄道というのは、鉄の車をこの並行に引かれた、二本の鉄の棒の上を転がせるものです。」
「小さい力で、かなりの鉄の車を動かせることができます。」
「古代レムリアの遺跡に間違いないでしょう。」

「古代レムリアの技術があるなら、電気という目に見えない力を利用して、この鉄の車を走らせることが可能ですが、残念ながら、現在この電気を起こすことは無理でしょう。」

「しかしこの鉄の棒、レールというのですが、これを使えば馬車で引くことができます。」
「鉄道馬車という物ですが、1頭の馬でかなりの、そうですね、28名乗りの客車を引けますので利用する価値はあります。」

「将来的には、魔法の力を利用することも、考慮すればいいでしょうが当面は馬でしょうね。」
「絵を出してあげますので、参考にするといいでしょう。」

 実は霧の底の図書館で見ていたのです。
 古代レムリアが、さらにその昔の技術と、呼んでいた技術のカテゴリーにありました。

 やっと鍛冶屋さんが来ましたので、このほとんど残っていない残骸を魔法で復元します。
 「興味がありますか?」
 と聞くと、フリードリッヒ宰相、かなり真剣に頷きました。

 「すこし、人を下がらせてください。」
 と、人払いをさせて、霧の底の図書館の該当資料を、すべてコピーして渡しました。

「古代レムリアの該当する資料です、命がけですよ、分かりますね。」
 と、念押ししときます。

「たしかに命をかけるものかもしれません、しかし文言が読めません。」
「それは私が読んで差し上げますが、このレールは、この文献よりはるかに高度な物ですので、参考にしかなりません。」

「今のエラムの技術で、できることを考えてください。それからだれかが、読めるかもしれませんので、厳重に保管を、まあ図録の方は構わないでしょうが。」

「いえ、これは今のレムリアにとって宝、繁栄の起爆剤になりそうな気がします。」
「できればヒルダ様には相談しても良いでしょうか。」

「それがいいでしょうね、ヒルダさんならいい知恵をだしそうですから。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

獅子姫の婿殿

七辻ゆゆ
ファンタジー
ドラゴンのいる辺境グランノットに、王と踊り子の間に生まれた王子リエレは婿としてやってきた。 歓迎されるはずもないと思っていたが、獅子姫ヴェネッダは大変に好意的、素直、あけっぴろげ、それはそれで思惑のあるリエレは困ってしまう。 「初めまして、婿殿。……うん? いや、ちょっと待って。話には聞いていたがとんでもなく美形だな」 「……お初にお目にかかる」  唖然としていたリエレがどうにか挨拶すると、彼女は大きく口を開いて笑った。 「皆、見てくれ! 私の夫はなんと美しいのだろう!」

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

田舎の雑貨店~姪っ子とのスローライフ~

なつめ猫
ファンタジー
唯一の血縁者である姪っ子を引き取った月山(つきやま) 五郎(ごろう) 41歳は、住む場所を求めて空き家となっていた田舎の実家に引っ越すことになる。 そこで生活の糧を得るために父親が経営していた雑貨店を再開することになるが、その店はバックヤード側から店を開けると異世界に繋がるという謎多き店舗であった。 少ない資金で仕入れた日本製品を、異世界で販売して得た金貨・銀貨・銅貨を売り資金を増やして設備を購入し雑貨店を成長させていくために奮闘する。 この物語は、日本製品を異世界の冒険者に販売し、引き取った姪っ子と田舎で暮らすほのぼのスローライフである。 小説家になろう 日間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 週間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 月間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 四半期ジャンル別  1位獲得! 小説家になろう 年間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 総合日間 6位獲得! 小説家になろう 総合週間 7位獲得!

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。 主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。 ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。 果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...