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第六十三章 祝福は女苦労に微笑む
07 まだまだご苦労が必要です
しおりを挟むポロリ事件は、『黒の巫女様、某重大事件』として、かん口令が敷かれましたが、この手の話題は面白おかしく独り歩きします。
あっというまに、エラムに広がりました、物凄くねつ造された話で……
毎度思うのですが、エラムの噂話は地球のそれとは、ケタが違います、ゴーストライターがいるのでしょうか?
ある日、御座所でうろうろしていると、アンリエッタさんにつかまりました。
「ヴィーナス様、実はお願いがあります。」
ポロリ事件の後でもありますので、しかられたくない私は、
「何でも聞いてあげます。」
速攻で言ったのが、さらなる女難の一歩でした。
「ロキ聖戦騎士隊長の妻であるレイラと、トール突撃隊長の妻であるバーバラを、夫人としてヴィーナス様の寵妃にしていただきたい、合わせて寵妃のいないハレムに、一人は側女を置いていただきたい。」
女官長さんたちも、なぜかたむろしている中で、アンリエッタさんは切り出しました。しかも、
「先ほどご許可はいただいています、よもや黒の巫女様とあろうお方が、嘘をつくとは思えませんが。」
「確かに約束はしました……」
渋って見せましたが、実は最早あきらめていました。
この惑星エラムでは、女の話しになると、どうしても実現してしまうのです。
こういっては申し訳ないですが、絶対に神さまの意向があると、思ってしまいます。
お名前は口に出せないのですが、きっとあの方です。
でも、本当におられるのかは、私も姉も分かりません。
だからポーズです、ここまできたら、レイラさんだろうが、バーバラさんだろうが、いただいちゃいましょう。
どうせ巨大な責任を、背負っているのです、二人の人生を背負っても、何ほどのこともないでしょう。
今の私は、強いですし、居直っていますから……
アンリエッタさんは、見切っているでしょうね、私の心の底を。
この人、愛人の最後の枠に入れちゃいましょうか……
でもピエールさんもジャン君も、私にとっては、とても大事な人たちですし……
時間は腐るほどありますか……
私はすこし、その様な考えに浸っていました。
「ヴィーナス様……」
「わかりました、最初の件は避けては通れぬ道です。」
「二人の件は了承しましたが、やはりご主人の意向を確認してください。」
「いままでの経緯から、間違いないとは思いますが、私の私への言い訳に必要なのです。」
「側女の方は?」
と、アンリエッタさんはたたみかけます。
あきらめたと言ってはみましたが、やはりため息がでてしまます。
「百合の会議で、候補は決っているのですか?」
「決まっています、しかしヴィーナス様がお気にめさなければ、別の者を考えなければなりません。」
「百合の会議の考えを、聞かせてください。」
「カルシュのアンジェリーナ女官長は、ヘレンを推薦しています。」
「ホラズムのロランス女官長はコーデリア、アムリアのロジーナ女官長はカミラ、ハイドリアのアリアドーネ女官長はユリアを、それぞれ推薦しています。」
「ここまでは巫女様のご存知の女、シャヘルのシルビア女官長から一人、アルジャのフローラ女官長から二人、レムリアのエーデルガルト女官長から一人、推薦があります。」
レムリアの推薦は心当たりがあります、きっとあの娘でしょうね。
とにかく、推薦を丸のみするしかありません、もし断れば、彼女らが困った立場になります。
本人たちも、そんなことはないと確信していますし……
「その件も了承です、日取りを決めてください、女の日などもあるでしょうから。」
女官長さんたちがどよめいています。
「ヴィーナス様、お熱でもあるのですか?」
「どうしてです?」
「いえ、あまりにもあっさりと、了承されるものですから……」
「それで皆さん、そろっていたのですか?」
「はい、きっとなんだかんだと、抵抗されるかと……いえ、失礼しました。」
「アンリエッタ女官長、この話、断れないでしょう?」
「もし私が断れば、今名前が挙がった方は、どうなるのですか?」
「奴隷として購入されながら、主人に嫌われた女、このあたりのレッテルが張られるのでしょう?」
「後はどうなるのですか?」
「それを考えるとね、そうでしょう。」
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