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第六十三章 祝福は女苦労に微笑む

01 女官さん

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 エラムの戦乱が終わり、私の十一の王宮に、新しい女官さんがやってきます。
 希望者殺到の中、女官長さんたちが、選りすぐった精鋭ぞろい、多士済々です。

 採用条件としていた、頭脳明晰な方の容姿は、今年からある程度レベルを下げています。
 将来のエラムの、女性リーダーをこの中より育てるためです。

 ただそうはいっても、女性が多く生まれる惑星環境の上に、美女が生まれる歴史上の理由のため、新しい女官さんも極上美女ばかり、かなり上のレベルの話しではあります。

 しかも予算がありますので定員を絞っています、結果、競争率は高く、貴族や王族の娘といえど、資格なしでは面接も受けられません。

 女官さんの任官式は年に一度、私の休暇が始まる十月です。
 これは年十八ケ月のエラム暦の十月です、つまり年の後半が始まる時です。

 採用人数は最大100名、これを事前に開かれる女官長会議、つまり『百合の会議』で、枠の分捕り合戦を行います。

 こういっては何ですが、基本的には女官さんは、私の所有物、つまり奴隷です。
 したがって自由は存在しません、また生死も私の意向次第です。

 採用されるということは、女官希望者の保護者に、代価が支払われるということになります。
 保護者がいない場合、つまり身寄りのない者の代価は、その所属する国の政府に支払われることになります。

 給料、これは女官さんの場合、下賜金というのですが、月に一度支払われます。
 女性に給料が支払われることは、エラムでは珍しいことです、お小遣い程度の低賃金ですがね。

 しかし自分の代価を購入するための方法は、別の手段となります。
 代価は債権ですので、女官としての労働年月と評価と貢献などが、ポイントとして積み立てられ、約十五年で償還できるようになっています。

 つまりこれが定年です。
 これ以降は、このポイントは現金化され給料とともに支払われます。
 定年を超えたので、女官さんは自由です、望めばハレムの外に、居住することもできます。

 私はアンリエッタ首席女官長と、新人女官についての報告を聞いています。

「まったく、ヴィーナス様の女なのですから、ふしだらな考えを持っている者もでるなどと、予測されるとは!」
 アンリエッタさんの話しによれば、ここで女同士、密かにはぐくんでいた愛を実らせて、女性婚をして退官する者が多く出ると、予測されています。

 おかしな憤慨ではあります、アンリエッタさんは亭主持ちですよ。
 そのお言葉は、すこしかわいそうでしょうに……

「まぁ、その時は、私がそのふしだらな二人を、揃って可愛がってあげますから。」
「そうですね、ヴィーナス様にかかれば、どのような女も骨抜きでしょうから……」
「それに、その様な女はシビルには居ませんし、シビルの女はヴィーナス様だけに奉仕するエリート。」
「ジャバならいざ知らず、カルシュやシャレムとは違いますから。」

 何度もいいますが、アンリエッタさんは亭主持ちですよ……
 ピエールさんと、夫婦喧嘩でもしたのでしょうか?
 ピエールさんに、強壮剤でも差し上げましょうか。
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