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第六十二章 夜明けの明星
04 望まれし者
しおりを挟むおもわず悲鳴がでました。
私ではありませんよ、入ってきた皆さん、愛人さんと女官長さんたち、御座所の住人たちです。
でも、二種類の悲鳴があります。
「お姉さま、我慢できない」
と、アリスさんが迫ってきます。
小雪さんも、
「マスター、それは罪です、狂いそうです。」
ギラギラしているのは、この二人とイシスさんの三人だけ。
あとの方は……
あれ、ひれ伏していますよ、なんで……
「黒の巫女様に申し上げます、尊いお姿を拝見させていただき、幸せでございます、神々しいまでのお姿に感激いたしました。」
「私たちエラムの女は、すべて巫女様のものです、どうぞ、これからも私たちを、お見捨てにならなきように、お願いいたします。」
よく意味がわかりません、なんで、どうして、皆さん錯乱しているのでしょうか、昨日までとの皆さんと、全然違います。
だいたい、この変態のような姿に、なにかを感じるとすれば、官能と欲情しかないではありませんか、それが神々しい?
ここにいるのは、美女中の美女ばかり、それがこの姿に感激してひれ伏しています。
どこまでおかしいのですか!
この世界、この惑星エラムは!
「アナーヒター、とにかくアリスと小雪を、何とかしないと襲われますよ。」
と、今にも襲いそうなイシスさんがいいます。
そうですね、
「アリスと小雪、命令です、部屋に戻り、私を思いながら夕食前まで寝ていなさい。」
二人は走って部屋へ戻りました。
「イシス姉さん、同じ命令をあげましょうか?」
「とりあえずは、まだ我慢が出来ますわ。」
「なら、この状態を説明してくれませんか! これはどうゆう意味ですか!」
「皆さんに貴女がお話があると、呼んでおいたのです。」
「そうじゃなくて、この現象のことです。」
「この現象はね、エラム人に刷り込まれているのですよ。」
「アナーヒターは分からないでしょうが、その姿が、アスラ族のヴァルナ評議会議長の正装なのです。」
「女性体による最高位にある以上、だれよりも魅力的、欲望をかきたてる存在、その正装なのですから当然でしょう。」
「女性体の正規アンドロイドと違い、マレーネが作ったアンドロイドである、アリスと小雪は正常な反応を示したのですね。」
「エラム人の潜在意識には、オーディンがこのヴァルナ評議会議長の正装に対しては、このように反応するように遺伝子レベルで組み込んでいるのです。」
「過去に一度出会っています、そしていまこの反応が、これほど強固に刷り込まれているのを確認しました。」
「もっとも、アスラ族女性体の正規の遺物や、それから創造された構成員は、全てこのヴァルナ評議会議長の正装に対して、似たような反応を示します、オーディンは無意識に設定したと考えられます。」
「とにかくなにか上に、ひっかけてみてください。」
私は云われた通り、ガウンをひっかけピンヒールを脱ぎます。
「皆さん、どうしたのですか。」
と声をかけますと、皆、我に返ったようです。
ヒルダさんが、
「何か、いつも望んでいた方に出会ったような……」
シルビア女官長も、
「私もだれか、いつも望んでいた方にお会いしたような気がしました。」
サリーさんが、
「私もその様な思いが一瞬しましたが、お嬢様に会っていたのですから当然でしょう。」
サリーさんはやはり私のサリーさんです。
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