上 下
91 / 152
第六十二章 夜明けの明星

04 望まれし者

しおりを挟む

 おもわず悲鳴がでました。
 私ではありませんよ、入ってきた皆さん、愛人さんと女官長さんたち、御座所の住人たちです。
 でも、二種類の悲鳴があります。

「お姉さま、我慢できない」
 と、アリスさんが迫ってきます。
 小雪さんも、
「マスター、それは罪です、狂いそうです。」
 ギラギラしているのは、この二人とイシスさんの三人だけ。

 あとの方は……
 あれ、ひれ伏していますよ、なんで……

「黒の巫女様に申し上げます、尊いお姿を拝見させていただき、幸せでございます、神々しいまでのお姿に感激いたしました。」

「私たちエラムの女は、すべて巫女様のものです、どうぞ、これからも私たちを、お見捨てにならなきように、お願いいたします。」

 よく意味がわかりません、なんで、どうして、皆さん錯乱しているのでしょうか、昨日までとの皆さんと、全然違います。

 だいたい、この変態のような姿に、なにかを感じるとすれば、官能と欲情しかないではありませんか、それが神々しい?

 ここにいるのは、美女中の美女ばかり、それがこの姿に感激してひれ伏しています。
 どこまでおかしいのですか!
 この世界、この惑星エラムは!

「アナーヒター、とにかくアリスと小雪を、何とかしないと襲われますよ。」
 と、今にも襲いそうなイシスさんがいいます。

 そうですね、
「アリスと小雪、命令です、部屋に戻り、私を思いながら夕食前まで寝ていなさい。」
 二人は走って部屋へ戻りました。

「イシス姉さん、同じ命令をあげましょうか?」
「とりあえずは、まだ我慢が出来ますわ。」

「なら、この状態を説明してくれませんか! これはどうゆう意味ですか!」
「皆さんに貴女がお話があると、呼んでおいたのです。」
「そうじゃなくて、この現象のことです。」

「この現象はね、エラム人に刷り込まれているのですよ。」
「アナーヒターは分からないでしょうが、その姿が、アスラ族のヴァルナ評議会議長の正装なのです。」
「女性体による最高位にある以上、だれよりも魅力的、欲望をかきたてる存在、その正装なのですから当然でしょう。」

「女性体の正規アンドロイドと違い、マレーネが作ったアンドロイドである、アリスと小雪は正常な反応を示したのですね。」
「エラム人の潜在意識には、オーディンがこのヴァルナ評議会議長の正装に対しては、このように反応するように遺伝子レベルで組み込んでいるのです。」

「過去に一度出会っています、そしていまこの反応が、これほど強固に刷り込まれているのを確認しました。」
「もっとも、アスラ族女性体の正規の遺物や、それから創造された構成員は、全てこのヴァルナ評議会議長の正装に対して、似たような反応を示します、オーディンは無意識に設定したと考えられます。」

「とにかくなにか上に、ひっかけてみてください。」
 私は云われた通り、ガウンをひっかけピンヒールを脱ぎます。

「皆さん、どうしたのですか。」
 と声をかけますと、皆、我に返ったようです。

 ヒルダさんが、
「何か、いつも望んでいた方に出会ったような……」
 シルビア女官長も、
「私もだれか、いつも望んでいた方にお会いしたような気がしました。」
 サリーさんが、
「私もその様な思いが一瞬しましたが、お嬢様に会っていたのですから当然でしょう。」

 サリーさんはやはり私のサリーさんです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...