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第六十章 黒の巫女ってなんでしょう
04 男性体の指導者
しおりを挟むしばらくして、マレーネさんの目に精気が戻り、
「議長、お答えします。」
と、云いました。
「主のオーディンは、アスラ族の最高科学者であり、男性体の指導者でした。」
「アスラ族は高度に発達し、生殖行為がなくても、子孫を残せる体制にありました。」
「つまり女性体だけで、種族を構成することが出来たのです。」
「男性体と女性体は長く争っていました。」
「しかし、種族保存の力を持っていた女性体は、ついに男性体の消去を決行しました。」
「主は男性体の指導者として、反乱をおこし苦難の果て、このエラムにたどり着いたのです。」
「その後、主は使いの人々を創造しました。」
「主は女性体を憎むあまり、ぜったい服従の女性体の人種を作り、その人種を男性体の仲間に配布、欲望を満たしたのです。」
「それが使いの人々です、何をされても絶対服従、そのことに喜びを感じる種族です。」
「その後、女性体に発見され、男性体は文字通り消去されました。」
「その直前、主は先程の映像を残したのです。」
「男性体を消去した女性体は、エラムを見て困惑しました。」
「しかし当時の、というより最後の評議会議長は、エラムの存続を認められ、使いの人々に困難を切り抜け、自分たちで自立するようにおっしゃい、私に見守るように命ぜられました。」
言葉がありません、恐れていたことが現実だったのです。
この使いの人々が同じように、新しく人種を創造したのですから、その根本の服従する喜びが、引き継がれるわけです。
しかも男の愛玩物として創造された人々……
このオーディンは許せません、しかし遥かな昔に死んでいる人物、ぶっ殺すわけにもいきません……
「いま、私が何を聞いても答えられますね?」
「すべてのプロテクトは解除されました。」
「その後、女性体だけになったアスラ族は、どうなったのですか?」
多分、種としては衰退したはずです。
「お考えの通り、衰退していきました。」
「何故か生殖への興味をなくして、その後、この世界から消えるように、いなくなりました。」
「可能性でよろしければ、無数の宇宙がある、この世界から違う世界へ、行かれたのではと考えられます。」
「しかし中には、地球に住んだアスラ族も居られました。」
「科学力により、単性生殖が可能なアスラ族女性体ですが、単性生殖によって作り出される子孫は、女性となります。」
「その中の一人が、現地の人種と交配して男性体を作り出し、その子孫の中からマスターが生まれたということです。」
「この地球に住んだアスラ族も、純粋な方は最早居られません。」
「しかし長い年月の中、純粋なアスラ族と瓜二つの方が生まれました、それがマスターです。」
「ヴァルナ評議会議長の脳波パターンです。」
「しかも男性体と女性体の両方を兼ね備える、極めてまれな脳波パターンです。」
「この世界には、アスラ族の遺物は数々残っていますが、稼働しているのは、エラムにある私だけと推測出来ます。」
「しかしマスターが命じれば、その遺物は動くでしょう。」
「私はアスラ族の科学技術が、頂点に達した時に作られました、この後に作られたものはすべて劣悪な物です。」
どこか自負を持っているマレーネさんです。
「相談ですが支配されたがる、このエラムの人々は、変われると思いますか?」
「私には計算不能ですが、あえて計算するならば、それは可能です。」
「しかし常にだれかが、その方向へ引っ張っていく必要があります。」
「そのことは、マスターが一番理解されているはずです。」
「一度監視端末が、そのことについて、それとなく意見したと記録されています。」
「その意見に同意します、まず見て、そして知り、ゆえに思えばよいのではありませんか。」
やはり、そうなりますか?
「マレーネさん、私にエラムの行く末を決めるように託しましたが、結論は決まっていたのでしょう?」
「ご想像に任せます、ところでこの女性体の身体で、マスターに奉仕しましょうか?」
「貴方までおかしくなるのですか!」
「気に入りましたので、このままこの身体を使用させていただいても、よろしいでしょうか?」
「好きにしなさい!しかし絶対、抱きませんよ!」
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