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第五十八章 姉上転移
04 姉上様歓迎委員会
しおりを挟むさて、忠告にしたがいましょう、サリーさんにアポロさんの忠告を伝えました。
サリーさんがハウスキーパーの権限で、女官長さんたち、『百合の会議』のメンバーを緊急招集します。
アンリエッタ首席女官長が、
「サリー様、何事でしょうか、前例のない召集ですが。」
「諮問会議の提案により、皆さまにも、現在起こっていることを、お伝えしようと考えました。」
「実はお嬢様、黒の巫女様のお姉上様が、世界を飛び越えて、このエラムにご降臨なされます。」
「姉上様は、妹君でもあられる、ヴィーナス様の近況を、ご心配になられたのです。」
「すこしいっておきますが、皆さまごぞんじですね、黒の巫女様はもともと、男性だったことを。」
「黒の女神様にこの世界へ呼ばれた時、私たちのために、女性になられたのです。」
「知らない方は今、心に留めておいてください。」
「最初、巫女様のご家庭の問題として、私たち妻である、愛人たちで歓迎しようとしていました。」
「ですが、先程、諮問会議の提案で、女官長の皆さまには、知らせておく方が良いということになりました。」
「この問題は私的な問題ではなく、公的な問題であるが、まだ公には警備上問題がある、ということで今回の御訪問は、極秘となっています。」
「皆さまはこれより、姉上様歓迎委員会のメンバーになってもらいます。」
「姉上様は取りあえずは、この御座所と、皆さまがある程度は耳にはさんでいるでしょう、リリータウンという場所にご滞在なされます。」
「お泊りはこの御座所内と決まりました、お知らせすることは以上です。」
女官長さん、静まり返っています。
アンリエッタさんが、
「皆を代表して、一つお聞きして良いでしょうか?」
「なぜ最初は、ご家庭の問題だったのですか?まさかお迎えにこられたのでは……」
「その心配はわかりますが、それはありません。」
「今回、姉上様は、妹君の妻妾に、会いに来られたのです。」
「つまり義理の妹を見に来られるのです。」
「皆さまにも関係ある話しでしょう。」
「ただ一つ忠告しておきますが、紫石の方は、ヴィーナス様の女ということを、いわないように。」
「ヴィーナス様の世界では、夫のある身の女を抱くのは、タブーなのです。」
「ヴィーナス様が紫石の方を抱くのに、非常に抵抗されたことを、思い出してください。」
フローラさんが、「とても怖い方なのですか?」
アンリエッタさんが、「フローラ!言葉を慎みなさい!」
サリーさんが笑いながら、
「とてもお優しい方です、さすがは巫女様の姉上様と、だれもが思いますよ。」
「それなのに、とても威厳があります。」
「私にヴィーナス様のことで、なにか相談があればいいなさい、といってくださった方です。」
「もし手に余れば殴りなさい、とまで云われておられます、それほどに厳しい方でもありますが。」
「黒の巫女様を殴れと……」
サリーさん、その説明は逆効果です、ビビっていますよ。
「わかりました、粗相のないようにいたします。」
「でも、どのように歓迎いたしましょう、私たちはお会いしたことがなく、なにがお好きか知らないのです。」
「巫女様のように、女性がお好きなのでしょうか?」
「多分それは必要ないかと考えます。」
「むしろ姉上様は、さりげない真心を評価されると思います。」
「ヴィーナス様の世界を、私は一瞬垣間見たことがありますが、『小さな親切』、『一隅を照らす』などの言葉がありました、その様な言葉の世界の方です。」
女官長さんたち感心しきりです。
「わかりました、歓迎の方向性が見えてきた気がします。」
「皆さま、全力を尽くしましょう、このたびは私たちの戦いです。」
「この戦、何が何でも勝って見せましょう。」
変な檄を、アンリエッタさんが飛ばしています。
大げさですし、すこし見当違いのようにも思えますが、でも次の一言に本音が……
「誠意を見せて、エラムの風習、習慣を認めてもらいましょう。」
「私たちも巫女様の女であることを、認めてもらいましょう!!」
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