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第五十七章 碑文騒動

09 罪と罰

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 何気なく本棚を見ながら、図書館を出ようとした時、一冊だけポツンと、棚に置かれている本に、目がとまりました。

 なんで一冊だけあるのかと思い、手に取ってみると日記帳です。
 この棚は日記の棚ですが、一冊しかなかったからと判明しましたが、何気なく読んでみました。

 ある医学者の日記です、そこに大変な記述が書かれていました。
 かなり断片的で、ところどころ破られています、その一頁にある問題の記述とは、


 13の月、7の日
 捕虜の生体実験は順調だ、今日は生きている実験体の脳を操作した。
 これまでの実験により、反抗的な思考はほとんどなくなっている。

 後は命令に従うことを、喜びとするように思考パターンを改良し、その改良体を用いて、人種を量産するだけだ。
 今日の実験は成功した、これで目的はほぼ達成した。

 我々に敵対した連中を実験体にしたおかげで、従うことしか知らない人種を、作り上げることに成功しそうだ。
 喜ばしいことだ。
 あとは、この改良した女に、遺伝子改良した類人猿を交配させて、進歩のない連中を製造するだけだ。

 基本的な思考は、女性の思考になるはずだ、女の習慣、特に嫉妬による足の引っ張り合いなどを、刷り込むことには成功している。

 女性的な体質に敗戦国の者どもを人種改良する、この計画はもうすぐ完了する。
 この計画のために、上層部は敗戦国の男を去勢する計画だそうだが……


 17の月、18の日
 せっかく改良した、奴隷種族の量産体制が軌道に乗り始めたのに、愚かにも最終戦争が始まりそうだ。
 愚かなことだ、これでは近々、レムリア人は滅亡してしまう。

 奴隷種族は生き残れるかもしれない、過酷な環境にも耐えれるようになっているから。
 しかし進歩がないだろう、命令されなければ、なにも出来ない木偶の坊、このエラムも終わりかもしれぬな……


 後は読めません、物理的に破損しています。
 だれかが古代レムリアの図書館を封印する時、この恥ずべき行為も封印したのでしょう。
 そして滅亡の時、自ら、来たる黒の巫女宛てに、告白したのでしょう。

 この事実は、だれにも知られてはいけません。
 キンメリアもレムリアも。
 幸いだれもこの文章は読めません。
 私はこの本に、さらなる封印をしておきました、だれも見えない本として……
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