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第五十六章 ハレムはどうしてもできる

02 でも拷問が趣味な物で

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「司教さん、喰えない方ですね、わかりました。」
「それで私に、この娘をどうせよ、というのですか?」

「この教会には、巫女様との戦争で、父や夫など、保護者たる男を亡くした女を、かなりの人数、保護しています。」

「巫女様はこのたび、レムリア都市同盟のヴァカリネ女王として、即位されました。」
「そして王宮を国民が作りました。」

「そこには身の周りをお世話する者が必要です。」
「どうかこの者たちの、いく末をお考えください。」
「当教会は、女王陛下のお考えに賛同しています、そのあたりをご配慮願います。」

「宰相さん、どういたしましょうか?」
 フリードリッヒさんが、「代価は必要か?」と聞きます。

「司教さんは立派な聖職者、女を売り飛ばすようなことはありません。」
「私の怒りが収まるほどの仁者、代価なんて、そ・ん・な・こ・と・は・あ・り・ま・せ・ん・よ・ね!」

「そ・そ・そんなことは絶対にありません。」
「そうですよね、この間なんて、嘘をつかれて、怒りのあまり無免許の女衒(ぜげん)を切り刻んだのです。」

「そのまえに司教さんと、お会いすればよかったでしょうね、もう少しましな殺し方ができましのにね。」
 なんか汗がたらたらと見えますが、私は目が悪くなったのかもしれません。

「先ほども言いましたが、教会の司教さんですから、哀れな女に対して、かっさらって売り飛ばすようなことはありえません、ジョンソン隊長はいますか?」
「ここに。」

「司教さんから、この哀れな女性のことについて、良く聞いてあげてください。」
「丁寧に、きっちりとね、いいですか、海兵隊は無私公平な集団ですからね。」

「わかりました。どうぞこちらへお越しください司教様、第一小隊長、先程の神官殿もお探ししてこい。」

「そうそう、よく海兵隊は、仲間内で武術の集団試合をしていますが、この間のように、一般の人を巻き込まないでね。」
「人殺しの練習には、人殺しの囚人で我慢してね。」
「このごろ監獄の囚人が減っていますが、むやみに剣の試し切りなどは駄目ですよ。」

「でも、そうですわ、いま世間を騒がしている、人さらい団なら構いませんが、ちょうど拷問の練習台にいいでしょう。」
「もし見つけたら、やっちゃいなさい、生皮をはいで塩を塗りこめば、死ぬまでには、何でも白状するはずです。」

「あらら、私としたことが、立派な聖職者であられる司教さんの前で、はしたないことを。」
「でも拷問が趣味な物で、おほほほ。」 

 司教さんが真っ青な顔で、
「巫女様、どうか御慈悲を!」

「なにもやましいことはないのですから、何事もないではありませんか、それとも私に懺悔でもあるのですか?」
「一応懺悔は守られますから、少しは配慮もされるでしょうが?」
 訴えるような顔の司教です。

「罪一等が減るでしょうね、いえるのはそれだけです。」
「もしすべてが明るみに出るほどの懺悔なら、罪二等減があるかもしれません。」

「それなら死は無いかもしれませんね、少なくともお子様に、類は及ばなくなりますね。」
 ジョンソン隊長が司教さんを連れていきます、丁寧に引きずって。

 まぁ、これでやましい集団はお終いでしょうが、私が簡単に、殺人と人さらいの集団を許すと思うのですかね。
 砂糖菓子のように甘い悪人です。

「宰相さん、司教さんとお仲間はどうなるのでしょうか。」
「近頃は病気がはやっていますから、流行病でコロッとなんて、あ・り・ま・す・よ・ね。」
「厳しいですね!」

「自分では、人との約束を破りまくっているのでしょうから、今更、約束不履行をとやかくいえないでしょう。」
「でも、家族まで類は及ばないでしょう、病気で死んだらね、私は死の女王とも呼ばれていますから。」

「そこの娘さんたち、こちらにいらっしゃい。」
 おずおずとやってきました、怯えています。
「怖がらなくてもいいのよ、悪い人はもういません、お姉さんは皆の味方ですよ。」

 ……薬の影響なんて簡単に払しょくできるのよ、私は……
 そのうえで記憶を戻してあげましょう、辛い記憶でしょうが、これからの人生、幼いといえど真実を知る必要がありますからね……

 私は魔力を行使しました。

 一人が泣き出しました。

「私をさらったの!」とか、「お父さんを殺されたの!」とか……
 私は随行していた、女官さんの責任者を呼びました。

「貴女に任せますので、この娘たちの面倒を見ていてくれませんか。」
 さらに、
「フリードリッヒさんも、お手数ですが女性たちを保護していてください。」
「わかりました、お心に添うようにいたします。」

 教会の地下には、多くのさらわれた女性がいました。
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