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第五十五章 黒い森の都シュヴァルツヴァルト
06 ヤンデレ誕生
しおりを挟む「巫女様、ここでは女は支配されるものなのです。」
「つまり支配している者の保護の下で、生活することになるのです。」
「この例外は巫女様だけでしょう。」
「ヒルダ参謀を支配しなければ、協力したくても出来ないのです。」
「明確に支配者がだれか、分かっている場合で、その保護者が自らの権威を、支配される者に及ばすと認めた場合、支配される者は、敬意をもって扱われます。」
「支配される者とは、奴隷をさします。」
ややっこしい風習ですね。
「つまりこうですか?女は奴隷に近い者で、その中の一人を、私が購入するなりなんなりして奴隷とし、その者を私の代理と宣言しなければ、女を働かすことは出来ない。」
「ひとつ付け加えると、皆が認めることが必要です。」
「これでは女は働くなと、いっているような物ですね。」
「おっしゃる通りです、このレムリアは男社会、ただ一つの例外は黒の巫女、女神の代弁者だけです。」
「先程のことをしても、敬意をもって扱われはしますが、はたして男に命じることができるかは不明です。」
「ヒルダ参謀を女と知っているのは、ごく少数の指導層のみ、大多数の者は、参謀は男と思っています。」
「もしヒルダ参謀を協力させる体制を整えても、男に命じることは難しい、とおっしゃるのですね。」
私はすこし考えました。
直接戦った私は、このヒルダ参謀の力を認めます。
なんとしても、力を発揮してもらわなくては、レムリアの復興は牛の歩みと、なるでしょう。
あれ、簡単に解決するじゃないですか?
目の前のこの男、フリードリッヒは非凡です。
宰相級の人材です。
この男を通じて、ヒルダ参謀の力を発揮させれば良いじゃあないですか?
フリードリッヒはすべて知っています。
このシステムを難なく受け入れるでしょう。
いままで臨時行政代表だったのですから、ある意味、横滑りです。
「フリードリッヒ臨時行政代表、国政の最高責任者に任じます。」
「そしてヒルダさんは私の女奴隷、多分私の寵妃になるでしょう。」
「なぜなら私は女好きで、浮き名が鳴り響いている存在です。」
「宰相なら、このレムリアのあるじである、私の生活についての責任が発生します。」
「そのことについて、私の寵妃に意見を聞く必要があります。」
「これでいいですね、ヒルダさんは、明日の朝には私無しにはいられなくなります。」
「その気になった私は、すごいですからね。」
「それからレムリア宰相に命令しましょう。」
「私のハレムは美人が望ましいですが、それにもまして戦災未亡人、孤児、行き場のない女奴隷などを、女官に積極的に採用してください。」
「さあ、ヒルダさん、恥ずかしいことをしますよ。」
「私に屈服したいなら、望み通りにしてあげます。」
ヒルダさんは完全に『屈服』しました。
すこしカチンときましたからね、強気な人は大好きですよ……ほほほ。
完全に、エラムの空気に毒されたのは確かです。
「ヒルダさん、協力してくれますか?」
「どのようなことでも命じてください、身も心も巫女様に捧げます。」
ヒルダさんが、両手を差し出して、エラム式の誓いをしてくれます。
ヒルダさんの首に赤石のチョーカーをつけます。
すごく色っぽい吐息をついてくれました。
ちょっといたずらし、お尻でも撫でますと、色気満開で「意地悪ですね」といいます。
「では食事にいきましょう。」
「本当に意地悪です。」
「なにが?」
「それが意地悪なのです!」
もじもじしているヒルダさんです。
ヤンデレが一人、誕生したのかも知れません。
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