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第五十三章 黒の巫女は戦い続ける
06 闘病中です
しおりを挟むイーゼルのナイチンゲール看護婦人会の、保養所というより、病院に私は放り込まれています。
動けないのは何とも情けないことです。
だってですね、まずトイレが問題です。
なんといっても、人様にトイレの面倒を見てもらわなくてはなりません。
屈辱以外の何物でもありません。
今日も……
「イシュタル様、おトイレを我慢するのは健康に良くありませんよ。」
「さあ、今日の当番は私たち、主の『しも』の御世話は当然の義務です。」
モニカ、サンドラ、ペネロペのジャバの三人の夫人が迫ってきます。
どうしてイーゼルに担ぎ込まれたのか、理由が分かった時はもう遅かったのです。
いつのまにか『夫人会』なるものが出来ていて、その夫人会が私を看病すると、諮問会議にまで嘆願する騒ぎ。
で、夫人さんがチョーカーの力で転移できるイーゼルが選ばれたわけです。
「イシュタル様、恥ずかしがらずに、我慢は美容の大敵です。」
我慢も限界にきて、その……
リーダー格のペネロペさんが、てきぱきと指示しています。
「モニカ、おまるの処理をお願い、サンドラはお湯を持ってきて、さあイシュタル様、お尻を拭きますよ。」
後の処理をされました。
「ペネロペさんの意地悪……」
穴があったら入りたい心境です。
ひと騒動した後、ペネロペさんが
「イシュタル様、無理なさらないでください。」
「どんな理由か、今では私たちにも想像はできます。」
「でも私たちにとっては、イシュタル様は主なのです。」
「イシュタル様は、私たちにとって、ただ一人の頼れる方。」
「そのイシュタル様が大怪我で、意識がないと聞かされた時、どんな思いをしたか想像できますか?」
「女にこんな思いをさせるなんて……」
「一生責任を取ってもらいますから、そのためにお身体を大事にしてください。」
一応、私も女のはしくれなのですが。
サンドラさんも、
「私は難しいことは分かりませんが、お願いですから無茶はおやめください、私、心配で……」
サンドラさんは無口でおとなしい人です、滅多にこのようなことはいいません。
「心配かけたようで御免なさい。」
モニカさんも、
「私もイシュタル様さまが、大怪我をされ危篤と聞いた時は心配で……」
「でもイシュタル様は、必ずお元気になると信じることにしました。」
「私はイシュタル様がいない生活なんて、考えられないのです。」
「もし、お優しいイシュタル様がお亡くなりになられたら、私は後を追います、ですから……」
と云われます。
生きて帰って良かった……
サンドラさんが、
「ジャバの女官さんたちも大変心配しています。」
皆、口々にお元気になってくださいと、伝言を頼まれています。」
このごろは皆さんと、仲良くやってくれているのですね。
すこし女官さんたちとは、隙間があったようで、気になっていたのですが。
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