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第五十三章 黒の巫女は戦い続ける
03 最後の分身
しおりを挟む「さて、いままで待っていてくれたことに感謝します、主席さん。」
「でも手加減はなしです、命はいただきます。」
源兵衛さんが即座に反応しました、魔法が効かなくなっています。
目の前には主席の姿があります。
霞むような、今までの姿ではありません、現実の肉体のようです。
源兵衛さんが、全力で封印しているようですね。
いつものへらず口が聞こえません。
私はこの時のためにもっていた、アテネさんの小太刀と同じものを抜きました。
主席はすごく大きな、そりのある青龍刀のような物を手にしています。
打ち合えば小太刀が折れますね。
やはり相打ちを覚悟しなければ、ならないのでしょうね。
まぁいいでしょう、散々女性を泣かせたのですし、その愛した人たちのためなら、本望というものです。
主席が斬りかかってきました、すごい殺気です。
いままでと違い、必殺の気持ちが見えます。
私はかわしてばかりで、このままでは負けますね。
私は次の一撃に、賭けることにしました。
初めて青龍刀を小太刀で受けます。
ガキっと音がして、一瞬青龍刀が動きを止め、つられて主席も動きが止まります。
次の瞬間、主席が渾身の力を込めたのか、小太刀が砕けました。
でも主席が力を込めた一瞬に、私は手刀を首筋に突き刺しました。
手の指が折れたと思いますが、瞬時に脳内麻薬を分泌し、小太刀を手放し、みぞうちに、これまた手刀を突き入れました、こちらは折れなかったようです。
主席は虫の息です、勝ったと思いました。
「主席、貴方は尊敬できる敵です、出来れば戦いたくはなかったのですが。」
「これは私の分身である。」
!
「いま私は敗北した、巫女様のお覚悟を確認した。」
「いいか悪いかは、最早私には分からぬが、このエラムは確かに巫女様の物、所有物であるのは確かである。」
「ご自由にされるが良いかと思う、申し訳ないが、この身体も私の分身である。」
「巫女様には、私のとどめを刺せないのは、残念かと思われるだろうが、この分身が私の最後の分身である。」
「もうこれ以上は、エネルギーをチャージしなければできない。」
「チャージを開始したら、巫女様の配下のものに探知されるだろう。」
「その時点で破壊されるのは確実、つまり私は巫女様の脅威にはならないはずだ、しかし注意されることを警告しておく。」
「……」
「参謀は優秀である、出来れば助けてやって欲しい、巫女様のお役に立てれるだろう。」
「参謀は女である。巫女様は気づいておられるだろう。」
「彼女は約250年前、シュヴァルツヴァルトで行き倒れていた少女である。」
「当時私はイレギュラーを抱えて、なぜかその少女を助けた。」
「以来、参謀は忠誠を誓ってくれている、電子計算機である私がいうのも変だが、不憫と計算している。」
「参謀はまだ処女でもある、男も女も知らぬ。」
「ただそのままの容姿では、助命は不可と計算できるので、巫女様の魔力でその辺は考慮されたい、以上である。」
そう云うと、主席の分身は息を引き取りました。
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