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第五十三章 黒の巫女は戦い続ける
01 皆さん、仲良くしてくださいね
しおりを挟むやっとサリーさんたちを説得しましたが、どうしてもアテネさんが行くと云って聞きません。
ダフネさんやビクトリアさんの、『大人』さんたちが、説得してくれたのですが、アテネさんが、
「そんな役立たずの私なら、生きている意味がない!」
と叫び、小太刀を抜き、自決しようとしてさらに大騒動になりました。
サリーさんとビクトリアさんとダフネさんの、先任愛人三人組みが、
「このままではアテネは間違いなく自決します、連れてやってくれませんか?」
と云いだしました。
「分かりました、アテネさん、また危険なことに付き合わせますが、堪忍してくださいね。」
さすがに涙が出ました。
ダフネさんが、
「アテネ、分かっていると思いますが、足を引っ張ったと思ったら、その時は……」
アテネさんの赤い瞳が決意を語っています。
そんなことをさせるものですか!
内心、私は固く決意しました。
三日後、イーゼル温泉に夫人と側女さんが一堂に会しました。
夫人の名称は、出所が色々変遷していますが、最終的には次のようになります。
数え上げますと、
シビル神殿夫人はオルガ、エレン、アグネス、ソフィー、シモーヌ、イリーナ、エレーナの七人
ハイドリア夫人はアン、ペピ、ジーナ、シャルロッテ、クララ、コルネリア、フレデリカの七人
パリス夫人はデボラ、アメリア、シャーリーンの三人
ホラズム夫人はジャクリーヌ、カトリーヌ、エロイーズ、バルバラ、ドミニク、フランソワーズの六人
ジャバ夫人はギルベルト、ドリス、モニカ、サンドラ、ペネロペ、ビアンカの六人
アムリア夫人はクリスティーナ、マーシャの二人
カルシュ夫人はエリーゼ
アッタル騎士団領、シャレム騎士団領、ヴィーナス騎士団領にはいません。
側女はアンジェリカ(パリス連合王国女官)、ジェシカ(アッタル騎士団領女官)、キャサリン(アッタル騎士団領女官)の三人。
夫人は三十二人、側女は三人、これに女官長は基本的に夫人なので十人、しかもこれ以外に愛人さんが十人……
なんと数え上げれば五十人以上もいます、なるほど大陸中で悪くいわれるわけです。
しかも、まだまだ増えそうな雰囲気があります、恐ろしいことですが、これほど愛した思えば本望……
いえ、いけません、この人達のためにも生きて帰らなくては……
本当に心より思った次第です。
「お集まりの皆さん、私とは色々ありましたが、こうしてお顔を見ていますと、楽しいことばかり思い出します。」
「いままで私は、皆さんにご迷惑ばかり、かけていたと思います。」
「そこで、日頃の感謝と、私からの愛情が、ないまぜになっていますが、プレゼントを贈りたいと思いました。」
「ここにある箱は、蓋をあけて中のゼンマイを巻くと、音楽を奏でるもので、オルゴールといわれています。」
「箱は同じですが、すべて曲が違います。」
「そこで籤引をして、番号を決めてもらい、その番号の物を、持ち帰っていただこうと思っています。」
「使い方を説明します。」
そう云って一つの箱を取り出して、鳴らして見せました。
このオルゴールは、五十弁で音質重視のものです、なかなか綺麗な音がします。
ここでもワイワイと、いいながら籤引きをして決めました。
そばにいたクリスティーナさんが、
「いい音ですね、大事にします。」
「皆で集まって演奏会などすれば、楽しいかもしれませんね。」
「そうですね。」
皆さん、仲良くしてくださいね……
こうして私は心残りなく、アテネさんを連れて、北方列島へ旅立ちました。
幸運に恵まれて、主席に出会い倒すために。
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