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第五章 勉強会

05 異空間倉庫

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 午後のティータイムを、クッキーと紅茶で済ませて、私たちは苦手な婦人学を受けています。

 淑女の立ち振る舞い、表情の作り方、話し方などが、徹底して仕込まれていますが、これに関しては、私とビクトリアさんは、ともペケです、お話になりません。
 ほら、ビクトリアさんが、さっきの食事の仕方について注意されています。

 小雪先生の厳しいこと、女を生業(なりわい)するのは難しい。
 不思議なことに、サリーさんとアリスさんは優等生なのですよ?
 なんでも昔、行儀見習いをしたことがある?らしいのですね。

 かろうじて私は、ついていっていますが、ビクトリアさんは死んでいますね。
 明日は最終テストなのに大丈夫でしょうか?

 夕食をインスタント麺で済ますと、私たちはお風呂に一緒に入り、そのままサリーさんとビクトリアさんの、算数と理科の勉強を見ています。
 明日はテストですので、多分このまま私の部屋で寝ることになるのでしょうね。

 今日は最終日でテストの日です。

 朝からテストを受けていた私たちは、夕食の席上でその結果を待っています。
 私の落第点は婦人学で▼一万円、サリーさんも理科で▼一万円、ビクトリアさんは婦人学と理科▼二万円となりました。
 アリスさんは何とか合格しましたが、ビクトリアさんは、しばらく禁酒ですね。

 で、私たちはチケットの残高を、百円電卓で計算しています。
 何とか私とサリーさんの赤字は、避けられたようですが、ビクトリアさんがため息をついていました。

 まぁビクトリアさん、たまにはビールぐらい、おごってさし上げますよ。

 その後、私たちはこの教室を会議兼集会室にしました。
 リリータウンは狭いので、この大空間を置いとくのは勿体ない、有効活用させていただきます。

 異空間倉庫をさらに作ろうとしたら、小雪先生がご自分の住む場所を作ってください、といい出しました。

 訳を聞くと、小雪先生はこのためだけに製造されたアンドロイド、目的が終了したので廃棄となるとのこと。
 で、短い期間でしたが、私たちと触れ合い、感情というものが芽生えて、このままここに居たいと思うようになったとのこと。

 このようにいわれれば、私に拒否の選択はありません。
 サリーさんもビクトリアさんも頷いたので、サリーさんの居住スペースをイメージして、二つ作ってみました。

 なぜ二つかですか?やはりシンメトリーの問題ですね。
 その勢いで新しい集会室の下、リリータウンの一階に大きな浴場と、その二階に大きな食堂とロッカーを作りました。

 いま目の前で、小雪先生が両膝をつき手を差し伸べて、誓っています。

 そして、サリーさんやビクトリアさんに向って、
「私はご存知のように、アンドロイドというものです、皆様のお仲間になりますが、よろしくお願いします」
「また今夜は僭越ながら、マスターにアリスともども愛されたく思います、今日一日はお許しください」

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