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第二章 目覚め

04 臨戦態勢

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 サリーさんが、スタンガンを隠し持つようにして、
「どちらさまですか?」と聞くと、宿のものですと応えましたがありましたが、サリーさんは警戒を解きません。
 慎重に少し開いて、確認してからドアを開きました。

 ドアの向こうには、幾人かの男が立っていて、各々武装しています。
 その中の受付をしていた人が、
「お客様、大変申し訳ありませんが、本日はこの部屋から出ないようにしてください」

 サリーさんが、何かあったのですか?と聞くと、
「先ほど行商人が、大きな蛇の大群に襲われました。我々は大蛇退治に行きますが、お客様におかれましては、絶対にこの部屋より、出ないようにご忠告いたします」

 そう云うと、男たちはバタバタと階段を下りて行き、村の広場へ戻りました。
 ベランダから眺めていますと、男たちが集合しています。
 私は行かなくてもよいの?

 サリーさんが、「お嬢様はもう立派な女性ですよ、大体ベランダに出るなんて、はしたない行為です!」とたしなめられます。
 サリーさん、私の思考を読めるようになったの?

 男たちが手に手に武器を持って、蛇退治に行きますと、あれだけ騒がしかった村の広場が、急に静かになりましたが……
 なんか落ち着かない、嫌な予感がします。

 私はサリーさんに、例の警杖型スタンガンを取り出してもらい、カーテンを外してロープとし、襷掛けをして臨戦態勢……

 サリーさんも私につられたのか、「お嬢様、勇ましいですわ」とか云いながら、これまた例のとんでもないエアライフルを手にしています。
 いつの間にか襷掛けなどして、私などより、もっと勇ましい姿ですよ。

「サリー、私たちがここへ来るまで、何か異変がありましたか?私は感じませんでした」
「大蛇の大群が出たということですが、そんな大蛇の大群なんて、余程のことがなければ出ないでしょう」

「いまここには、小さな動物たちがのんびりと、ひなたぼっこをしています。蛇の大群が身近にいれば、このような動物は少なくともそわそわするでしょう、取り越し苦労なら良いのですが」

 そのとき、ビシと音が聞こえ、窓枠に矢が突き刺さりました。
「お嬢様、ビンゴです」
 そうですね……

「お嬢様、男はみんな村の外です」
「戦うしかないですね」
 私は覚悟を決めました。

 身体の底から、次から次へと、戦う力が湧き上がって来ます。
 警杖型スタンガンの使い方が自然と分かります。
「行きましょう」
 サリーさんが「お供します」と云いました。
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