87 / 125
第五十五章 黄泉比良坂(よもつひらさか)
ゲート道反の大神(ちがえしのおおかみ)
しおりを挟むゲート道反の大神(ちがえしのおおかみ)……
伊賦夜坂(いぶやざか)と黄泉比良坂(よもつひらさか)との境目……
此処から先は本当のヨミの世界……
ソロモン72柱が壊滅した今、親衛隊である黄泉醜女(よもつしこめ)が、決死の覚悟で守っているのでしょうね。
この者たちは、死を望んでいるはずです。
ゲートの手前は広場になっているとか、私ならここを利用します。
全軍出動して数に物をいわせます。
火薬が使えない以上、槍を並べて、四方から突撃させるでしょう。
生きることを望まぬなら、味方の槍に串刺しになっても構わない……したがって頭上からも、槍を持って突撃させます。
味方を犠牲にしても、構わないのですから……
「どうすればいいのか……」
乾パンを食べながら思案しています。
「私が盾になりましょう!」
小雪さんが提案しましたが、速攻で却下です。
「その様な犠牲を払う必要はありません、それならヨミを消し去るのみ!」
そう、もし身内に犠牲が出る可能性があるなら……
ふと我にかえって思いました、私は一体何をしているのか……
いつの間にか、野良たちを救おうとしている……
どうして……こうなったのか……
『あいつ』のシナリオ……どこまでもこき使うのですか?
私たちの誰もが、この野良問題の対処方法に、異議を唱えない……
まぁ、いいわ……これも代価なのでしょうね、でもそれで、皆に犠牲を出させるわけには行かないし……
その時、閃きました……
「仮想制御戦闘能力を利用すればいいのよ!」
『幽子』を利用し、瞬時に複製された肉体に、同時並行で精神をスイッチングさせる、この精神のスイッチングを敵の肉体に対して行えば……
あの主席の『憑依』そのものですが……これで大量の敵の精神を乗っ取って、自殺させる……
あまり好ましい方法ではありませんが、これなら一挙に敵を自滅さすことができます。
多分、弱い精神の持ち主相手なら、万単位で『憑依』できるでしょう……
「精神的な負担が凄まじいのでは?」
「チョットばかりね」
その頃、黄泉醜女(よもつしこめ)の先任隊長である大雷(おほいかづち)も作戦を練っています。
「ソロモン72柱は壊滅した、ルシファーは信じられない力を持っている、一対一ではとても叶わぬ、狭い通路の中では不利だ」
「ゲート道反の大神(ちがえしのおおかみ)の手前の広場で迎え撃つ」
「もはや我等には消滅あるのみ」
「四五百年生きながらえてもそれがどうした、イザナミ様もお覚悟をなされている」
「先に行ったソロモン72柱の面々に胸張って逢えるように、立派な戦いをしようと思う」
「諸君、生き残るは恥となった、戦って果てようぞ!」
「全員抜剣!ルシファーに出会えば、全員でしがみつけ!」
「後ろのものは構わぬ、味方ごと穿け、私の体ごと穿け!」
「皆ここまでよくイザナミ様に仕えた!」
「これが見納めである、さらばだ諸君!」
私たちはしばらく休んでから、広場に出ました。
と、同時に黄泉醜女(よもつしこめ)の軍団がゲートから出てきました。
「あれがルシファーだ!」
凄い顔をして、一人の黄泉醜女(よもつしこめ)が飛びかかって来ました、次々と私に飛びかかってきます。
瞬時に『憑依』を発動しましたが、少々慌てたので、周りの黄泉醜女(よもつしこめ)にだけ、『憑依』してしまいました。
しかも『自決』を命じてしまったので、私には動かなくなった黄泉醜女(よもつしこめ)が、しがみついたままです。
後ろの黄泉醜女(よもつしこめ)が、味方の残骸ごと私を貫こうとしています。
今度も『憑依』し『自決』させます。
しかも最大限に能力を発揮、約八割の黄泉醜女(よもつしこめ)が自決しました。
代償もかなりの物です、精神的な疲労を感じます。
それでも再度、『憑依』し『自決』させます、さすがに八雷神(やくさのいかづちがみ)には『憑依』できませんでしたが……
さすがに気絶しそうですよ……
「小雪、深雪……しばらく守って下さい……」
私は小太刀を突き立て、もたれかかってしまいました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

友達になろうとした私のことが、そんなに邪魔ですか?
はまみ
ファンタジー
私、オリヴィア。クラスで浮いた存在の絶世の美少女レイアさんを、なにかにつけてサポートしてきたつもり。
彼女と友達になりたくて。
でも、そのレイアさんから、彼女の邪魔ばかりしていると、言われてしまい…
設定はざっくりです。
貴族などの設定も、実際の厳密なものとは、異なります。
クラス転移で手に入れた『天性』がガチャだった件~落ちこぼれな俺がみんなまとめて最強にします~
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
阿久津雄介とそのクラスメイトは、最弱国家グルストンに勇者として召喚された。
──天性なる能力を授けられ、世界を支配するドラグネス皇国の考案した遊戯、勇者大戦なる競技の強化選手として抜擢されていく。
しかし雄介の手に入れた能力はガチャ。
他にも戦力とは程遠い能力を授かるものと共に補欠として扱われた。
日々成長していくレギュラー入りしたクラスメイト達。
置いていかれる環境に、自分達もなんとかしようと立ち上がる雄介達。何もできない、なんの役にも立たないと思われた力で雄介達はほんの僅かな手応えを感じていた。
それから少しづつ、自分たちの力を高める為に冒険者の真似事をしていくことに。
目指すはクラスメイトの背中。
ゆくゆくはレギュラー入りと思っていたが……
その矢先にドラグネス皇国からの手先が現れる。
ドラゴン。グルストン王国には生息してない最強の種族が群を率いてやってきた。
雄介達は王命により、ドラゴン達の足止め役を引き受けることになる。
「別に足止めじゃなく倒しちゃってもいいんですよね?」
「できるものならな(可哀想に、恐怖から幻想が見えているんだろうな)」
使えない天性、大人の一般平均値を下回る能力値を持つ補欠組は、世界の支配者であるドラグネス皇国の尖兵をうまく蹴散らすことができるのか?
┏━━━━━━━━━┓
┃書籍1〜3巻発売中 ┃
┗━━━━━━━━━┛
==========================================
【2021.09.05】
・本編完結(第一部完)
【2023.02.14追記】
・新しく第二部を準備中です。もう少しお待ちください。
(書籍三巻の続き〜)を予定しています。
【2023.02.15追記】
・SSはEXTRAからお引越し、書籍用のSS没案集です。
・追加で増えるかも?
・書籍用の登場人物表を追記しました。
【2023.02.16追記】
・書籍における雄介の能力変更をおまけに追記しました。
【2023.03.01〜】
・五章公開
【2023.04.01〜】
・WEB版の大雑把なあらすじ公開(書籍版とは異なります)
==========================================
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる