惑星エラムより愛をこめて 第四部 野良アンドロイド編 【ノーマル版】

第四十九章 虫

天使『御使い』

　イザナギ……
　テラに存在した男性体のしもべ……
　この人工知能が何処にいるのか……少なくとも野良アンドロイド以外に、もう一つの勢力が潜んでいるのでしょう……

　虫との戦いを画策している者共、でもそれに乗ることにしました。
　虫どもとの関係は、いつか決着をつけなくてはならない。
　そう私は考えています。

「フェルナンダさん、その戦闘用アンドロイドについて、説明してくれますか？」
「詳しくはわかりませんが、自らを『御使い』と呼んでいました」

「貴女がイザナギのもとにいた頃、自らそのように呼んでいたのですか？」
「いえ、自身をそのように呼んだことはありません」

　『御使い』ですか……さしずめイザナギの天使……
　このテラの状況で出てくる天使といえば……
　破壊の天使となりますか……

　明らかに私に対する神の伝言、聖ナタナエル黙示録、その宮内庁所蔵だった文書には、

　『闇に覆われる世界が広がる時は、神子の光のお力だけが、これを打ち破ることができる。』
　そして
　『ハルマゲドンが終わり、第七のラッパが鳴り響く時、
　最後の審判が訪れる。
　天使も悪魔も人も、生き残った者に終わりがやってくる』

　やはり天使が出てきたのですね……
　なら野良は悪魔ですか……イザナミの配下と考えられます。

　『ハルマゲン』とは、いま行われている一連の出来事と私は考えています。
　この一連の出来事が終われば、何かの出来事が、第七のラッパが鳴り響くことを、知らせるのではないか？
　そして、『最後の審判』が訪れる……

　私のもとにはシウテクトリがいます、そしてテラのイザナミとイザナギが私に敵対している……
　これって、テラで起こった古代戦争の蒸し返し？
　これが『最後の審判』戦争……

　男と女の、血で血を洗う、幾度目の戦争なのでしょうね……
　生き残った者に終わりがやってくる……こんどが最後……というわけでしょうか？

　今がハルマゲドン……
　この舞台には、アドルフの亡霊もいれば、虫もいますし、挙げ句の果てには、造化三神まで登場して……役者が揃い、幕があがる……

　そもそもシナリオライターは、何を意図しているのか……
　でも幕は上がってしまったようですし、舞台で踊るしか無いのでしょうね。

「姉さん、いくところまでいくしかありません、掌の上で踊らされているとわかっていても、踊らざるをえません」
「そもそも虫は、絶対に肉食をやめないでしょうし、人類を喰わなくてはおられない様です、タバコや酒、麻薬をやめられないように……」

　『それにしても、カルタゴは滅ぼされるべきである』
　私は大カトー、マルクス・ポルキウス・カトーの言葉を口にしました。

　第二次ポエニ戦争当時の、古代ローマの政治家ですが、演説の最後にかならず、このように云ったと伝えられています。
　そしてカルタゴは、ローマの無理難題をふっかけられ、第三次ポエニ戦争が起こり滅亡しました。