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第四十七章 山荘予言

最後の晩餐

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 そこでふと気が付きました、クリームヒルトを忘れていました。
 ドアを開くと、膝を抱えている小さな女の子が……
 どうやら寝ているようです。

「あらまぁ、疲れたのですね」
「そうでしょうね……」

「アナーヒター、ホント、どうします」
「私が溺愛すれば、それは無用な争いになりますね……」
「この娘可愛いわ、それに素晴らしく賢いし……」
 珍しく茜さんが、優しい目になっています。

「とにかく保護者が必要ですし、学校へ行かせねば……」
「そうね、先程はああ言いましたが、この娘、いままで辛かったのでしょうね……必死にアナーヒターを見ていたわ、初めて理解してくれる人に、出会ったのでしょうね」

「超人(ユーベルメッシュ)ですからね、大人になればテラを切り回せることもできるでしょうね」
「そうね……このような娘がうまれるのでしょうね……」

「アドルフの予言ではそうなっていますが、二分化した人類の片方、マルス市民が超人(ユーベルメッシュ)になるのはいつのことか……ましてアスラ族の段階までなるには……」

「早くても、億年単位でしょうね……」

「姉さん、たまには二人で食事でもしましょう」
「あの……出来たら三人に……」
 いつの間にか起きていたクリームヒルト……

「もう晩御飯の時間なのですが……」
 そういえばもう六時過ぎ……
「では、三姉妹でレストランへ繰り出しますか?」
 
 茜さんもクリームヒルトも、チョーカーを不可視にして、三人でカジュアルな食事をしました。
「クリームヒルト、ゆっくりと食べなさい、ご飯は逃げないわ」
「次はいつ食べられるかと思うと……」

 このとき、茜姉さんがらしくない行動をしました。
 突然クリームヒルトを抱きしめて、
「もう貴女はそんな心配はしなくていいのよ、貴女は私の妹分、クリームヒルト・キッカワですよ」

「アナーヒターに一緒に仕えましょうね♪」
 やはりいつもの姉でした……
「一緒にいいのですか!」
「もちろんよ!」

 妹分だけあって、もうクリームヒルトも感化されているというか……
 目出度く変態の仲間入り……

「今日がクリームヒルト・ニーチェでの最後の晩餐です、明日からはクリームヒルト・キッカワでいいですか?」
「勿論よ、夜の話は置いといて私の身内ですよ、でも一つ言っておきますが、身内がたくさんいるの……」
「テラでは周知の事実、パラグアイの新ゲルマニアの田舎でも皆知っています」

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