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第九章 困った方です
ヒルコの免罪
しおりを挟むアリシアさんは、ここで住民にメッセージ放送を行う事にしました。
「ガリレオ衛星ステーションの住民の皆さま、執政官のアリシアです」
「宇宙海賊と思われる敵からの攻撃により、本ステーションは大破しましたが、敵は殲滅いたしました」
「現在本ステーションは第二階と第三階以外は、機能していません」
「メイン動力、補助動力、メイン高性能バッテリー装置を失いましたが、二階用と三階用の非常用小型核融合炉が起動しましたので、多少の不便がおこりますが、生存に問題はありません」
「備蓄食糧は全て失いましたが、幸い第二階は健在ですので、木星大気を取り込んで、必要軍事物資製造工場で、軍用の非常食糧を全力生産することで対応できます」
「非常用小型核融合炉は、連続運転で50年間は稼働出来ますのでご安心ください」
「またヴィーナス・ネットワーク・レイルロードは稼働しています、第三階の軍用ドックを仮駅舎とし、すぐ側にある、貨物用のシェルターステーションと呼ばれるものを呼び寄せています」
「小型の戦闘艇を改良した軍用の戦闘輸送艇を、仮駅舎とシェルターステーションを往復させますので、一般民間人の方は、本ステーションが修復されるまでは、避難されることを勧めます」
「シェルターステーションには非常用の居住区があり、最大約十万名は生活できます、ガリレオ衛星開発計画の関係者はこちらに避難していただきます」
「勿論それに対する経費は、ナーキッドとして保障するように上層部に掛け合ってみます」
「また本ステーションにそのまま残られる場合、本ステーションが修復されるまでの衣食住は、最低限ですがこちらで保障いたします」
アリシアさんのメッセージ放送で、ガリレオ衛星ステーションは落ち着きを取り戻したのです。
ミコさんもそれなりに忙しそうです。
「ルシファー様、ヒルコにはよく言って聞かせました、可愛がってやってください」
と、イザナミさんがヒルコさんを連れ、膝詰めしながら言っています。
「ところでヒルコの免罪をみとめたのですから、ミリタリーになにかあるのでしょうね」
と、シウテクトリさんとゼノビアさん。
「ブルーベリー号とチコモストック号の建造に、希望の機能を入れるというのではいかが?」
「もう一声頂きたいですね」
「希望は?」
ゼノビアさんが、
「ユニバースとしては保線部隊が欲しいのです」
「保線部隊ね……」
しばらく考えていましたが、シウテクトリさんへ、
「オルメカの希望は?」
と聞きます。
「チコモストック号を頂きますが、正式に私に直属する後方支援艦隊の創設を、認めていただきたい」
「後方支援艦隊ね……」
またも考えていたミコさんです。
「ではこういたしましょう、まずゼノビアさんの保線部隊ですが、標準型拡大稼動ステーションを一隻、保線部隊専用のステーションに改装します」
「標準型拡大稼動ステーションは私が建造致します、そしてそれの艤装司令としてヒルコを任せます、完成後はそのまま保線司令とします」
「隊員は有機体生産工場に残っていた、戦闘サイボーグたち、この戦闘サイボーグたちには、ユニバースミリタリー種族の身体を与えます、まぁ不満が有るでしょうがユニバースとしては呑めるでしょう」
「仲間として迎え入れることは可能ですが……イザナミは構わないのか?」
「……よろしくお願いする……」
ミコさんが、
「ヒルコは構わないわね」
「はい……」
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