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第七章 地獄のヴィーナス

金星大気の上空で

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 アリソン、ミランダの二人は、ガリレオ衛星ステーションと稼働ステーションを除いて、ソル星系外惑星鉄道の未稼働ステーションとその貨物鉄道を率いて離れ、レリンはソル星系内惑星貨物鉄道を指揮するために、転移していきました。

 アリシアさんは執政官の権限で、全居住民を第三階へ再度避難を命じ、ガリレオ衛星ステーションを戦闘モードに移行させたのです。
 勿論、ミコさんへの退避要請は、あっさりと拒絶されたのですが。

 そのころ、金星軌道上にある小型ステーションに転移したレリンさん、テキパキと指示をだしています。

 陸戦ロボット部隊に降下準備を命じ、分散しているステーション群の集結を命じ、みずからも降下の準備を始めて、ふと手を止めた。

 金星の表面は九十気圧……しかし温度は400度以上……はたして陸戦ロボットは持ちこたえるのか……地下空間に転移したら……転移装置を使うしかないけど、転移出現ポイントを守らなければならない……
 やはり耐熱装備をつけるしか……戦闘力低下を受け入れなければならない……

 耐熱装備とは、熱伝導率のきわめて低いカーボンナノチューブで作られた複合装甲で、沸点のきわめて高い水銀をはさんでいるものです。
 全身を覆うことになり、視界がさえぎられ、ミリタリーの兵士たちには、きわめて評判がわるいのです。

 エーギルはこれを待っていた。
「予定どおりだな……いよいよ接触だ」
「イザナギ様は主様のもとにいらっしゃる、エーギルももうすぐまいります、良い知らせを持って……」

 陸戦ロボットは、オプション装備の耐熱装備を装着して降下していきます。
 レリンさんが自ら率いています。
「レリン軍事参議官!地表が変化していきます!」

 九十気圧の底、金星の大地から、何かが盛り上がってきました。
「地下軍事要塞の防衛砲台だ!各自散開降下せよ!」
 防衛砲台らしきものからは、何かの砲身が突き出ています。
 それが核砲弾を打ち出したのです。

「どこを狙っているのだ、核だと?直撃しない核が陸戦ロボットに効くと思うのか?」
 核は金星大気の上空で爆発した。
 それはものすごい衝撃波となって、部隊を巻き込み地表にたたきつけた。

 レリンたち、ユニバースの少数の士官たちは質量が軽い分、なんとか耐熱装備の複合装甲で助かりましたが、陸戦ロボット部隊は、かなり破壊されています。
 
 メイド号では、ミリタリーの三首脳があわてています。

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