百年紀のカレンダー２ ガリレオ・カウンティス 【ノーマル版】

第七章 地獄のヴィーナス

水波能売命（みつはのめ）

「心臓に悪い観劇だったな……」
「しかしユニバースの新米も、なかなかやるではないか」　
「穴が有ったら入りたい心境だ」
　メイド号では、このような会話が交わされていました。

「さて、打ち合わせ通り、黄泉醜女(よもつしこめ)を集めるとするか、あの者たちの戦闘力は昔と違う、しかし油断は慎むべきだ」

「まずは長き間、下半身が破壊されていたので呼び出せなかったが、久しぶりに我が分身、水波能売命（みつはのめ）を呼び出すか」

　うっすらと汗が、イザナミさんの全身からにじみ出ます。
　と、その汗がイザナミさんの身体から離れて、みるみる人型に凝縮していきます。

「オリジナルの機械体のときに、下半身にあった機能なのだ、まあありていに言えば尿なのだが、知っての通り下半身が破壊されていて長らく使えなかった」

「修復していただく時、ルシファー様と嬢合（まぐあい）の時、これではあまりに不都合、ルシファー様がこのように、全身の汗からの方法に変えて下さった、その後、有機体になった時も、マレーネ様が考慮して下さった」

　イザナミさんの説明ですね。
　でも下半身にはもう一つの機能……埴山姫（はにやすひめ）は、勾玉に作り変えられ、今ではイザナミさんのチョーカーにぶら下がっています。

　埴山姫（はにやすひめ）とは土の神の意味、大地を意味し、重力を制御できる機能です。
　そのほかにもいろいろな勾玉が、チョーカーにぶら下がっています。

　ルシファー様には、いわゆる大きいほうのスカトロ趣味はないようですので……
　水芸は大好きだから水波能売命（みつはのめ）はそのままにしておけばいいものをね。

　このあたりのことを、イザナミさんが口にすると、シウテクトリさんとゼノビアさんが大笑いをしました。

　でも上半身が健在だったので、金山毘売（かなやまひめ）の機能はあったわけです。
　これは治金技術を意味し、イザナミさんにあったのは機械を作り改良していく機能。
　これで黄泉醜女(よもつしこめ)や、一号から六号機械を作り出したわけです。

　ただ巨大な機械は作れません、マレーネさんとは違うのです。
　やはり本来メイドとして、アスラ族に仕えるために作られたのですからね。
　この金山毘売（かなやまひめ）の機能が、ヨミが種族として生き残った原動力なのですが……

　最後の機能、火産霊（ほむすひ）機能は、問答無用で削除されたそうです。
　この機能、自爆機能で、自身をノヴァとして相手を道づれにする機能です。

　シウテクトリさんとゼノビアさんも、訳のわからない物が、チョーカーを飾っているわけですがね、なんでしょうね。